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毎回なんか話し合ってるみたいだけど・・・ハドルについて

 「ハドル」と呼ばれるものがある。アメリカン・フットボールの試合で、プレーの前、フィールドに出ている選手が円陣を組んで会議のようなことをしている光景を見たことがあるかもしれない。時間にして数十秒であるが、あの円陣を「ハドル」と呼び、これがまさに「戦略会議」なのである。

ビジネスの世界で

 ビジネスの世界でも、少人数でパッと集まってチャチャっと行う会議のことを「ハドルミーティング」というらしい。ただ、私は長く外資系企業にいたが、この言葉は聞いたことがなかったが・・・。
 もしあなたがアメリカ人とビジネスをする機会があったら、試しに、「ハドルしようぜ」とか言ってみてはいかがだろうか?間違いなく、意味はわかってくれると思うし、もしかしたら、その後アメリカン・フットボールの話題で盛り上がるかもしれない。

アメリカン・フットボール試合中のハドル

 さて、試合中のハドル。フィールドの外で行われる作戦会議もハドルと呼ばれるが、やはり、映像に写る、フィールド内でのハドルについてお話しする必要があるだろう。

 アメリカン・フットボールでは、一つ一つのプレーごとに、アサイメント(行うプレーに則った選手個々の動き方)が決められている。そのプレーの選択は、試合の流れ、点差、フィールドポジション、1stダウン更新までの残りヤード数などを考慮し、その都度決定される。そこでその“決定事項”を毎回、フィールドにいる11人の選手全員に伝える必要があるわけだ。

 これが、フィールド内でハドルが行われる最も大きな理由である。

 しかし、伝えるだけではなく、ときにはアサイメントを微調整する、他のメンバーが相手の情報を伝える、メンバー同士が叱咤激励をする、など、まさに“会議”が行われる。

時間制限がある

 とはいえ、イケてない会社のムダの多い会議や、おばちゃん達の井戸端会議のように延々と続けるわけにはいかない。
 試合では、“前のプレーが終わって(ボール・デッド)から次のプレーの開始まで40秒以内”というルールがあるため、この作戦会議は最大でも40秒。ただし、ボール・デッド直後でも、審判が「プレー開始できる」と判断して笛を吹く(レディー・フォー・プレー)と、そこから25秒以内。さらには、選手がそれぞれの位置にセットして、オーディブル(下記参照)があったり・・を考えると、実際に話せる時間はせいぜい10秒そこそこだ。

 この時間では、もちろん多くの議論をすることはできない。しかしながら、このわずか10数秒の時間ではあるが、これらのちょっとした“話し合い”がときに試合の優劣を左右する大きな情報交換となることもある。

「トゥース!」

 話はそれるが、オードリー春日さんの「トゥース!」というギャグ(・・・といえるものかどうかわからないが・・・)がある。これどんな意味があるの?というのが話題になったことがあるようだ。

 このギャグの真相は、一つの説である、「春日さんが高校時代アメリカン・フットボール部のとき、ハドルのときの掛け声だった」というのが間違いのないところだろう。

「ハドル!」→「ハ、ドール!」→「ッドーゥ!」→「ドゥ―!」
「トゥース!」
となるわけだ。
「ありがとうございます!」が「アザース!」になるようなものだ。

アメリカ的発想

 野球やサッカー、ラグビーなど他の団体スポーツでも、円陣を組むなどして作戦会議を行う、というシーンはあるが、1プレーごとに、なんてことはあり得ない。
 1プレーごとに作戦を決める、ディフェンスはその作戦を予想してやはり自分達の作戦をたてる・・・この緊張感がアメリカン・フットボールの醍醐味の一つだろう。

 これがまあ、作戦や戦略を重んじるアメリカ人が作ったスポーツって感じで、アメリカン・フットボールの最も“アメリカン”な部分のひとつだ。もともとは、アメリカでラグビーから発展したスポーツなのだが、アメリカ人は、「一回ごと作戦会議できるようにしたら、もっと作戦高度にできていいんじゃね?」という発想をしたんだと思う(これは私の想像)。

 しかしこれ、ビジネスに通じるところがあるとつくづく思う。いちいちすべての行動に「ハドル会議」を持ち出すわけではないが、行き当たりばったりではなく、どんなことにでも一つ一つの行動に“作戦”をたてる。少なくとも自分の頭の中では「ハドル」を行ってみる・・・・。このあたりもアメリカ的、と言えなくもない。

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