知る人ぞ知る? SDGs というゲームのルール
この記事は、2020年に名寄新聞で10回に渡り連載した「ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ」のリライトまとめ版です。
2021年は北海道庁の派遣事業などで SDGs について話す機会が増え、補足資料としてこの連載を紹介する時にばらけていて読みにくいことに気づきまとめたかったのと
「だ・である調」だと硬くて難しい印象があるので「です・ます調」に変えて柔らかく優しい印象にしたかったのとで、リライトしてまとめました。
他にもマイナーチェンジしたのでタイトルも変更してみました。
スキやシェア、あわよくば読後の感想などいただけると持続可能な頑張りを見せます。
それは欲張りだとしても、ご一読いただけたら幸せです。ではでは。
知る人ぞ知る? SDGs というゲームのルール
1. ルールのないゲーム?
Sustainable Development Goals の頭文字を取って SDGs(エスディージーズ)、和訳すると「持続可能な開発目標」……今ではテレビやラジオでも毎日のように出てくる言葉になりました。
世界が2030年までに達成しようと決めた共通目標は、実に17。すべて言える人はいるでしょうか? さらに、その17目標毎に設定された細目のターゲットは169もあります。
壮大なスケールのゲーム、Sustainable Development Games は2015年から始まっています。しかし、一番大事なものが抜けているような気がしてなりません。
ちなみに、このゲームのトップを走り続けている国はスウェーデン。SDGs の達成度・進捗状況に関する国際レポート Sustainable Development Report(持続可能な開発レポート)内にランキングとスコアが記載されているのでスウェーデンと日本のランキング&スコアを抜き出してみましょう。
個人的には順当なところだと感じます。根拠は何か。
「このゲームのルールを知っているから」というのが私の仮説です。持続可能な開発というゲームを行う上で、はみ出してはならないルール・原則をスウェーデンは知っている。
そう、私が「一番大事なものが抜けている」と感じているのが、まさに、この「ルール」です。ゲームはスタートし、ゴールは示された。しかし、ルールがはっきりしていない。いざ走り出すと「それはルールに反している」とスタートに戻されるかもしれません。
具体例を示しましょう。ある企業は、気候変動の主な原因である化石燃料からの二酸化炭素を減らすため、発電の燃料に植物性のパーム油を使うことを決めました。SDGs13「気候変動に具体的な対策を」にあたるチャレンジです。
ところが、パーム油を使うことが熱帯林の消失と生物多様性の減少につながると環境団体や市民から「待った!」がかかりました。SDGs15「陸の豊かさも守ろう」に反するというわけです。
ルールを記した取扱説明書=トリセツがあれば、こうした衝突を予測して別な行動が取れたはず。
この連載では、持続可能な開発のルール、Sustainable Development Rules の頭文字を取って SDRs(エスディーアールズ)について考えを深めていきます。読み進むうちに SDGs に取り組むことが面白くなることをゴールに見据えて。
2. 持続可能な社会の4つのルール
前回、SDGs ランキングでスウェーデンがトップを走る仮説として「このゲームのルールを知っているから」と書きました。そのルールとは?
