04-表紙_トリム_

佳作みたいな虹を着ている(朗読版)

那須ジョン
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自作の連作を朗読してみました。
亀山真実さんの発案で、作家本人の定型意識を探る試みとのことです。
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ひとの見る世界をそのまま見たいから色の名前は忘れさせてよ

家を出て家に戻ってそれだけで着ているものはちゃんと汚れる

唯一の才能 服を十数年かけて着続けられることしか

詩だろうと生き様だろうとよくわからないものばかりを有り難がった

恥ずかしいきもちを括りつけたまま貰い煙草で生きていきたい

ふるさとはカラリときれいになっていて踝にだけ蛞蝓はいる

déjà-vuを脳の錯誤と理解してしまえば楽になるのだろうな

中学で死んだ清家の霊柩車[・0 72]だったと、忘れられない

くいしばる刹那の怒り降ってきてこの歳にして飼い慣らせずいる

小説を読み進めれば置き去りの右ゆびのはらさんかんしおん

とうとつに他人は消える 瞬間がどんなであるか訊いてみたいが

道ばたに落ちる命を睨んでは、かわいそうだと思ってはだめ。

公園のベンチはすべて湖に面する人は湖をみる

信頼を裏切ることを夢想して、結局いつもの加減で抱いた

スイカいや、濠に棲んでた亀だろう海を目指していたんだろう

道ばたに打ち捨てられた法具のようプレミアムモルツの缶は祈りの

弱っちぃ俺を晒した白桃の剥かれやすさを云うなときみに

野良猫の煤けるさまは空き地から草原になるような疾さで

見上げれば冬の街路樹 そうだよな 空はおまえの上からでいい(

いち早く見つけたきみの名で呼ぼう佳作みたいな虹ではあるが

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那須ジョン
「蝉時雨」みたいな言葉を発明するまで続けるよ。