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スペイン旅行2024 9日目 アランフェス
マドリードから日帰りで行けるアランフェスAranjuezへ。
王宮とその周辺は「アランフェスの文化的景観Paisaje cultural de Aranjuez」として世界遺産に登録されています。
王宮は床から天井まで煌びやかな装飾がされており、圧倒されました。
マドリードに戻ってから、タブラオでフラメンコを鑑賞しました。
アランフェス行きの電車まで時間があったので、プエルタ・デル・ソルを少し散歩。
シンボルのカサ・デ・コレオスCasa de Correosの近くにはカルロス三世騎馬像Estatua ecuestre de Carlos IIIがあります。
こちらは1994年に設置されたもので、案外新しいです。
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また、クマとイチゴノキの像Escultura del Oso y el Madroñoは有名な待ち合わせスポットで、これはマドリード市の紋章を彫刻にしたものです。
彫刻家アントニオ・ナバーロ・サンタフェAntonio Navarro Santaféによるこの像は、1967年からプエルタ・デル・ソルにあります。
マドリードの紋章としては「暴れまわるクマun oso rampante」らしく、少し怖いですね。
一見可愛らしいのですが、よく見るとこのクマ、筋骨隆々でした…。
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広場の近くにスターバックスがあったので、持ち帰りでラテを頼みました。
海外のスタバでは名前で受け渡しを管理するのが一般的なようです。
アブダビのザイード国際空港とマドリードで合計4回ほどスタバでコーヒーを買ったのですが、名前を言っても正しく聞き取ってくれたのはザイード空港のみでした。笑
スペイン語の一般名詞に私の名前の発音とよく似たものがあるので、スペイン人にはわかりづらいのだと思います。
アランフェスは、ソル駅からは近郊線C3に乗って終点まで乗れば良いので簡単です。
本数は30分に1本、乗車時間は約50分です。
アランフェス Aranjuez
アランフェスはマドリードの南およそ50 kmに位置するムニシピオmunicipio(基礎自治体)です。
カスティーリャの中では珍しく環境が豊かなため、古くから王家の保養地として使われました。
王宮があることで有名で、ホアキン・ロドリーゴJoaquín Rodrigoの「アランフェス協奏曲Concierto de Aranjuez」によってもその名が知られています。
アランフェス駅の駅舎が素敵でした。
ネオムデハル様式とのことです。
やはり私はアラブ風の建築が好きなようです。
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王宮は駅の東にあり、15分ほど歩く必要があります。
並木道だったので、あまり退屈せずに歩くことができました(膝は痛いですが)。
アランフェス王宮 Palacio Real de Aranjuez
タホ川のほとりに建つ王宮。
ルネサンス・バロック建築です。
王家の別荘として16世紀のフェリペ二世の時代に建築が開始され、完成したのはなんと18世紀のカルロス三世の時代です。
結論から申しますと、大変おすすめのスポットです。
マドリードの王宮の内部の撮影は禁止ですが、アランフェスの王宮はその豪華な内装を自由に撮影できます。
また、それほど混雑していないので、自分のペースでゆったり見学することができました。
さて、宮殿まで辿り着いたのは良いのですが、入口を探すのに一苦労しました。
うろうろしているうちに庭に入ってしまったのですが、王宮を飾るために設計されたアランフェスの庭園は物凄く広いです。
どんどん王宮から離れていきそうだったので、適当なところで切り上げて、戻って入口を探しました。
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入口は南側にありました。
回廊の奥にあるのでわかりづらかったのだと思います。
チケットを購入して中に入ると、美しいファサードを間近で見ることができました。
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順路に従って再び建物に入ると、装飾が美しい階段を上りました。
Escalera imperial(王の階段)と呼ばれているそうです。
スペイン宮廷のバロック様式の階段です。
天井から下がっているシャンデリアも非常に豪華で、入って早々に圧倒されました。
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カルロス二世の執務室Despacho de Carlos IIは漆喰に金の装飾が美しい部屋です。
漆喰の装飾はベラスケスがイタリアのジョヴァンニ・バッティスタ・モレッリGiovanni Battista Morelliに依頼し、フレスコ画はルカ・ジョルダーノLuca Giordanoが手掛けたそうです。