1989年、スウェーデンにナチュラル・ステップという環境団体が設立されました。その目的こそが、他でもない、持続可能な社会の原理原則を導き出すこと。
ガンの研究をしていたカール・ヘンリク・ロベール博士が作成した草案を元に、数多くの科学者たちが対話を重ね、草案を何度となく書き直し、ついに、1992年、持続可能な社会の4つのシステム条件として公開しました。
ちなみに1992年といえば、ブラジルのリオデジャネイロで地球サミットが開催され、SDGs の起源となりました。この歴史的なサミットに日本の首相はビデオ参加……バブル崩壊もあって持続可能な社会構築に遅れを取りました。
動画:地球サミットでのセヴァン・スズキさん(カナダ、当時12歳)によるスピーチ
一方でスウェーデンは、地球サミットで決まった約束事を忠実に実行しました。21世紀に向け持続可能な開発を実現するため、地域の行動計画「ローカルアジェンダ21」を作成するよう基礎自治体であるコミューンに勧告し、地球サミットでの目標年の1996年には、すべてのコミューンでその作成を終えたのです。
画像:スウェーデンのベクショーコミューンで稼働する巨大な木質バイオマス熱電併給プラント(著者撮影)
話を元に戻しましょう。ナチュラル・ステップが提唱する持続可能な社会の4つのシステム条件、言い換えれば4つのルールは次のとおりです。
正確さより簡明さを優先した表現にすると
となるでしょうか。SDGs の17目標と比較するとたかが4つ。されど4つ。次回からはその背景にある考え方や基礎科学について解説します。
3. 知識ではなく道具として
前回はナチュラル・ステップが提唱する持続可能な社会の4つのルールを紹介しました。15年ほど前から機会があるたびに紹介してきたので見聞きした覚えのある方もいるかもしれません。しかし、残念ながら定着しませんでした。
たかが4つ、されど、科学者たちが選りすぐって構築した4つ。その内部には、日進月歩の科学の世界で変わらず受け継がれてきた基礎的な科学法則が組み込まれています。こうした基礎を、単なる知識ではなく論理として身につけ、道具として使いこなすには、丁ねいな説明と練習を繰り返すことが必要でした。
こうした反省を踏まえ、この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください。
さて、今回から4つのルールの元になっている考え方について解説します。
まずは、4つのルールのうち3つで使っている「自然」について。ここで言う「自然」とは、生物が暮らす区域のこと。生物圏(せいぶつけん)と言い換えることができます。高山の樹冠から低地の木の根、そして海の表面から海底まで、地球全体から見れば表面のごく薄い空間の中で、様々な命がお互いに関わり合っています。
次に、4つのルールの1つ目に出てくる「地殻(ちかく)」は、読んで字のごとく地球の殻(から)、図の③の部分です。
出典:藤井一至(2018)『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』光文社新書、p21図4より転載
この地殻と生物圏との間には、人類が誕生する前から物質の流れがあります。1つは生物圏から地殻への流れ。地中深くへと埋もれていった生物の死体が、長期間の高温と高圧で石油になるのがその例です。
もう1つが地殻から生物圏への流れ。例えば火山の噴火で地殻の物質が生物圏に放出されます。2022年1月、南太平洋のトンガ諸島で、海底火山の大規模な噴火が発生しましたね。
ここで重要になるのが「循環(じゅんかん)」。生物圏で物質がめぐること、生物圏と地殻とで物質がめぐること。こうした循環と文明との関わり方が問われる時代になったのです。
4. 物質は消えずに拡散する
持続可能な社会の4つのルールの元になっている考え方を紹介する2回目。循環を考える上で大切な物質やエネルギーに関する基礎的な科学法則二つについて解説します。
一つは「物質やエネルギーは、消失することも、作り出すこともできない」という熱力学の第1法則。高校の物理で習ったり、どこかで聞いたことがあるという方も多いはず。エネルギー保存の法則とも呼ばれます。
地球の誕生以来、物質やエネルギーは、その形態こそ変化しても、全体としては変わっていません。だから、あなたの鼻毛を構成する炭素は、1億年前に恐竜が排泄した糞に含まれていたものかもしれないのです。何か臭う? それは気のせいでしょう。
