見出し画像

ほぼ日トレース #019:旧オリンピックシンボルマーク案をトレースして感じたこと

今回はちょっと番外編です。

仕事の大半がwebやアプリのデザインですが、時々ロゴやイラストを作る機会があるので、3-4回みっちりUIトレースをして分析した後、こういう回をはさんでいきたいと思います。

今回は、例の不採用になった佐野研二郎さんのオリンピック・パラリンピックのシンボルマークをトレースして、デザインの特徴や盗作疑惑問題への対応方法など考察してみたいと思います。以下、トレースしたものです。

画像1

これが出された当時、私はまだデザインの勉強もし始めたばかりとかで、感覚的ではありましたが、個人的には結構好きでした。重厚感はあるけど明るく、ここ最近の海外で出されたシンボルマークとは一線を画した斬新さがあり、それでいてどこか1964年の東京オリンピックのシンボルマークを彷彿とするようなデザインであったと思います。デザイナー、非デザイナーに関わらず「実は、結構好きだった」という人が周りにも結構います。盗作疑惑はおいておいて。

トレースして見えたこと

🧐3*3のグリッド

画像2

こちらはオリンピック・パラリンピックのシンボルマークのベースとなるものですが、縦横3等分のグリッドで作られています。

🧐中心の円は少しはみ出ている

画像3

うっすら円のラインが見えると思いますが、こちらは土台の正方形から少しはみ出しており、ちょうど交点が辺の3分割された2点に重なるようになっています。こうすることで、金銀の部分と真ん中の黒の軸の先端が綺麗に収まります

🧐運用には超向いているレスポンシブルなデザイン?

今回トレースをしていて、先週だかSlackのロゴがリニューアルしたことを思い出しました

Slackの旧ロゴは、角度や色合いの調整が難しく、背景やサイズによってロゴの印象も変わってしまい、ブランドの一貫性が欠けていたことが課題になっていました。新ロゴはどんな背景・サイズでも一貫したデザインになるよう担保されています。参照:https://slackhq.com/intl-ja-jp-slack-new-logo

デザインを学んでいた頃と、デザイナーとして働くようになった今とで大きく変わったことの1つに、運用を意識するようになったことがあります。

学生時代の作品は、良くも悪くも刹那的な作品しか作りません。しかし、仕事で作るもの、中でもwebやアプリは少なくとも数年は見られ続け、汎用されていくものです。そうなると、大切なのは見かけ上の綺麗さだけでなく運用に耐えきれるかどうかを視野に入れてデザインすること

ブランドロゴも同様です。例えば、ロゴはスマートフォンの小さい面積にもデザインが崩れないよう、すなわちイメージを損ねないよう工夫が必要です。(個人の方のサイトですが、こちら面白いです。)

以上を踏まえると、佐野研二郎さんのシンボルマークは、非常に運用向きだったのでは、と思いました。色使いもはっきりしており、あらゆる背景・サイズにも対応しそうです。(以下お試し。下は12px*12px)

画像4

画像5


これからもつきもの、盗作問題

おそらく、何かを作る業界にいると、切り離せないこの問題。特に最近は、シンプルかつ抽象的なものがより好まれる傾向があります

先日PentagramがMastercardをリブランディングしたことが話題になりました。以前のものと比べると、グッとシンプルになり、より印象的なものになりました。

でもこれだって、似たデザインがありそうですよね。ですが、Mastercardに盗作疑惑が投げかけられないのは、その起源を皆が知っており、かつ制作プロセスが明らかになっているからだと思われます。これが、これからの盗作疑惑問題に対する、1つの解決策のような気がします。佐野さんも指摘された後になってそれを提示しましたが、もう手遅れでした。やはり、mercariやSlackがやったように公開と同時にオープンにすることが大切のようです

おまけ:トレース#019を終えて

そろそろ1/10が終わりますが、以下の変化がありました。

・レイアウトの引き出しが増えた
仕事でも「活きている!」と実感。デザインパターンを前より短い時間で複数、確信を持って出せるようになったと思う瞬間がチラホラありました。

・フォントへの意識が変わった
これまでなんとなく見ていた使用フォントですが、トレースする際調べるので、フォントの知識がついてきている感じがします。これまでも複数回登場するフォントが何個かあり、回数を重ねていけばトレンドも見えるようになりそうです。

画像6


次回予告>> やっぱりサービスが好き。動画アプリ3-4つやって、webサイトのレイアウト1つやろうかな。

いいなと思ったら応援しよう!