【2024年度】文系から東大TMIに合格した体験記①
この記事は、以下と同様の内容です。
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻(TMI)の2024年度入学試験に、地方国立大の文系学部から挑戦し合格を頂きました。
当時はネット上にTMIに関する最新の情報が少なく、不安な思いをしながら入試に向けて突っ走っていたので、
来年度以降の受験生に向けて少しでも力になるような情報提供をしたいと思い、本ページを公開することにしました。
理系の方はもちろんのこと、文系からTMIに進もうとしている方や、社会人でブランクがある方まで、参考にしていただけると幸いです。
ちなみに、受験に際してこの方の記事を参考にさせていただきました。著者の方への感謝と、受験生への紹介を兼ねて、以下でご紹介させていただきます。
私について
簡単に自分のスペックを紹介しておくと、
地方国立大の経済学部
学部では計量経済学と数理統計学を扱うゼミに参加
1年間の留学経験あり(北欧)
機械学習や深層学習の学習経験あり
という感じです。
一応経済学部なのですが、専門が計量経済という事もあり、隣接分野である数理統計や機械学習・深層学習(AI)といったトピックにも興味を持っておりまして、そこらへんを学部を通してゆるゆると勉強をしていました。
逆にミクロ経済学とかマクロ経済学とかあんまり分かりません、、(^^;
東大TMIに興味を持ったきっかけは、
とりあえず統計とかAIとかの理論を学んだけど、実際に活用するための勉強したり経験したりしたいなぁ、、
なんかここら辺の知識で参入障壁バチバチのビジネスとかやるために、もうちょっと勉強したいなぁ、、
みたいな浅はかな理由で大学院進学を検討しており、そこでTMIを見つけたときに、
人工知能系の研究が盛んにおこなわれている点、そういう理系の学術知識をどうやって価値につなげてビジネスするかというのを学べる点、そして最も大事ですが文系の自分でも戦えそうな試験内容だった点、の3点がばっちりそろっていて、
あ、ここ行きてぇわ
と思い、目指そうと思いました。
就活はしなかったの?と思われる方もいるかと思いますが、もともと計量経済とか数理統計とかを学習し始めた時点で理数系の専門職(DSとかAIエンジニアとか)に就きたいとぼんやり考えていたという事もあって、キャリア的に修士持っておいた方がいいかもな、、と感じていたので、就活はしない方向でした。(実際に修士が有利なのかは知りませんが、修士持ってて当たり前みたいな雰囲気はありそう。)
あとその進路選択をするにあたって、院試までずっと引きこもって勉強してるのも面白くないなぁという事で、退路を断って気合い入れる意味も込めて1年間の留学をすることにしたので、就活の時期はずっと海外にいて実質就活できない状況にあったという理由もあります。
ちなみに、私の留学体験記に興味がある方は、こちらをご覧ください。
出願まで
出願までに、TOEFLと調査書(研究計画書)を用意する必要がありました。
まずTOEFLについてですが、出願直前まで留学で海外にいたので、英語慣れしてる状態を活かして、現地で受験してゴリゴリの点数をたたき出してその点数を使って出願してやろうと考えていました。
しかしながら残念なことに、金銭的・物理的に現地での受験が厳しいことが判明して、結局留学の選考に利用した点数をそのまま院試の出願でも使用することにしました。
高い点数ではないですが、東大大学院の入試でよく言われている80点は上回っていたので、まぁテストとか面接である程度できれば合格の可能性はあるだろうと楽観視していました。
次に調査書ですが、これが自分にとってはなかなか曲者でした。
志望理由は上に書いたような浅い理由なのですが、そんなことを書いてしまったらすぐに落とされるにきまってます。もう少し説得力のある内容にする必要があり、非常に頭を使いました。
また、研究計画については、そもそも「研究とは?」というところから始まりました。
世の理系の皆様は4年になると研究室に配属され自分でテーマを探すなり先輩方から受け継ぐなりして研究に触れていくと思うのですが、文系は単に「ゼミ」と呼ばれる仲良し勉強グループを結成するだけなんですね(もちろんしっかり"研究"をしているところも少なからずあると思いますが)。
なので、肌感覚としての研究計画が全く分かりませんでした。
また、留学してしまっていたために、直接日本語で研究計画について先生方に指導を頂く機会もゲットできず、結構不安でした。
とりあえずやれることはやろうと思って、TMIの先生や他のすべり止めの大学院の先生にアポを取り、オンラインで面談をしていただいたりして、研究テーマについて解像度を高くしていきました。
最終的にはある程度の完成度になったとは思います。(試験当日の面接でめちゃくちゃ詰められましたが、、)
もし私の計画書を見てみたいという方がいましたら、noteで公開しておくのでご覧ください。(ある程度個人情報が入っているので、本当に必要な方のみに見てもらえるように有料にしております。ご了承ください。)
受験勉強
TMIの試験では、「数理的思考力を見る問題」「論理的思考力を見る問題」の二つが出題されます。
それぞれについて、どんな感じで対策を進めたのかを簡単に振り返ります。
数理的思考力を見る問題
TMIの数理的思考力を見る問題は、昔はパズル問題やアルゴリズム問題などの発想力を問うものが多かったですが、ここ2~3年は一般的な大学院入試の数学になりました。
東大TMIのHPによると、
という風に説明されています。
最近の過去問を見ていると、微分積分、線形代数、微分方程式、確率統計、の4つが頻出だったので、とりあえずこの4分野をしっかり勉強して、そのほかの複素関数論やラプラス変換・フーリエ解析みたいなところもぼちぼち勉強しようと考えました。
(7) その他(アルゴリズム、グラフ理論、複雑ネットワーク、ゲーム理論など) に関しては、専門的にしっかり学んでいる人は少ないだろうから、正直ぶっつけ本番でもいいなという風にも考えていました。
さて、私は経済学部ですので、カリキュラム的には文系で使う最低限の微分積分、線形代数、確率統計を学んだのみでした。
ですが実際の所、数学なんて1年生でしかやらないので、専門である数理統計学に近い数学知識以外はほぼありません。
なので数学をすべて0から理系教養レベルまで上げる必要があり、結構苦労しました。
幸いにも工学系の数学は厳密性よりも解を出すことに重点を置くので、対策の方針は立てやすかったです。
数学の勉強としてひたすら問題集を解いていきました。
微分積分、線形代数、確率統計、微分方程式はある程度どんな問題でも解けるようにしておき、複素関数、ラプラス解析、フーリエ変換などはとりあえず計算の定義とかを頭に入れておきました。
論理的思考力を見る問題
論理的思考力を見る問題では、論文が試験の約1週間前に送付されます。
当日はその内容から問題を出すよという事なのですが、2024年度の論文は
①生成AIの性質と将来性に関する論文
②学術知識の商業化に際して発生する経営学的な問題に関する実証分析の論文
の2点でした。
TMIのHPのアナウンスや前年までの傾向から、内容に関して数理的な証明を要求する問題、普通に内容を要約する問題、そして自分の意見を述べる問題の3種類が出そうだったので、
それぞれについて、自分ならどんな点を出題するかという点を意識して、内容を読み進めていきました。
あと、試験会場で論文を読みながら答えるのはめんどくさいなぁと思っていたので、
大体の話の流れと要点はすべて頭の中に入れておき、当日はちょっと論文を確認さえすれば答えをすぐに出せる状態にしておきました。(これが当日功を奏します、、)
ざっとこんな感じで入試に臨みました!
実際の試験当日の体験談は体験談②につづきますので、興味がある方は是非ご覧下さい^^