見出し画像

名文today_9/『さよなら広告 さよならニッポン』

===

天衣無縫で、子どものように自由に歩く天野さんを、時に母親のように、島森さんは見守っていた。おしゃべりが好きな天野さんの横で、島森さんは黒子に徹した。彼女は、おそらく、この国で最高のインタビュアーであったが、そのことばは、活字になったとき、ごくしめやかに、そっと対話相手の横に置かれているだけだった。もしかしたら、そのような生き方こそが、天野さんと島森さんが作り上げた「広告批評」のあり方そのものだったのかもしれない。

===

『天野祐吉対話集』より / 「天野さんのこと」高橋源一郎 / 2014 / 芸術新聞社

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?