MIKU FES’24(春)で「ハジメテノオト」に自分の原点を思い出した話
MIKU FES’24(春)は最高のライブだった。その感想をどこかでまとめて書きたいのだが、思う事が色々あり、このライブで聞いたこの1曲について書きたい。
名曲が名曲と呼ばれる理由にはいくつかあると思うけど、歌の場合は、歌詞の普遍性があると思う。歌を聞いた人に、これは自分のことを歌っていると共感を呼ぶような、適度な歌詞の抽象度や解釈の余地があること。
私が「ハジメテノオト」を初めて聞いたとき、そんな普遍的な歌の良さを感じた。2007年の初音ミクが登場した当時、初音ミクのオリジナル曲には、キャラクターソング的な歌が多かった。もちろん、そうでない歌もあったのだが、その中でも「ハジメテノオト」に自分は特別なものを感じた。
初音ミクが歌う歌でも、こういう歌詞に共感するような普遍的な良さを持つ歌が作られるのかと、感銘を受けた。そして、初音ミクから何か新しい音楽が生まれるのでは無いかという予感もあり、私の初音ミクに対する見方が変わった曲でもあった。
MIKU FES’24(春)のライブ本編の最後の曲は「ハジメテノオト」だった。その歌に、初音ミクに出会った2007年当時の事を思い出し、2024年の今の状況と重ねた。
演奏は今のバンド演奏だったが、ミクさんの歌声は「ハジメテノオト」が発表された当時のVOCALOID2初音ミクの歌声のまま。そこに、2007年以来の年月の流れを感じた。
初音ミクが誕生した2007年当時、初音ミクという新しい歌声で、様々な作品が生まれた。初音ミクが歌う曲を通じて、自分の知らない音楽やクリエイターに出会った。「知らない曲」や「音」にワクワクした。
それこそが、私が初音ミクを追い掛けようと思った原点だった。
MIKU FES’24(春)では、懐かしい曲の演奏もあれば、若い出演者のDJで初めて聞いた知らない曲もあった。そんな今の自分を、その歌詞に重ねた。今も「知らない曲」や「音」にワクワクできているだろうか。
2007年から16年が過ぎ、知っている事もたくさん増えた。自分の生活環境も変わった。以前と同じように初音ミクを楽しむ事が、難しい状況も増えた。
それでも失くしたくないものは何だろう。自分が初音ミクに出会って、初音ミクを通じて知ったこと。それは色んな音楽を楽しむこと。「知らない曲」や「音」にワクワクする心。それが自分にとっての原点であり、失くしたくないもの。
その原点はミクさんの歌にあずけよう。失くしそうになったら、ミクさんの歌が原点を思い出させてくれるかもしれない。ハジメテノオトを歌うミクさんの歌声を聞きながら、そんなことを思ったのでした。
自分にとってハジメテノオトが原点であったように、私以外の誰かにとって、世界のどこかの誰かにとって、初音ミクが初めての音になりますように。
それを願うことが、世界のどこかでハジメテノオトを忘れかけたとき、自分の原点をまた思い出す事につながる気がしたのでした。