「偏りの少ない民意の反映」のための議員定数【増】が軸、自治体DXを前提にメタバース議会へ!?/議員の成り手不足解消への試論その3
その2の続きです。
議員の成り手不足解消に向けて、現行制度でもできる改善策について思案をめぐらせてみようと思います。
結論から言うと、ざっくりとした方向性としては、議員報酬は減らし、議員定数は増やした方がいい(ただし定数は奇数に)のではないかと考えています。
ただし、自治体DXなどいくつかの前提を満たした上で、というのが条件になります。
実は、以前は真逆で、報酬【増】・定数【減】の(そして議会事務局職員は役場職員の異動ではなく専属の)少数精鋭議会を念頭に置いていました。
しかし、その2で述べたように、小規模自治体の政治的判断は情緒的な判断に流れやすく、議員の数を減らすと一時的な感情論で民意に偏りが生じた場合に軌道修正がより困難になる……議員任期が終わりに近づくにつれそう感じるようになり、考えを改めました。
そもそも、民主主義の理想は、住民に選ばれた代議士による間接民主主義より、住民による直接民主主義ですから、意思決定に関わる人数は多い方がいいはずです。基本的には。
また、報酬【増】・定数【減】により、議員一人にかかる責任の重みが増します。議員の成り手不足の理由として、責任の重さ、そしてその重さに伴う世間の視線があります。顔の見える関係で暮らし続けなければならない小さなコミュニティほど世間の視線は気になります。
個人的には、女性の方が責任の重さと世間の視線をより嫌う印象があり、女性議員が少ない現状と少なからず関係があるのではないでしょうか。
*ちなみに、下川町議会では今春2023年の統一地方選で女性議員が1人当選しました。議員定数8人に対して欠員となり7人中1人が女性です。1983年と1987年に女性議員が1人当選して以来、実に36年振りとなりました。
というわけで
偏りの少ない民意の反映
議員一人にかかる責任と世間の視線の軽減
という2点を重視して、報酬【減】・議員定数【増】が議会改善策の基本だと考えています。
さらに絞るなら、「偏りの少ない民意の反映」のための議員定数【増】が軸になるでしょう。
そして、「偏りの少ない民意の反映」のためには他にもすべきことがあります。それは、情報公開と参画の機会の提供です。
地方自治で言い古されたことではありますが、コロナ下で新たな局面が訪れました。DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
議会の例では、オンライン出席について、本会議にはできないものの、委員会については「各団体の条例や会議規則等について必要に応じて改正等の措置を講じ」たうえで開催することが可能になりました。
こうした延長線上で考えると、平日の日中に議会へ(下川町の例では役場庁舎の3階へ)身体を移動し、一定時間拘束されるという議員像が変わってくるのではないかと想像しています。
委員会審査の時間を十分に確保した上で、行政側の説明は録画しておいてオンデマンドでいつでも視聴できるようにし(委員会は原則公開なので議員ではない町民も視聴可能)、議員は自宅から、例えば子育ての合間の夜間に視聴し、質疑はチャットなども利用、夜間の質問に対しては翌朝に回答を得て、討論、採決に臨む……
というスタイルが可能になれば、別な仕事(家事育児を含む)をしながら兼業で議員がやりやすくなる気がします。
こうして兼業で議員をやりやすくなれば報酬【減】でも成り手は出てくるのではないでしょうか?
また、インターネット上に構築された仮想空間、いわゆるメタバースに議会を設けることで、議員以外の町民とも情報を共有し、対話を深めることもできると思います。
私は昨年 ovice(オヴィス)というサービスを利用する機会があり
こうした空間上のメタバース議会に談話室を設け、そこに議員がいたら町民が話しかけて議案について対話を行う……
議員にとっては、自分で個別に議案の説明をして民意を聴き取るような余裕がなかったのが、町民が情報を自ら取得した上で意見を述べてくれるので民意反映のハードルが一気に下がるし、
議員以外の町民にとっては、今までブラックボックスだった議会の透明度・解像度が上がり、意見も言えるようになって、議会が身近になり、自分もやってみようかなと思えるようになるのではないか……
空想が膨らみます。
さらに、議会とは別な民意の反映手段である、各種審議会(例:総合計画審議会)のあり方も変わってくるような気がするのですが……
長くなってきたので、今回はここで区切ります。最近話題の ChatGPT など、AI とどう付き合っていくのかも課題ですよね。
ではその4をお待ちください。続きが気になる方は「スキ」をポチッとしてぜひ追い風を。
追記:その4を書きました。
バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。