税理士試験と共に過ごした日の記録②財務諸表論
社会人になった。
正確に言うと入社する直前。
会社に対して不信感が募る出来事がいくつかあった。
詳しくは割愛するが、この会社に全面的に頼ってはダメかもしれない。と思った。
私は昔からかなり自分が感じた違和感を大切にしている。
もちろん、すぐにどうこうするわけではないが
その違和感を忘れず対策をしているうちに
その違和感が正しかった、対策をしていてよかった。と思うことがほとんどだった。
だから今回も対策として、これから入社する会社で力を持つことができるように、それができない場合には転職ができるように、準備をすることにした。
その両方を叶えられるのではないか、と思ったのが父からのアドバイスにあった税理士試験の科目合格を目指すことだった。
税理士は、多くの科目から5科目(選択必須科目はあるが)に合格することで資格取得ができる。
一つ一つの科目の合格実績は一生消えないから
一つずつ積み重ねることができる。
だから働きながらでも税理士は目指しやすいし
一つでも科目を持っていれば税理士事務所や会計事務所への転職にかなり有利。
そう、父から教えられた。
私の父は税理士で、小さいながら事務所を開業している。
簿記2級の次は税理士科目の簿記論、財務諸表論がおすすめだ、などと言われたが、今思うとまんまと口車に乗せられた気がしている。
コロナが始まる前の時代だった。
数泊を費やす新入社員研修を終えた翌日
私は、資格の大原札幌校に向かい
「税理士財務諸表論 初学者一発コース5月開講web通信 ※」を申し込んだ。
(※5月から開始し、一年と3ヶ月をかけて翌年の合格を目指す、かなりじっくりと取り組むことができるコース。勉強方法について記載してる箇所での○月は、試験日に最も近い月として記載している。)
確か4月7日とかだったと思う。
受付の職員さんに「まだ1月くらい始まりませんが大丈夫ですか…?」と
聞かれたことを覚えている。
税理士資格取得のための学校として
TACや大原、その他あるが(以下総じて予備校)
私は単に立地が良いことと大原の方が私にとってはより割引が効いたことから、大原を選んだ。
恐らくどの予備校でも大した違いはないが、大手の方が良い。
今までのデータの蓄積が物をいうのが税理士試験だと思う。
大原は自習室があり、通信生でも自習室の利用が可能である。
札幌駅から近いため利用しやすい。
特に試験直前期は大変重宝した。
また、勉強方法の相談等もすぐに親身になって担当者が対応してくれた。
独学でチャレンジし、合格を勝ち取る方ももちろんいるが、そのような方はよっぽど自分の勉強のペースが確立しており勉強が好きな人だと思う。
私は税理士をめざすのならば、やはりどこかしらの予備校にて講座を取ることが近道だと思う。
5月から財務諸表論の講座が始まった。
財務諸表論は理論(暗記科目)3割、計算7割配点の試験である。
勉強法については
・講義をためないようにする
・言われたように復習をする
という、なんらためにもならなそうなことしか言えないが恐らくこれに尽きるのだと思う。
大手の予備校の講座は、
いままでの経験を生かして本当によく考えられている。
この講座のカリキュラムに愚直に従うのが最も良い。
だが簡単で当たり前に見えて、この時間の確保が働きながら勉強する人にとっては最も難しいと思う。
私は、当時実家に住んでおり、夕飯時には両親が毎晩晩酌をしていたから私もつい、一緒になってお酒を飲んでしまうこともあった。
それを我慢しても両親が楽しげなテレビを見ていたら勉強も集中ができなかった。
このままだと勉強時間が確保できないと思い
私は勉強を朝に切り替えた。
朝4時に起き、出勤前に2時間。
休憩時間と通勤時間を合わせて2時間。
夜やる気があれば1時間。
計4時間〜5時間確保した。
1週間の勉強計画を立て、平日こなせない部分を週末で片付ける。(プラス苦手論点の復習)というサイクルで過ごした。
これは決してずっと行ってたわけではない。
飲み会があった次の日は4時に起きることなんてできないし、土日に友人と遊びに行くこともある。
それは1ヶ月のうちの予備日を作ることで対応ができた。
理想的な勉強時間を確保していたのは月の8割程度だと思う。
私がやってよかったことは
・暗記用の書籍を常に持ち歩き、隙間時間があれば見る
・総合問題をとにかく数多くこなす
これも当たり前と言えば当たり前のことでしかない。
暗記書籍については、企業会計原則など、覚えたそばから抜けていくような普段は使わない文言だらけなので、抜けたそばから覚えていく、という方法を取るしかない。
私は、直前期(5月ごろ)まで、きっちり暗記できておらず勉強をした記憶はある分、成果が出ていないことに焦る日々だったが、次第に抜けていく量が減っていくため
「あ、これ今回は覚えたままだな」と思うことができるようになった。
これはなんと6月の後半ごろだ。
暗記の仕方は、初期はざっと読む。
1度では暗記ができないのはもちろんだが、丁寧に解説を読んだところで理解することも難しい。
2月ごろになり、計算カリキュラムが大まかに終わったあたりで
1ヶ月かけて丁寧に解説部分も読み込み、理解することにも注力した。
このころは計算と並行して理解を進めて、初めて理論も理解がすることができた。
しかし、かなりな部分は丸暗記で臨んでいた。
7月になると、特に総合問題か試験本番を想定した演習ばかりしていた。
これは試験は問題傾向への慣れと時間配分でかなり結果を左右すると大学受験時代によく言われていたからだ。
この総合問題や、試験本番を想定した実践演習の問題について、やはり大手予備校は良質な問題を多く用意しており、講座を取得することで、自動的に今年の最新問題が送られてくるため
自分で調達する必要が無く、大変便利だった。
採点サービス等もあるため、基礎期(知識習得期)は独学だとしても、直前期の演習問題を手に入れるというだけでも、大手予備校の講座を取得することをおすすめしたい。
そして、大手予備校は商売上手だから、ちゃんと直前期の演習のみのコースも用意されている。
私が財務諸表論を受けた年は、収益認識基準について、そろそろ試験に出てくるかもしれないな…?という頃であり直前期には対策回もあったが
当時は、銀行の窓口で入出金業務等ばかりを行う日々で、実務とのかかわりも薄くさっぱり理解ができないため出題されたら落ちるな、と思っていた。所謂捨て問にした。
記念すべき、初めてのチャレンジ。
全体を通して試験1回目にしてはかなり落ち着いて解くことができたと記憶している。
本格的に税理士を目指していたわけでもなく
まあ、取れたら職場内でちょっと評価されるかもな、とか転職考えたときに有利になるかもな、程度の気楽さだった。
だからこそうまくいったのかもしれない。
結果、財務諸表論は合格した。
③へ続く