また、自動車を走らせればガソリンタンクは徐々に空になっていきますが、ガソリンの成分が消えて無くなったわけではありません。燃焼によって熱エネルギーや排気ガスといった目に見えない形態に変化しただけです。
もう一つは「物質やエネルギーは拡散する傾向がある」という熱力学の第2法則。エントロピー増大の法則とも呼ばれます。これについてはみなさん日々実感していますね。
放っておけば部屋の中は物でどんどん散らかっていくし、どれだけかんばって片付けたところで、ちり・ほこりはどこからともなく湧いてくる。「どこからともなく」と書きましたが、このちり・ほこりにも元はあります。
「何を当たり前のことを」と思うかもしれませんが、この逆のことは起きないというのが大事なポイントです。ちりやほこりが自然に集まって最新のスマホになったら大ニュースですよね。
こうして散り散りになった物質は主に生物圏でずっと循環します。地球の誕生が46億年前。生命誕生は38億年前とも言われていて、それ以来の永遠とも思える物質循環の中で少しずつ今の生物が暮らす環境が整い、循環のバランスが取れてきたのです。
この循環のバランスを崩すような物質、あるいはこの循環になじみのない物質を投入するとどうなるのか。論理的に考えることもできますが、歴史から学ぶこともできます。
*生命誕生については海洋研究開発機構(JAMSTEC)とスプラトゥーン2のコラボプロジェクト『ジャムステ〜ック』サイトの「地球46億年の歴史と生命進化のストーリー」を参照
5. 植物は神か
前回、散り散りになった物質は主に生物圏でずっと循環すると書きました。しかし、散り散りのまま循環するのではなく、循環しながら新たな形の一部になります。この再構成を支えているのが他ならぬ植物なのです。
物質は、有機物と無機物とに区別されるますが、多くの生物は、無機物から有機物をつくり出すことができず、食べ物から有機物を取り入れることで体を再構成しています。こうした生物を「消費者」といいます。
一方、植物は光合成で無機物から有機物をつくり出すことができ、この有機物が他の生物の栄養となっています。このことから植物は「生産者」に区分けされます。
植物を始めとする生産者がいなければ、有機物は菌類などの分解者により無機物へと散り散りにされたままとなり、地球は無機物砂漠になるのではないでしょうか。実際、世界の砂漠化は進み、海の砂漠化も指摘されています。
これだけでも植物の重要性がわかりますが、おまけに酸素まで生み出してくれて、さらに、有機物と酸素を生産するエネルギー源として地球外から絶えず降り注ぐ太陽の光を利用できる点でも特別な存在です。
図:生産者・消費者・分解者と有機物・無機物の関係
植物は神か。少し話がそれますが、植物がコミュニケーションを行い、学習することもできるという研究成果が増えつつあり、特に木々には知能や記憶、さらには感情があるのではないかと考える科学者が増えているといいます。
これほど高度な能力を持っているにも関わらず、植物はあまりにも当たり前に存在するため、そのかけがえのなさを見失いがち。
歴史を振り返ると「森が破壊される時、文明も滅びる」と言われています。同じ過ちを繰り返さないためにも、植物と私たちの社会との関わり方を今一度見つめ直すきっかけに SDGs がなれば……そう願ってやみません。
6. 持続不可能な具体例
3回に渡り持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方を紹介してきました。
地学の視点から生物が暮らす区域「生物圏」と地球の殻「地殻」について。
物理学の視点から「物質やエネルギーは、消失することも、作り出すこともできない」という法則と「物質やエネルギーは拡散する傾向がある」という法則について。
生物学の視点から「生産者・消費者・分解者」と「有機物・無機物」の関係、植物の重要性について。
そして、すべてに共通するキーワードとして「循環」がありました。
これらを踏まえ、持続可能な社会の4つのルールを確認していきましょう。
まず一つ目「自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない」については、持続可能ではない具体例が肌感覚で浮かぶと思います。
もはや温暖化という言葉が生ぬるく感じる夏の暑さ。その主な原因は、地殻から掘り出した化石燃料を燃やすことで発生した二酸化炭素、この濃度が私たちの暮らす生物圏の中で増え続けていることです。
