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群発頭痛に対するプレドニゾンの使い方と効果について

プレドニゾンは群発頭痛の治療において、予防治療としてのベラパミル療法への移行時、頭痛発作を抑制した。

Safety and efficacy of prednisone versus placebo in short-term prevention of episodic cluster headache: A multicentre, double-blind, randomised controlled trial.
Lancet Neurol 2021 Jan; 20:29.

【はじめに】

 群発頭痛は、ある期間内に激しい頭痛発作が頻発する頭痛のひとつで、男性に多い疾患です。頭痛が集中する期間は非常につらく、日常生活に多大な支障があります。
 治療は頭痛を和らげるための治療と、頭痛発作を予防する治療に分かれます。(up to dateでは前者をacute headache treatment、後者をheadache preventionと記載しています。)

【研究の概要】

研究形式:多施設、二重盲検、プラセボ比較試験

Patient 対象者 
反復性の群発頭痛で、過去の発作が30日を超えて持続したことがある患者 109名

Intervention 介入群 
プレドニゾン100㎎を5日間内服で開始し、以後3日ごと20㎎ずつ漸減して終了した。
(Day1-5 100mg, Day6-8 80mg, Day9-11 60mg, Day 12-14 40mg, Day 15-17 20mgというように合計17日間内服しました。)

Comparison  対照群 
プラセボを17日間内服

全ての参加者でベラパミルとpantoprazole(上部消化管の副作用対策)も受けた。ベラパミルは1回40㎎を1日3回内服から開始して、3日ごと40㎎ずつ増量して1日360㎎まで漸増しています。

Outcome
●主要評価項目
治療開始1週間以内の頭痛発作の回数です。
本研究の頭痛発作の定義は片側性の中等度~重度の頭痛でNRSスケール5点以上としました。(0[痛みなし]~10[最悪の痛み]までの11段階で疼痛の強さを表現したもの。)

●結果
治療開始7日までの頭痛発作回数はプレドニゾン群で7.1回、プラセボ群で9.5回でプレドニゾン群で有意差をもって少なかった。
(下のtable2 の一番上のCluster headche attacksの回数が上記の数字です。)

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下記Figure 2は1日当たりの頭痛回数をプレドニゾン群(青)、プラセボ群(赤)で表示しています。0-14日目ぐらいではプレドニゾン群のほうが頭痛回数が少ない印象です。その差は頭痛回数にして1回未満ですが、激しい頭痛が少しでも減るとありがたいと感じる人は少なくないと思います。

画像2


 副次評価項目のうち、頭痛発作回数や頭痛日数、頭痛の程度、頭痛薬使用回数などはプレドニゾン群で良い結果でしたが、SF-12やHIT-6などのQOLの評価では有意差を認めませんでした。

●個人的感想
 本研究からは群発頭痛の予防治療としてベラパミルにプレドニゾンを追加する治療は頭痛発作や日数、程度を緩和する目的で十分使用に値する印象です。
 QOLの評価を見ると1週間に2回程度の頭痛が減ったくらいでは、群発頭痛の治療として患者が求めるレベルには至らないのでしょう。これは、群発頭痛の1回1回の発作が非常に辛いものだからなのだと想像します。

 QOL改善が明確ではありませんが、頭痛回数がしっかり減る効果を示したことは大きな意味があると思います。

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