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「お一人様でも、最期まで自宅で」の可能性のカギ

個人資産を提供できるってすごい?


「那須まちづくり広場」の企画は、「生涯活躍のまちづくり」を提案して那須町の廃校活用のコンペに通り、さらに事業計画を練って国土交通省の大臣賞をいただき、補助金も……。

こうお話しすると、とても計画的と思われるかもしれませんが、当初補助金のことは考えないで始めたというのがホントのところ。この「補助金」というのものは、ありがたいけれど、頼ってばかりでは地獄を見る。いろいろ問題も抱えている制度だと思います。
これについては、またの機会に書きたいと思います。

役員の一人、鏑木さん。普段とちがいます。モデルになりきれるヘンな人(笑)

本題。最初は、固く言えば交流拠点、地域の方や気の合う人たちが食事をしたり、おしゃべりをしたり、講座を開いたりできる「たまり場」的な場所を考えたのです。その場を整えるために、役員の個人資産を使って自分たちが思うような場を作ろう、行政の支援を受けずともそれはできるだろうと思って始めました。

「個人資産を提供できるって、すごい」と思われるかもしれませんが、自分たちがほしい、必要!と思った場をつくるのに、3人で始めたので額が大きくなりました。小学校の改修工事という規模も大きかった。でも、理想や夢は大金持ちや小金持ちでないとかなえられないかと言えばそんなことはありませえん。私たちの投入した4,000万円も、100人が賛同すれば一人40万円なんですよね。100人の人が持ち寄って、以後100人にとって利用価値が高い企画を立てればいい。想像するだけで楽しくありませんか?

みんなの意識の問題

くどいですが、要は価値感の転換。
競い合わずに、みんな横並びになって、協働と分配を頭に置く。
そして、人に与えられた幸福や評価ともサヨナラする意識、人間力があれば、それはできます。
そんな人たちが集まれば、大きな額もぐっと現実味が出るでしょ。もっとも、それには、自分はなにがやりたいかがはっきりしていること。人の作った尺度でない自分なりの価値感をもつことなんですね。子どものとき、若いときにもった夢や希望を思い出してください!



この話、ピンと来る人にはきますが、過去の成功や古い常識に囚われて居る人には、さっぱりわからないと思います。だから、この話には近寄ってこない、それもまたよしなのですが。

この人も役員の一人・pちゃんこと佐々木さん。なりきっている(汗)

無論まあ、そう簡単なことばかりではありません。でも、これは近山たちでなくとも「こういう場所が地域にほしい! みんなにもよい話だ」と強く願う人がいれば、不可能ではありません。再三言いますが、みんなの意識の問題です。

それでも、私は病院で死にたくないなぁ

そして、この価値感の話は、お金問題だけではなく、「那須まちづくり広場」を作っていくあらゆる面に通じることです。
お金のことをまず年頭においてしまう人は、新たな提案にもまずNG なところを見つけます。……だから、できない、と。

例えば、私は病院の白い天井を見て死にたくないと思っていて、そう言うと「現実にはむずかしい」といろいろ理由を語る人がいます。言われることはごもっともなんですが、でも私は病院では死にたくないなぁと思う。

もちろん!代表・近山は、この際もうなんでもやります!人生は祭りだ!

それは、介護や医療が揃っていても、それだけでだめなんです。近山の好み、思いを知っている人たちが、そのときの近山の状態や症状に合わせて、良きように段取りをしたり、スケジュールを作ったり……行政や既存の仕組みの手の出せないところをフォローする人は必要です。

慣れ親しんだ自宅に、気心の知れた仲間に出入りしてもらって、どうしたら近山が安心して笑って死ねるかプロデュースしてもらいます。医療と介護はプロにお願いすることになりますが、ここもやはり近山という人間を理解している人がいい。それを仲間たちに託すと言った具合です。

そうすれば、いまの日本の制度であれば自宅での看取りは十分可能です。実際、お一人様暮らしの自宅での看取りを実践する地域もあります。それは、医療・介護チームが「やる気」になって実現したのですが、やればできる。それを今はいろいろな課題があるといわれてそれはかなわないことになっているのです。

夜間のヘルパーさんがいない


それに、この自宅での看取りは、国としても推進したいのです。というのも、いま日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
2020年代に入ってからの65歳以上の人口は、3500万人を超えていて、20年後の2042年に約3900万人でピークを迎えると予測されています。さらにその後も、75歳以上の人口割合は増加し続けるらしいです。

直近では、私たち団塊の世代が75歳以上となる2025年(令和7年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。
そのため、厚生労働省も住みなれた地域で、包括的な支援とサービスを提供できる体制作りを推進しています。施設や病院ではなく、地域で高齢者を支えることが求められているんです。

具体的には、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供できるようにする。これを「地域包括ケアシステム」と言います。
でも、実際にはいまは家族が介護や支援を担うとなると、無理がたたります。例えば、自宅での介護で一番といってよいくらい問題になるのは、夜間の介護支援がないということなんです。

夜のハードルをどう乗り越えるか

国は「24時間の医療、介護の支援を」とずっと言っていますが、いまだヘルパーさんの賃金は安いまま。そうすると、那須のような人口に比較して広い地域では夜間の支援が成立しない背景があります。

那須の土地は広い。夜に10分支援があれば家族の負担が減るとわかっていても、ヘルパーさんは支援者の自宅へ30分車を走らせるということになる。10分の支援には費用は出ても、往復60分車を走らせる費用は出ないのです。看護師の場合はヘルパーよりも賃金が高いため、全国的にも優れた24時間の訪問看護が成り立っています。

でも、生活を日常的に支えるヘルパーさんの夜の支援は成り立たない。そこで、「那須まちづくり広場」の「ひろばの家・那須2」の介護支援を担う「ワンランド株式会社」には、24時間の介護に対応する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を実施していただくことで夜のケアも実現しました。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000647287.pdf

この定期巡回が整っていけば、「那須まちづくり広場」の周辺地域では24時間支援が可能になります。そうすれば、近山も安心して自宅で最期まで暮らすことができます。あなたの地域に、近山の願いと同じ人が100人は、いると思うなぁ。
(20221016−7)

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