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アラブの間Gabinete árabeもしくは喫煙室Sala de fumarは、19世紀にアルハンブラ宮殿の二姉妹の間Sala de las dos hermanasを模して造られました。
天井まで施された細かな装飾と、非常に豪華なシャンデリアに目を奪われました。
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ダンスホールSalón de Baileもしくは黄色の部屋Salón Amarilloはイサベル二世の時代に改装された部屋です。
黄色の壁に赤い絨毯が映え、華やかな宮廷生活が想像されました。
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女王の寝室Dormitorio de la Reinaは美しい寝具が印象的でしたが、これらはマドリードの王宮のイサベル二世の寝室を飾っていたもので、19世紀にこちらに移したそうです。
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磁器の間Gabinete de porcelanaは一度見たら忘れない唯一無二のデザインです。
現在の姿に改装したのはカルロス三世で、ブエン・レティーロ王立磁器工場の磁器を使用しました。
マドリードの王宮にはこの部屋をインスピレーションに設計された磁器の間があるそうです。
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玉座の間Salón del Tronはかつてカルロス四世の食堂だった部屋で、後に玉座が置かれました。
天井のシャンデリアも美しく、天井画は19世紀の様式のものだそうです。
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カルロス四世の礼拝室Oratorio de Carlos IVは宗教画で美しく装飾された礼拝室です。
祭壇画は聖母マリアの無原罪のお宿りで、向かって左側の壁には東方の三博士が描かれており、非常にスペインらしいなと思いました。
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一通り部屋を見学して、建物を出ようとしたところ、廊下の美しさが目に留まりました。
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王宮の出口の手前に礼拝堂がありました。
ここにも無原罪のお宿りが。
豪華ですが品のある装飾が素敵だなと思いました。
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王宮を出てから、食事できる店を探しました。
Google Mapで見つけたレストランのmenú del díaが気になったので、入ってみることに。
前菜、一皿目primer plato、二皿目segundo plato、デザート、飲み物のセットで16€だったので、かなりコスパが良かったと思いますし、とても美味しかったです。
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レストランを出てから王宮の方向へ戻るときに、綺麗に花の咲いた街路樹が並ぶ道路が気になったので一枚。
十字架の装飾が素敵ですね。
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サン・アントニオ教会 Iglesia de San Antonio
18世紀建設のバロック様式の教会です。
ふらっと立ち寄って、建物が好きだなと思って撮ったのですが、世界遺産の一部でした。
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サン・アントニオ広場の端に素敵な噴水がありましたが、水が抜かれていました。
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王家の小舟博物館を目指して王子の庭Jardín del Príncipeを歩いていきましたが、思ったより距離がありました。
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王家の小舟博物館 Museo de Falúas Reales
タホ川での舟遊びに使われた王家の小舟falúas realesが展示されています。
王宮のチケットがあれば入ることができますが、かなり歩くからか、見学者は私の他に一組だけでした。
豪華な舟がたくさん並んでおり、装飾を見ているだけで楽しかったです。
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博物館を出て王宮の方へ戻る際に川沿いを歩いたのですが、船着場らしき場所がありました。
王家の小舟博物館はかつての船着場の近くにあるということなので、おそらくここがそうではないかと思います。
あの豪華な舟にここから乗り込んでいたのかなあと王家の生活に思いをはせました。
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道沿いには石の装飾が等間隔に並んでおり、経年による石の表面の変化によりひなびた雰囲気も醸し出していました。
