虫の知らせ/備忘エッセイ #13
父がこの世から旅立って昨日で49日。一区切りを迎えたら書こうと思っていた不思議なエピソードがある。
「虫の知らせ」って耳にしてきたけど、自分の身にもいつか起きるんだろうか……半信半疑で密かに待っていたところもあったのに、いざそれが自分の身に起きてみると、最初は気づかずにいた。
2024年3月16日。変な夢で4時過ぎに目が覚めた。いや、目が覚めたというより飛び起きた。
暗い視界のきかないところを隊列を組んで歩いている。どんどん早足で進むのでついていくのが精一杯。
そして、岩場のようなところに来たところで前の人がさっと身を隠すようして見失ってしまう。残された自分の眼前には急斜面の岩壁。
しょうがないので岩をよじ登り出したら後ろから気配。猛烈な勢いで迫ってきた野犬に噛みつかれ、引き戻されるようにして目が覚めた。
噛みつかれた感覚がリアルで動悸が激しく、いったいなんなんだと怪訝に思う。
この時点で虫の知らせかもとよぎっても良さそうなものだが、恐さの方が先に立って勘が働かなかったようだ。
トイレに行き、眠れないので、その頃睡眠導入的に読んでいた『遠い太鼓』を開き、まどろんできたので2度寝。
それから1時間ほどだろう。5時45分にスマホの着信音に起こされ、出てみると妹から「父が永眠しました」と……。
その日のうちに道北から実家の名古屋へ。旭川空港からセントレアの直行便がない時期なので遠い。
翌日通夜。そして朝の葬儀の最後に導師の方が三途の川の話をしてくれて、あぁそうだったんだと。命日に見た夢は、父が三途の川へと向かう途中だったんだと。
後で調べると、三途の川の手前には賽の河原があり、親よりも先に死んでしまった子供達が石を積み上げているという。
私がよじ登ろうとしていたのは、その積み上げられた石だったのだろうか?
そして、噛みついてきた野犬は「ここはまだお前のくる所じゃない」と現世へと連れ戻してくれた狛犬的な存在だったのだろうか?
この答え合わせは私が死ぬ時に分かるのだろうか?
私は自分の走馬灯を観るのを楽しみにしながら自分の物語を綴っている人間だが、この答え合わせが待っていると思うとさらにワクワクしてきた。
でもまだ死にたくない笑
memento mori
バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。