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怒涛のデンマーク留学1ヶ月目

デンマーク初上陸

今でこそデンマーク留学、
特に私の通うフォルケホイスコーレンへの留学が日本人に人気になってきたが、
デンマークと言われても想像できるものがあまりない、未開の地だった。

学校の中にあるプール施設

私が現在通っている学校は少し特殊で、生徒数は約200人ほど。先生は100人くらい?
フォルケの中だと大規模校らしい。多分うちが一番でかい。

生徒の半分近くが何かしらの障害を持った人たちで、
もう半分(私はこちらに含まれる)は彼らのアシスタント兼生徒という立場である。

生活や学びを共にする中で、
様々なハンディキャップやバックグラウンドを持つ人が一緒に暮らしていくことを経験できる、
デンマーク特有の成人学校。

車椅子ユーザーも多いので、学校の設備はとても充実している。

広いのを良いことに爆速で車椅子を運転する人もいて、
たまに「なんか今すごい速い人通ったな」となる。



学校が海沿いにあるので、
散歩ついでに、海水浴をしに、すぐ海に行ける。

デンマーク人はよく裸で海に入るので、
水着を着ているこっちがおかしいのかと錯覚する。錯覚ではなく現実だけど。

今まで見た満月で一番綺麗だった気がする。


デンマークと言えばビール!(正確にはクラフトビール?)

後ろはパーティー用のコース料理


次の日の朝まで飲んで歌って踊り狂うのがデンマークのパーティーだそうで、

「踊りながら飲むなんてしたことないけど、楽しい〜!」とはしゃいでいたら、

踊ることでアルコールが身体中を巡るのか、余りにもお酒の回りが早くてびっくりした。

次の日は無事、二日酔いでくたばっていた。


学校の周りを散歩する授業


街中ではないのでお店とかはあまりないけれど、

自然に囲まれた避暑地のような爽やかな場所で、
私は案外好き。外に出るのが気持ちいい。毎朝窓を開けたくなる。

デンマークは小さい国なので、
小さい頃から外国の文化もたくさん入っているよう。

アニメも英語字幕はついていても、デンマーク語字幕は中々ないこともある、
という環境で育っていることも関係しているのか、
みんな英語が割と普通に話せる人がほとんどだった。

自分の気持ちを伝えるためと、
相手の言っていることを理解するために、
英語勉強に合わせてデンマーク語も勉強しようと思い、
先日ランチ中にデンマーク人に実践できる言葉を教えてもらった。

続くといいんだけど。


日本人とつるまない、を辞めた


留学に行く前にたくさん言われた言葉がある。

それは、
「せっかく留学に行くんだから、日本人とつるんだらもったいないよ」
という言葉だった。

「日本を離れるんだから現地の人といなきゃ」

「日本語を使ってるだけだといつまで経っても語学力は伸びないよ」

「日本を離れた意味がない。もったいない。」

応援と激励の言葉として、みんなは私に忠告をしてくれていたんだろうなと思う。


実際に私もそんな風に留学というものをどこかで、

さもそこに前からいた内の1人かのように、国籍関係なくそのコミュニティの一員になれること=アウェイをホームにすることこそが、

良い留学・目指すべき留学に行った姿だと思っていた節があった。

ほぼユーラシア大陸の端から端の距離感


留学というものはよく、
「コンフォートゾーン(安心できる場所)から離れ、アウェイな環境に身を置くことなので、チャレンジして適応する力が身につく」
などと言われる。

だからこそ、

海外に行っても日本人と一緒にいることはダメなこと、情けないことだと思っていた。


ただそれはとてつもなく、生き方を抑圧する呪縛だったんだと感じた。

パラリンピック公式スポーツのボッチャもしたよ


今学期は日本人は7人、内2人が車椅子ユーザーとして留学している。

友達でありながら、生活に必要な介助をするアシスタントとして、私は生活している。


ヘルプをしてもらう障害を持つ人をボス
アシスタントをする生徒は部下と呼ばれ、
その仕事に見合ったお金を後払いでもらう(日本人の場合は)。

この話は、
制度としても、双方の気持ちとしても、ややこしく込み入った話になっており、

トラブルや、時には諍いもあるお話。

まだ始まったばかりのこのタイミングで多くを語ることはできないが、

私はこの留学を通してまさにそこについて考えたいと思っている。乞うご期待を。



そんな環境下での留学ということもあり、
みんなと関わらないなんてことはあり得ない。

もちろんずっと一緒にいなければいけない訳でもないし、
シフト制なので自由時間もキチンと設けられている。


ただ、

私たちは250人のデンマーク人の中にいるたった7人の日本人チームであり、

たった7人の母国語で繋がり助け合うことができる仲間である

ということだった。

車椅子での坂道の下り方練習


デンマーク語なんて全くできない中、英語がペラペラでもない中、

雰囲気や流れを感じて必死についていき、英語で適当な会話をし、

デンマーク語が飛び交う中で、

己を律し、孤立してでも1人だけで頑張ることが、果たしてあるべき姿なのだろうかと感じた。



英語が得意な日本人の子とデンマーク人が話をしているところにお邪魔させてもらったり、

ゆっくり話を聞いてくれる人を捕まえて日本人みんなで話を囲んだり、

たまにノリとガッツで少し自分で頑張ってみたり。

全部を1人で頑張る必要なんてなくて、

助け合いながら少しずつこの環境を自分の居心地の良いものに変えていけばいいんだろうな、

ということが2週目くらいにしてようやく少し理解できた気がした。


私以外のみんなは最初からきっと当たり前にできていたのかなと外から見ている分には思うけれど、

そこに入っていけなかったのは、

私の留学のあるべき姿や理想像にふさわしくない!と決めつけていた意地だったなぁと感じた。


この呪縛を抜け出してからは、  

楽しそうにしているみんながいれば混ざるし、

1人でゆっくりしたければする、という

ただそれだけなんだけど、

無理をしない過ごし方が前よりできるようになってきた。

学校にある丘でみんなでチルタイム(デンマークではhyggeと呼ぶよ)



