「那須まちづくり広場」のパブリックスペースは、命に関わること以外管理しない。緊張しない、自分らしくいられる場所作り。
だれでも自由に感じてほしい
元校舎の真ん中にはコミュニティーカフェ「ここ」があるのですが、時々恐る恐るというか遠慮がちに入ってこられる方がおられます。
「入っていいの?」という感じ(笑)
前回、「集団や弱者」のピンチはチャンスについてお話しして、広場のご案内で文字数がつきてしまいました。続きです。
たとえば、表玄関を入って長い通路の壁面にあるのは、ブックギャラリー「LaLaいくた」です。韓国の言葉で「読む」。
向かいにある交流ホール「ひろばのひろば」には、グランドピアノが弾き手を毎日待っています。音楽工房「LaLaらうむ」にも貴重な楽器が複数置いてあります。「らうむ」はドイツ語で「空間」を意味します。
その対面には、アートギャラリー「LaLaえすぱす」。これはスペイン語で「宇宙」という意味。
「LaLaらうむ」は個人の所有する楽器なので、ガラス越しの見学になりますが、あとはすべて人を置かないことを基本にしています。楽器は予約して弾くこともできます。本の貸し出しもノートに記入はいただくけれど、とくにルールはありません。お返しいただくことが基本ですが、返らなくてもお咎めはありません。何冊でも、何時まででも。
本は寄付でいただき、図書館司書の方がボランティアで棚揃えをしてくださって、時には寄付いただいた本を地元の古書店に引き取っていただき、その代金で新刊を購入したりもします。
アートギャラリーも貴重な作品が並びますが、基本人をおかない。作家さんがおられるときもありますが、基本誰もいません。
なぜ「管理」しないのか?
いずこも、出入りの自由を謳えば、本や作品をそっと持っていかれてしまうかもしれない。そう、出品者にはお伝えし「それでもいいですよ」という方にだけ、出展いただいています。よいはずはないのですが、万が一そういうことがあっても、それは了解すみです。
でも開設以来、過去5年間そういうことは起こっていない。管理をしないという場の空気は、どことなく緩みます。管理がフツウの日本の学校を再利用させていただいて、その逆の空気を作るのがコンセプト。
管理しない。広場に来た人が気ままに動ける場所であることが重要です。自分が思うまま、感じたままに振るまえる。なにが起こってもとがめられない。
あたたかい、やわらかい感じが醸し出される場でありたいのです。
感じることを大事にしている。感じるような居場所をつくること。そこがないと信頼がわからない。そんなことを思いました。
次回は、「那須まちづくり広場」のもうひとつの特徴。自由で信頼が生まれる居場所作りのポイントについてお伝えします。
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(20221127−13)