硬膜に優しい針-腰椎穿刺でAtraumatic needleを用いる意義について
すでに3年経過したレビューですが、腰椎穿刺針も結構昔から新しい針がありますよということを最近しりました。
腰椎穿刺に関する有害事象で最も起きやすいものは腰椎穿刺後頭痛(Post–dural puncture headache (PDPH))で腰椎穿刺の11%~36%で生じると報告されています。
PDPHに関係する要因として針の形状について研究されてきました。従来の穿刺針は硬膜に生じる裂傷が大きく、これにより脳脊髄液の喪失が増えることでPDPHが増えるという説があります。
このシステマティックレビューでは、従来の腰椎穿刺針とペンシル型の腰椎穿刺針(atraumatic needle)を比較した31412人を含む110のランダム化比較試験を解析してどちらの針が硬膜にやさしいかを見ました。
下記図の左側がAtraumatic needleで、右側がConventional needleです。Atraumatic needleの方が硬膜に生じる裂傷が小さいと言われます。
【研究概要】
Patinets 腰椎穿刺を受けた31412人
・ミエログラフィーが約4%
・診断目的が約5%
・麻酔目的が約91%
Intervention Atraumatic needleを用いた穿刺
Comparison 従来の腰椎穿刺針(Conventional needle)
Outcome 評価項目
主要評価項目…PDPHの発生
Atraumatic needle群で4.2%
Conventional needle群で11%
NNT 11人
副次評価項目のうち、輸液や鎮痛薬を必要とした症例、神経根痛、難聴、頭痛はAtraumatic needleで有意に少なかった。
副次評価項目である、traumatic tap, 初回成功率、失敗率は差を認めなかった。
Conclusion 結論
Atraumatic needleによる穿刺は、腰椎穿刺の成功率は従来の穿刺針と同等で、かつ腰椎穿刺後頭痛やその後の追加治療を要する症例が少ないことと関連があった。
【個人的感想】
すでに3年経過しているレビューですが、まだAtraumatic needleを見たことはありません。腰椎穿刺後の合併症が明らかに少ないのであれば、そろそろ広まって使用してみたいところです。
NNT 11という数値からは積極的に採用していい穿刺針だと思います。問題はどこの業者が扱っているかですが。