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COPDの方に対する夜間だけの低酸素血症に在宅酸素療法は効果があるか?

Randomized Trial of Nocturnal Oxygen in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med 2020;383:1129-38. DOI: 10.1056/NEJMoa2013219
【概要】
 在宅COPDに対する在宅酸素療法(HOT) はPaO2 55mmHg以下や労作時・睡眠時に著しい低酸素血症を来す場合に適応がありますが、夜間単独の低酸素血症を指摘することはこれまで困難でこれに対するHOTの導入は少ないと思います。
 本論文は夜間のみの低酸素血症をきたす症例に対するHOTの効果を見ています。

 対象者はCOPDの診断がついている方で睡眠中に30%以上の時間SpO2 90%未満になる方で、1:1ランダムに酸素投与群と送風群に割り付けています。主要アウトカムは全死亡とNocturnal Oxygen Therapy Trial (NOTT) criteriaのHOT導入基準を満たした症例を合わせた複合アウトカムです。(NOTT criteriaは日本のHOT導入基準とほぼ同じと考えてよいと思います。)
 Table1の患者背景を見ると研究登録者に一秒量は約1L、%FEV1は42%、MRC dyspnea scaleは約3.2点、治療内容はICS/LABA/LAMAの3剤吸入が約80%とCOLD stage Ⅲ(severe)の症例でした。

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【結果】
 本研究は600症例目標であったが症例不足で243例の登録に留まりました。
約3年の追跡期間で夜間酸素投与群では39%(123人中48人)、送風群では42%(119人中50人)が死亡またはHOT導入を必要という結果で有意差なしでした。
 Talbe2に死亡とHOT導入の症例数が記載されていますが個別でも有意差はありません。

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 目標症例数に達しない研究でしたが、COPD患者に対する夜間のみの低酸素血症に対するHOTは現時点で良いアウトカムに貢献しないという立ち位置でしょう。

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