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お前にロキを救えるか

はじめに

この記事は調整後の環境において、ロキサスが活躍できるのかどうかを過去の事例から分析しその上で考察を行うものです。

以下注意点

・この記事における「ロキサスエルフ」とはETA期から数を増やした乗り物を主体としたものを言います。「アクセラロキサスエルフ」のアーキタイプもまとめて「ロキサスエルフ」とします。

・カードの略称を多用します。わかりにくい略称は使わないつもりですがご容赦ください。

・各環境のRAGEやDSALなどを参考にしていますが、なにぶん詳しい数字は出すことはできずエビデンスとしては不十分なことを承知の上で読んでいただけると幸いです。


この記事を執筆するに至った理由

シャドウバースにおいて能力調整は、大きなイベントのような盛り上がりを見せる。

猛威をふるっていたデッキが弱体化することに喜ぶ者、大会のために用意したデッキに調整が入り絶望する者、上方修正におびえる者と様々だ。

DOC環境でも例に漏れず長い間tier1に君臨し続けていたラストワードネクロや、ほぼすべてのウィッチに安定感とフィニッシャーを与えるイザベルといったカードの下方修正やそれに対抗できるような上方修正を求められていた。

そして10/24に事態は急変した。

来る10/28、DOC環境に変化を与えるべくリリースから4年たち初めての「1度にすべてのクラスのカードに調整を行う」アップデートが行われるとの情報が入ったのだ。(詳細は省く)

中で私が最も反応したのはこの調整である

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バウンスだ~~~~~~!!!!


エルフ使いが求めていたバウンスカードがなんともまあ雑な感じで追加されたのだ。

「バウンスがもう一種類あれば…」と1カ月嘆いた甲斐があった。我々は勝ち取ったのである。

長きに(1カ月弱)わたり苦しんだエルフ使いに一筋の光明が現れ喜びを露わにしたときある男の顔が私の頭をよぎった。

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アプローズを!


それは私が最も愛用したデッキであり、競技勢として自信を持たせてくれたカードだ。

多くの人に愛し愛され、憎み憎まれていたはずのこのカードはいつの間にか環境から消えていた。

彼がローテーション環境に居られるのは残り2カ月。

何とか最後の最後に花を持たせたい。

これが最後のチャンスなのだ。(アディもある)

かつて栄えていたが今では見る影もない不毛?やせ地?なロキサスエルフをオープンアップするべく私は立ち上がったのだった…


ロキサスエルフの強みと弱点

ロキサスエルフの強みは攻撃力だ。

・5t6tの早期ロキサス展開を用いたプラン(5ロキ)

・7t8tのワンショットレベルの打点を叩き込むプラン

・ロキサスを使わずにアグロで削り切るプラン

と様々な攻撃手段があり、始動が遅いデッキや中盤の除去が乏しいデッキには無類の強さを誇る。

一方で弱点として

・守りに寄ったデッキに勝ちにくい

・守護に弱い

・リソースが乏しい

などが存在する。

5t6tでの展開一回では20打点まで出すことは難しく、リーサルするにはロキサス展開→スクナのような打点を分ける必要がある。

展開を裁かれると準備に時間がかかったり、守護によって顔に打点が通らないと厳しい試合となってしまう。

これらの強みと弱点を踏まえて環境ごとのロキサスの立ち位置をETAから振り返っていく。


今までのロキサス

ETA期アディ前

〇主な環境デッキ
・式神ウィッチ
・コントロールキャルウィッチ
・乗り物ドラゴン
・グレモリーネクロ
・ブリンガーネクロ
・清浄ビショップ

〇ロキサスの立ち位置
環境初期こそアクセラエルフが流行っていたが、SOR期のナテラを中心にしたロキサスに変わり乗り物を主軸とした形で再登場。徐々に勢力を伸ばして、マイザーカルラ修正のあたりで完全にtier1に躍り出る。

コッコロといったロキ展開をしながらリソースを回復できるカードもローテーションに残っており、要求値の高いピーキーなコンボデッキながらそこそこの安定感と環境の中心となりうる爆発力を兼ね備えていた。

〇環境について
ロキサスを中心に環境が回る。

グレモリーネクロはグレモリー達成よりロキサス展開が早く盤面の処理がおいつかないため、除去と回復を同時に行える霊道を採用したブリンガーネクロが流行る。

この環境でロキサスが最も苦手としていたデッキはブリンガーネクロだったと思う。

またコントロールキャルや清浄など、ロキサスの攻撃力に耐えうるコントロールデッキも環境上位に上っており、ロキサスは圧倒的なtier1とはならなかったものの、有利不利を破壊する火力でぶち抜いた。まさに最盛期である。

ETAアディ後

〇主な環境デッキ
・乗り物ウィッチ
・乗り物ドラゴン
・庭園ドラゴン
・グレモリーネクロ
・ブリンガーネクロ
・背徳バアルヴァンパイア
・清浄ビショップ
・進化ネメシス