他にもあります。温暖化を始めとする気候変動が大きな問題になる以前、日本の環境問題と言えば公害問題でした。
地殻から掘り出した銅、水銀、亜鉛、カドミウム、鉛といった重金属は毒性が強く、それらの濃度が排水などを通じて生物圏の中で増えることで公害病を引き起こしたのです。
その反省から様々な規制が作られ、例えば日本の旧鉱山から今なお出続けている汚水は適切な処理が行われていますが、規制が整っていない国では同じ過ちを繰り返しています。
こうした持続可能ではない例から見えてくるのは、地球の進化に逆行している私たちの社会の姿なのです。
推せん図書:寄藤文平(2017)『元素生活 完全版』化学同人、物質の元、元素がコミカルな人の姿に変身してパラパラ眺めているだけでも楽しい本
7. 地球の進化に寄りそうように
前回は「こうした持続可能ではない例から見えてくるのは、地球の進化に逆行している私たちの社会の姿だ」という締めくくりでした。
かつて地球の表面は、今よりはるかに二酸化炭素の濃度が高く、重金属や硫黄化合物、アンモニア、メタンなど、人類にとって有害な物質が混ざり合っていて、生存できるような環境ではありませんでした。
その後、細胞生命が誕生し、二酸化炭素は吸収・固定され、重金属などと共に海底深くに沈み、積み重なり、石油や鉱物となっていきました。
億単位の年月を積み重ねて、ようやく人類にとって持続可能な環境が整ったのです。にも関わらず、18世紀後半の産業革命から、わずか200年程度で一気に地球の進化に逆行し、生存環境を悪化させてしまいました。
これは、持続可能な社会の4つのルールの「③自然が物理的な方法で劣化しない」にも共通して言えます。植物たちが、太陽光をエネルギーに二酸化炭素などの無機物から有機物を作り出し、同時に酸素も供給してくれるおかげで、命の営みは守られ、循環し、持続可能になりました。これが地球の進化です。
植物たちだけではない。植物たちを起点とする命の循環の中で生物は多様性を広げ、その多様性自体が生物の持続可能性を守っています。もし生物の多様性が少なければ、環境の変化に対応できずにある生物の種が絶滅すると、その種を食べ物にしていた種が絶滅し、その連鎖ですべての生物が絶滅してしまいます。
また、薬の多くがそうであるように、様々な生物から人間社会にとって有益な物質が新しく発見されてきました。まだまだ未発見のものもあるでしょう。そうした価値も自然が劣化することで失われてしまいます。
しかし、農地利用や工業化・都市化を目的とする大規模な破壊により自然は劣化し続け、2019年にはアマゾン火災が国際問題となりました。
地球の進化の方向に寄りそうように人間社会を軌道修正する。そのためのゴールが SDGs なのでしょう。
動画:天塩川水系に戻ってくるサクラマスは海の栄養を森へと運ぶ役割も担っている(著者撮影)
8. 神すらおよばない領域
今回は持続可能な社会の4つのルールのうち「②自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない」について理解を深めたいと思います。
「人間社会が作り出した物質」の例を挙げてみてください。海洋プラスチック汚染やマイクロプラスチックが大きな社会課題となった今のご時世ならプラスチック(以下、プラと略)が真っ先に挙がるでしょう。定番は農薬でしょうか。
では、プラを例に、その濃度が増え続けるとなぜ持続可能ではないのか考えてみましょう。プラはどこから来てどこへ行くのか。
プラの原材料は石油などの天然資源ですが、人工的に合成して作られます。そのため自然には存在しない分子構造になっています。それはつまり、自然の営みでは分解されない、あるいは分解され難いということを意味します。ここが1つのポイント。
物質は消えることなく、散り散りになりながら循環する。生物圏の循環の中に分解されない物質が混ざり、その濃度が増え続けるとどうなるでしょうか。
その答えの一つが海洋プラ汚染であり、マイクロプラによる人体汚染です。分解されない物質を次々と生物圏に放り出せば、たまり続けるのは必然です。
そして、自然に存在する物質は、気の遠くなるような長い年月の循環の過程で生物の生存に適した濃度に落ち着き、安全性や毒性に対する本能的な理解も身についていますが、人工的に合成して作られた異物が、どの程度の濃度や期間で何に対しどのように作用するかについてはだれも分かりません。
ごく限られた条件下、実験環境下で問題ないというデータがあったとしても、地球の歴史の検証と比べれば浅はかで、時の洗礼を経ていないという点がもう1つのポイントです。
