河野太郎議員の重国籍論の危うさ

河野太郎議員がフジサンケイグループの在米邦人向けのチャンネルで重国籍を認めるべきとする主張をしたことがネットで拡散されました。
それに対して河野議員が「ネット上で、私のメディアでのインタビューを悪意を持って改竄し、拡散している人がいるようですので、私の真意をお伝えしたいと思います。」などとしてブログ記事を公開。

この論じ方の危うさについて。

「悪意を持って改竄し拡散」って、誰?

重度のツイッタラーである河野太郎議員なのでTwitter上の事象を指しているのかと思い調べましたが、最も拡散されているツイートは、この指摘に当たりません。

とすると、5chや別の動画サイトの話だろうか?

「拡散している人がいるようですので」という書き方からして特定していないのだろうか?どういう内容の改竄なんだろうか?

フジサンケイ動画は編集をしているがまさかそれを指しているのだろうか?

仮にそうなら、これでは迂闊に彼の主張を拡散できないだろう。

いったい有権者にどうしてほしいのか、意味不明である。

公権力行使等公務員の重国籍は?

二重国籍 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト
また、他国の国籍も保有しているものが選挙に立候補したり、閣僚や裁判官などに任命される場合などに、他国の国籍の放棄を義務づけるということは必要でしょう。

「など」と書いてるから別にいいと思ってるのかもしれないが、そんな甘い認識では困る。

「選挙に立候補」する人⇒立法府・自治体の議会を構成
「閣僚」⇒議院内閣制における行政府側の国会議員
「裁判官」⇒司法府

といった区分けからは「特別職の国家公務員」は排除する立場が見て取れるが、ここから漏れる人らが居る。

それが行政府・省庁に勤務する一般職の公務員

特に一般に問題になるのは「公権力行使等地方公務員」と言われる、国民の権利義務の変動等にかかわる施策を立案遂行する立場にいる公務員。

この立場の者は外国籍を有してはいけないのかどうか、という問題がある。判例は「公権力行使等地方公務員」について外国籍者を排除しても構わない、という立場。それに当たらない立場の者として相当数の自治体で外国籍の公務員が現在でも存在する。

国家公務員については人事院規則八-十八の9条3号に日本の国籍を有しない者は採用試験を受けることがでいきないと規定。

教育委員会委員や選挙管理委員会委員などは法律で外国人就任が禁止されています。

河野大臣の文章では、いわゆる霞が関に勤務する国家公務員や自治体で働く地方公務員乃至公権力行使等地方公務員についてどう考えているのかが分からない。

「国家公務員や公権力行使等地方公務員の場合などに…」と河野議員が論じていればこんな事は書かなかった。

こうしてみると、河野大臣は武蔵野市の条例案(否決)のように「投票権」を外国籍=二重国籍の者に認めるのはどう考えているのだろうか?と思う。

「放棄を義務付ける」だけでは不十分では?なぜ「欠格事由」としない?

それから河野大臣は上掲の公務員に対して相手国の国籍の「放棄を義務付ける」ことが必要、としていますが、それで十分なのでしょうか?

現在の国籍法でも、形式上は重国籍が禁止され、国籍離脱の義務がありますし、生まれたときに重国籍の者は22歳までの選択を迫っています。

しかし、実態としてはそれを徹底することはしていません。22歳を過ぎて日本国籍に決めようと片側の国の国籍離脱をする手続を始めることは実際上、あり得ますし、制裁も課さずに受け入れてきました。

つまり、既に国籍の扱いについて「義務付け」に留まっているものがこういう状況なのですから、公務員の扱いに関しても「義務付け」だとどうなるか?

選挙で当選した者が「実は重国籍が解消されていませんでした」という場合、「じゃあはやく手続してね」とだけ言うんでしょうか?

そういう疑念、というよりも話の組み立ての脆さを感じてしまうわけです。
これは話し言葉ではなく「真意をお伝え」として文章にした論ですからね。

そうではなくて、そこは【欠格事由として重国籍を設ける】とするべきでしょう。もしかしたらそういう趣旨として記述したのかもしれませんが、この点も含めていろいろ明確化するべきでしょう。

「重国籍を認める」というのは相当大きな政策変更ですから、そのロジックの詳細を知りたいというのは当然。疑念を持たれるような論じ方をしたら突っ込まれるのは当たり前。

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