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また桜っぽい白い花を見つけました。
たくさん植えられています。
すべてアーモンドと言い切っても良いのでしょうか。
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そんなこんなしているうちに王宮の門まで戻ってきました。
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アランフェス王宮のファサードが好きなので、いろいろな距離や角度から眺められて良かったです。
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マドリード Madrid
マドリードに戻ってきて、ふらっとバルに入りました。
プエルタ・デル・ソルとマヨール広場の間にあるので、店名はSol Mayorです。笑
ビールを頼んだのですが、サイズを<<¿Caña o grande?>>と訊かれて、思わずgrandeを頼んでしまいました。
大丈夫?みたいな感じの反応をされたのですが、確かに大きかったです。笑
ただCañaは小さめのコップなので、満足サイズで良かったです。
マドリードのバルでは、飲み物を頼むとタパスを一皿おまけで出してくれることが多いです。
実は、マドリードの最初の夜にイカフライサンドイッチを食べた店で出てきたオリーブがどうしても口に合わなかったので、恐る恐る食べましたが、この店の味は口に合いました。
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余談ですが、スペインのバルでは使った紙ナフキンなどのごみを床に捨てます。
場所にも寄りますが、地元の人が多そうなバルほど床にごみが落ちているイメージでした。
夕飯として、サン・ミゲル市場の、前日から気になっていたサーモンの料理を売っている店舗で、サーモンとアボカドの載ったパンを購入。
市場内は相変わらず混んでおり、食べる場所を探すのが面倒だったので、オスタルの部屋に持ち帰って食べました。
徒歩3秒なので、大変便利です。笑
マヨール広場に向かう道を歩いていると、男性に「フラメンコ観ませんか?」と英語で呼び止められました。
チケットの値段や開始時間を聞いて、即決できなかったので「ちょっと考えます」と言って後にしました。
そのタブラオ(フラメンコの劇場)の名前を検索してみたのですが、Google Mapに表示されません。
単純にできたばかりの店だからなどの理由かもしれませんが、万が一ぼったくりや詐欺だったら嫌なので、見送ることに。
とは言え、宣伝されたことでフラメンコを観たい欲が出てきました。笑
タブラオ・フラメンコ1911 Tablao Flamenco 1911
旧名はVilla Rosaで、パンデミックの影響で2年間閉鎖していましたが、名前を変えて再開したそう。
地球の歩き方にも載っているので、安心して選択できました。
マヨール広場の近くにタブラオの出張所のような場所があったので、そこであらかじめチケットを購入しました。
タブレットで座席を選ぶのですが、座席からの舞台の見え方のプレビューもあって、選びやすかったです。
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タブラオ自体はマヨール広場の出張所から徒歩10分ほど離れています。
ワンドリンク付きなので、バーカウンターで飲み物をもらって劇場へ。
チケットを買った時間が遅かったので後ろの方の席でしたが、段差がついているので観覧に支障はありませんでした。
本場のフラメンコの魅力は、バイレbaile(踊り)はもちろんですが、生のカンテcante(歌)とギターguitarraが素晴らしかったです。
ダンサーbailaoresは男性が1人、女性は1人がフラメンコ、もう片方がボレラでした。
ボレラはフラメンコの原型の一つであるアンダルシアのダンスで、バレエのような柔らかいシューズを履いて踊るので、サパテアードsapateado(タップ)が特徴的なフラメンコとは雰囲気が異なります。
軽やかなジャンプや回転が特徴的で、カスタネットpalillosを使うこともあります。
偶然にも、スペインに行く直前にボレラに初めて触れる機会があり、いろいろ調べていたので、現地でも見られて嬉しかったです。
フラメンコの踊り手はバタ・デ・コーラbata de cola(裾の長いドレス)の見事な裾裁きや、素晴らしいサパテアードを見せてくれました。
生演奏のフラメンコはアドリブなので、演奏者guitarristaとパルミスタ(手拍子をする人)palmista、歌い手cantaor、踊り手がコミュニケーションを取りながらステージを作り上げていきます。
本場のタブラオならではのステージを楽しめました。
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バイレが一通り終わった後は、ベテランらしき歌い手の女性が登場し、カンテのみを楽しむ時間がありました。
魂から出ているような歌声が圧倒的でした。
終了したのは22時頃でした。
今回の旅ではアンダルシアに行かないこともありフラメンコを観る予定は特に入れていませんでしたが、本場の演奏とバイレを楽しめて良かったです。