また、たとえ単体では安全だとしても、いくつもの人工的な物質が同じ場所にたまった時に何が起きるのか、複合汚染の問題は神すらおよばない領域だでしょう。神が創造したものではないのだから。
画像:下川町内のスーパーなどに置いてある「下川の貸し出しカバン」略して「シモカバ」は2009年からレジ袋削減に貢献し続けている(筆者撮影)
補足:「シモカバ」を発明した若シュフ会は第1回「北海道新聞エコ大賞」家族・サークルの部で大賞を受賞した
9. 環境か経済か vs. 環境も経済も
実は、前回までに解説した3つのルール
で持続可能な自然環境の原則は完結しています。
問題なのは、このルールから外れて暴走する生物がいること。地殻から掘り出した物質と自然に存在しない物質の濃度を増やし続け、あまつさえ自然を物理的に劣化させ続ける。その反動で気候変動による災害を受けてなお、思い切った修正ができない。
他でもない我々人類です。その人類が3つのルールを守るには何が必要なのか。それが4つめのルールになります。
日本には「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあります。人は基本的な生活が成り立って初めて礼儀や節度をわきまえられるようになるということ。スウェーデンの環境 NGO ナチュラル・ステップも同じ結論に行き着いたわけです。
今日、明日の食事の心配をしなければならない状況では、①〜③のルールを破ってでも食いつないで生きる道を選ぶ。そういう人たちに思いをはせなければ、誰一人取り残されない状況を考えなければ、みんなで持続可能な社会を目指すことはできない。
ふり返れば、1972年に環境問題についての世界で初めての大規模な政府間の会合、国際連合人間環境会議(通称:ストックホルム会議)が開催されて以来、世界はずっとこの課題と向き合ってきました。
「環境破壊をやめようというのは、経済的に発展した先進国のエゴで、これから経済成長を目指そうという発展途上国にブレーキをかけるようとしている」。この主張に代表される「環境か経済か」という二項対立論に「環境も経済も」という二項両立論を代替案として提示してきました。
その最新版が SDGs なのです。そういう視点で17の目標をチェックし直すと、みなさんの目にはどう映るでしょうか。
10. ルールは変えていくもの
前回の「環境か経済か vs. 環境も経済も」に対し「今はまさに後者の時代」というご意見を複数いただきました。ちなみに「環境も経済も」を両立している企業といえば?
イケアと答えた方はいるでしょうか。世界最大の家具量販店。積極的に環境問題に取り組む企業として知られ、SDGs の目標年である2030年までに、再生可能な素材かリサイクル材を全ての商品に採用する目標を掲げています。「環境も経済も」の代表格と言えるのではないでしょうか。
では、1992年に持続可能な社会の4つのルールを公開した環境 NGO ナチュラル・ステップの最初の顧客は? そう、イケアです。どちらもスウェーデンから生まれました。
さて、連載10回目、内容的にも一区切りとなるので、今回でひとまず終了とします。この連載では、SDGs というゴールを目指すにはルールを知っていた方が面白くなる、ということでナチュラル・ステップの提唱する持続可能な社会の4つルールについて掘り下げてきました。もう暗唱できるでしょうか。
公開されて四半世紀が経過した今、読者のみなさんはどう感じたでしょうか。
私は特に②の「人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない」と関連して、急速なテクノロジーの発達に不安を感じる一方で、AIの進化によって4つのルールをすべてクリアしてしまう手法が体系化されるのではないかと現実逃避的な期待も抱いています。
大切なのは、ルールというものは不変ではなく、人々の意識や社会の変化、テクノロジーの発達によって変わっていく、いや、変えていくものということ。
SDRs(Sustainable Development Rules)研究所では、ナチュラル・ステップの4つのルールを元に、下川での仮説と検証や様々な人・組織・地域の事例を織り込みながら、変化の激しい時代の羅針盤になるようなルールを提案していきたいと思っています。一緒に研究したい方はぜひご連絡を。ここまで読んでいただきありがとうございます。