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改正GMP省令について

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準である、医薬品及び
医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(いわゆるGMP省令)の一部を改正する省令が本年4月 28 日に公布され、同年8月1日に施行されておりますが、改正省令にふれて、改めてGMPを考えたい。

変更点及び考え方について

今回の改正の大きな変更点は、ICHQ10にあるPQS(医薬品品質システム)の考えを取り込んだことだと思われる。

PQSとは上級経営陣が医薬品品質システムにかかる重要事項に対して責任を持つことを明確化したものであり、この変更により、経営者含め上層部に対する医薬品品質システムの確保の重要性を改めて認識してもらうということが厚生労働省としての最大の意図だと思われる。

GMPは基本的に医薬品の品質を守るための仕組みであるが、今回の改正と含めて昨今紅白医薬品メーカーで確認されている不正製造について少し触れたい。

GMP不正問題

医薬品製造における不正問題といえば、一昔前に化血研の不正製造問題が大きく取り上げられたが、最近ではまた、小林化工や日医工などのジェネリックメーカーでも不正が相次ぎ、後発医薬品メーカーに勤める私自身も製造部門の人間ではないが、GMP遵守について、現場に頼ったある種の限界があるのではないかと現状感じている。

そういった観点からも、経営層から抜本的な改革が必要なものと考えている。もし品質体制が自社で整わないのであれば、問題が起きた際の影響を踏まえると、M&Aも含めて対応するべきと思われる。

個人的には、医薬品業界はITリテラシーが低く、総じて効率性が悪いものと感じている。医薬品の品質基準が今後とも高くなっていくことを踏まえると、高品質の医薬品の安定した供給を実現するならば、医薬品製造のデジタル化は必須となっていくと思われる。この考え方は、人が関与せず、正確に大量に実施できるという点で、本質的にGMPの考えと一致するものと思われる。是非とも現場の運用に任せないシステム構築に投資が回るよう働きかけたいところである。

従業員として

我々、従業員としては、どのように対応するべきであろうか。

「クオリティーカルチャー」という言葉が昨今医薬品製造の分野では聞かれるようになった。これは、「高品質の医薬品を提供するための、品質に関する企業文化」というような意味で捉えているが、こうした「クオリティーカルチャー」の熟成のために、個人個人が、業務遂行する上で、品質の問題を考え、可能な範囲で行動していくことが重要であろうと感じた。

【参考資料】

・改正GMP省令

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210514I0040.pdf

・省令変更点

具体的な省令の変更点は、以下のURLに記載されていたため、参考にされたい。

https://ecompliance.co.jp/JGMP/JGMP_hikaku.pdf

・改正案のポイント(PMDA資料)

平成30年時の資料であるが、PMDAの資料に改正の考え方がわかりやすくまとめられている。

https://www.pmda.go.jp/files/000227617.pdf



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