先日のランチタイムでも日本人の友達と話をして、

何が辛かったかと言えばやっぱりそこに帰着するんだなぁとしみじみ。

その子は、
少し話せた日は「今日はよくやった!」と褒めて、
話せなかった日は「今日は休息日」とするそう。

生きてるだけで偉いよねぇ、と2人でデンマーク人達が楽しくおしゃべりしている中、食堂でしみじみとしていた。

もしこれから留学に行く人がいたら、

私はぜひ

「せっかくの機会なんだから日本人がいてもつるまずに、ちゃんと外国人と勉強して来なよ」ではなくて、


「その時に助け合える仲間がいたら、それはラッキーだよ。慣れない土地での慣れない生活だからこそ、何事もゆっくりで大丈夫」

と言いたいな。


パラリンピックを観にパリに行った!

そして今月のハイライト、人生初のフランス・パリ🇫🇷

どこを歩いても木漏れ日が綺麗

ヨーロッパは夏でも気候が程よいからか、とにかくみんな外が好きなんだなと感じる。

パリではみんな、
多少の雨でも気にせずにカフェのテラス席でお茶をしていた。

お洒落なおじいちゃんとおばあちゃんがチュロス片手にセーヌ川沿いを歩いていたり、

蛍光灯でチカチカしていない、ボワァとした明かりが灯る夜の街で、楽しそうにワインを飲んでいたり、

みんなが人生をゆったり過ごしているのが素敵で、パリという街が好きになった。

おばあちゃんでも短いスカート履いてて、当たり前の違いを感じる。


私もいつか自分の家の窓から顔を出して、
コーヒー片手に「今日もいい日だな」と黄昏たいなぁ。

窓には植木鉢を飾れる格子をつけて、水やりをしたいなぁ。

という妄想が膨らんだ。



そして大本命のパラリンピックは、まさに”圧巻“の一言だった。

見入っている私と友達

私は全部で車椅子ラグビー、車椅子テニス、車椅子バスケ、ブラインドサッカーの4つの試合を観に行った。


どれも観るのは初めてで新鮮だったが、

やはり日本が優勝した車椅子ラグビーと、
スポーツとして馴染みのあるサッカーのブラインドバージョンは、別格で面白かった。


パリに行く前、

スポーツの授業で車椅子ホッケーをみんなでした時に、初めて車椅子に乗った

当たり前に車椅子を操縦しながら別の動きをするなんてことは簡単ではなかった。

「届けっ!!!!」

車椅子に乗りながらフリースローするだけでも、
まず座っている位置からバスケットにボールが届かず、「こんなのできるわけがない…」という感じだった。


奪い奪われ、追い越し追い越され、ぶつかりぶつかられ、
を繰り返す車椅子ラグビーは、迫力が尋常ではなかった

まさか私達が観に行った年が初の金メダル獲得になるなんて、何たる奇跡!
きっと私たちの応援も届いたんだね、と結果を良いように解釈しました。

これは日本対ドイツ戦🇩🇪🇯🇵


車椅子競技ではぶつかり合う種目だと、よくみんな横転する

そのスピード感にも驚くけれど、

起き上がった時に応援している国関係なく
みんなが「よし、ここからだよ」と言わんばかりに拍手を送る
どんな試合でもそれがしきたりなのかはわからないけど。

障害の世界ではよく「誰も取り残さない」「抜きにしない」という言葉が大事にされるが、

パラスポーツはまさにスポーツマンシップを体現しているように見えた。

車椅子を自分で操作してみてその難しさと怖さを実感したことで尚更、
あれを道具にしているスポーツへの尊敬の気持ちが芽生えた。

あまりそんな機会はないかもしれないけれど、もし車椅子に乗れる時があれば乗ってみてほしい。楽しいよ。


そしてもう一つは、楽しみにしていたブラインドサッカー

Eiffel tower stadiumという名前通り過ぎる会場

一つのボールをみんなで蹴り回す競技をブラインドの人たちでしてみようと最初に思ったのは、

どこの誰なんだろう。

あまりにも勇気がありすぎる。


キーパー以外は全員見えない人らしいが、
どうしてそんなに動けるんだろうと疑問に思ってしまうほどの動き方をしていた。

スイカ割りで少し回っただけでも今どこにいるか分からなくなってヨロヨロする自分を考えると、
走り回ってボールを探し蹴るなんて想像ができない。



ボールや物の声掛け存在感

色んな感覚を研ぎ澄ましてプレイしているんだろうなと見ているだけでも感じ取ることができ、

私の中にあったスポーツという概念がアップデートされた気がした。


選手たちはみんな、とにかく突進していく。
そして人や壁や車椅子などにぶつかり時には流血もしていた。

どんな覚悟で試合に臨んでいるんだろう。

怪我はつきもの、
それでもスポーツが楽しくてたまらないから突き進む、
ということなのかな。

私は結構スポ根に惹かれるタイプなので、
なんか途中でカッコ良すぎて泣きそうになっていたこともあったけど、
頑張って堪えた。変な人になるから。


なんて素敵な修学旅行をセッティングしてくれたんだろう、

先生達たくさん頑張ってくれてありがとう、

という気持ちでいっぱいです。



そんな私が通っているのは

Egmont højskolen(エグモント ホイスコーレン)

デンマークに来たら私に声をかけてね!

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