
推しの子〜テニスプレイヤー編〜
推しを見つけると、あなたの知らない世界に最も簡単に入りやすくしてくれる。
今日は友人に誘われ、1月の目玉イベントであるAustralian Open(略してAO)に行くことにした。
AOとは毎年この時期にオーストラリアはメルボルンにて開催されるテニスの4大国際大会のことで、今年は1/12〜26までの期間行われる。正直テニスなんて全く興味のなかったわたしは何故今こんなところでやるんだ?!と驚きを隠せなかった。なんせオーストラリアは夏真っ盛り、ただでさえ直射日光が強いこの地で開催されることが不思議だったわけだが、そんな私がちょっとテニスにはまってしまったのである。
わたしが行ったタイミングで行われていたのは予選試合。このAOに行けるか行けないかまだ未定の選手たちがしのぎを削りながら多く設置されたコートで奮闘していた。
わたしが誘われた日の夜、かの有名なテニスプレイヤー、ジョコビッチ選手とその友達選手で行うフレンドマッチ(親善試合のこと)が行われたのだが、私はそこには興味はなくたった$15で予選試合が見られるグランドパスというチケットを買った。いわば入場券みたいなものである。しかし行く前日、友人からわたしの買ったチケットでジョコビッチ選手の練習が見られると連絡があった。一丁前に「かの有名な」なんて言っているがテニスプレイヤーに全く興味のない私はジョコビッチを知らなかった!だからあなたが行きたいならと朝早く起きてついて行ったわけである。
朝11時からスタートされた練習は本大会で最も大きなアリーナ会場で行われた。友人に聞くとアリーナは普通ならば入れない会場ではあるが、予選試合期間はグランドパスを持っていれば入りたい放題なのだ。予選、万歳!
12時近いこの時間は日差しがつらい。だが多くのジョコビッチファンが彼を求めて朝早く起きて来ていた。中にはジョコビッチの故郷セルビアの国旗を掲げた小さな男の子が彼にエールを送るというなんともラブリーな光景を目撃したりもできた。
ふと相手選手に目をやると、鍛えた肉体がキラリと光っている。彼はフランスの選手で20歳の男の子であり、その若さからか非常に力強い球を打つ選手だった。私はテニスのテの字も全く知らないけども彼の打つ姿やボールの飛んでいく様は見ていて気持ちが良かった。
たった1時間30分の練習を見ただけで、わたしの推しは彼に決まった。推しを見つける前まではテニスコートでボールを追っかけるあの独特の動きをやりたかっただけなのに、彼を見つけて彼のプレーを見たことでわたしなりのテニスの面白がり方に気づいてしまった。それさえ分かればあとはこっちのものである。男女問わず、他の予選試合も楽しく拝見することができた。
これまでスポーツ観戦にそこまで情熱は持てなかったわたしだが、応援したい誰かができればそのスポーツ自体の面白さにも気づけるという一石二鳥を体感した。いくつになっても初めてがあるのはありがたいことだし、いつでも初めてには果敢に挑戦していきたい。ただやっぱりわたしは初めてのことに興味を持つきっかけはいつだって人なんだなぁと思わされたいいイベントであった。