〇ロキサスの立ち位置
アディショナルカードのアルバータの追加により火力と難易度が上がる。

アッパーのような追加を受けたため以前環境トップにいる

除去は強いが、守護が少ない環境だったため打点は顔に通りやすかった。

〇環境について
ボーンドミネーターの追加によりブリンガーネクロを含めたグレモリーネクロの安定感、グレモリーの達成の速さが大幅に強化された。

またルナールプリーストによって清浄ビショップも大幅に強化される。

ロキサスに強く出れるデッキの強化によりロキサスの立ち位置こそ下がるがRAGEのGFでは7/8がロキサスを持ち込むなど、環境のトップに君臨し続けている。

DOV期アディ前

〇主な環境デッキ
・セッカエルフ
・乗り物ドラゴン
・庭園ドラゴン
・進化ヴァンパイア
・背徳バアルヴァンパイア
・清浄ビショップ
・AFネメシス

〇ロキサスの立ち位置
コッコロのローテ落ちによって安定感が低下するが、持ち前の火力を生かし環境のトップに存在した。

天敵であったグレモリーはUCLにキーカードが多くあったためいなくなったが、清浄ビショップは健在。またセッカエルフは除去回復ともに性能が高く対セッカは不利気味の相性だった。

一方守護が少なく除去もそこまで強くないヴァンパイアやドラゴンに対しては5分以上の働きをするために強いロキサスの地位を守っていた。

〇環境について
エルフ、ドラゴン、ヴァンパイアのそれぞれに有力なアーキが2つ存在しておりBO3では相手のデッキの予測が重要になっていた。

クラスこそ偏っていたもののパワーが高すぎるようなデッキはなく、常に環境が動き続けている印象だった。


アディショナルカードが追加される前までは…

DOV期アディ後

〇主な環境デッキ
・セッカエルフ
・乗り物ドラゴン
・グレモリーネクロ
・守護ビショップ
・AFネメシス

〇ロキサスの立ち位置
ネクロネメシスの大幅強化によって環境から数を大きく減らす。

ETAから存在していたアクセラロキサスがところどころで使われるもの、結果は出なかった。

特に対ネクロマンサーが不利で、オミナスタイラントから出る不死者や1コスでリソース回復をしながら面に触れることが出来る忌まわしき再誕。5ターンに法外な盤面を作り出し回復もこなしてしまうナイトメアイーター、クリストフによる大量の守護展開などのすべてがロキサスにとっての天敵となっている。

文字通り、忌まわしき悪夢であった。

〇環境について
AFネメシスとグレモリーネクロによるまさに2強の環境であった。

Bo3ではAFネメシス+グレモリーネクロの組み合わせが猛威を振るい、Bo9では2デッキに加えて時点の背徳バアル、乗り物ドラゴンが活躍していたが、5thデッキのパワーが一回り低くチーム戦では5thが如何に突破するかのゲームになっていた。

RSC期アディ前(※ナーフ後)

〇主な環境デッキ
・アクセラエルフ
・撤退ロイヤル
・マナリアウィッチ
・自然ドラゴン
・ラストワードネクロ
・アミュレットビショップ
・機械ネメシス

〇ロキサスの立ち位置と環境
エルフクイーンが落ち、手札交換を行いながら盤面をごまかすロキサスの序盤と多面除去を担うカードがローテ落ちする。

しかし自然や新たな軸であるラティカのデッキの中身が主に追加されたエルフクラスにロキサスの強化は見られず、前期アディ後のように環境ではほとんど見ないデッキとなってしまった。

ラスワネクロは、相変わらず不死者再誕クリストフがロキサスの天敵でありまるで歯が立たない状況であった。

加えて撤退ロイヤルの登場もロキサスエルフにとっては向かい風となった。ロキサス以上の爆発力と安定感を誇り、相手の守護お構いなしに殴りながら巨大な守護を立てるそのデッキにロキサスはなすすべがなかった

その他も中盤の除去や終盤の準備を許さないようなデッキが多く、不利は取っていないながら安定性の低下が響く形となっていた。

エルフにはアクセラエルフという空中打点に秀でたアーキが活躍し、盤面の強さが売りのロキサスの活躍の場は失われていった。

RSCアディ後

〇主な環境デッキ
・アクセラエルフ
・撤退ロイヤル
・マナリアウィッチ
・ラストワードネクロ
・清浄ビショップ
・共鳴ネメシス
・機械ネメシス

〇ロキサスの立ち位置
アリサの追加によりロキサスの復権もささやかれたが、盤面の打点が通りにくい環境は変わらず、大きく姿を見せることは結局最後までなかった。

〇環境について
相変わらずラスワネクロと撤退ロイヤルが猛威を振るう。

とくに撤退ロイヤルはtire3以下のデッキを蹂躙していたため上位のデッキ以外のデッキは環境にほとんど存在していなかったように思える。

ユアンとオートマティックメイデンの強化を受けた共鳴ネメシスは数を伸ばし、低速デッキをこれまた蹂躙した。

DOC期調整前

〇主な環境デッキ
・連携ロイヤル
・スペルウィッチ
・マナリアウィッチ
・進化ウィッチ
・ラストワードネクロ
・狂乱ヴァンパイア

〇ロキサスの立ち位置
森林の狼がローテ落ちしたことによりロキサスエルフがデッキとしてついに成り立たなくなる。

バウンスが減ったのは勝ち筋全てに影響を与えたので構想もほとんど練られずに忘れられていった。

〇環境について
ウィッチネクロが猛威を振るう。

イザベルとクリストフの展開によってリーサルターンが遅いデッキは環境から消えていき、大幅な強化をもらったヴァンパイアと環境に合っていた連携ロイヤルがその2デッキに食らいつく形で争っていた。

対ウィッチに関しては守護のないデッキであるため、バウンスがもう1種類でも存在していたならば戦えていたのかもしれない。

狂乱ヴァンパイアは序盤こそ強力なものの、ヴァーミンハンター、ルヴァン等の強力な除去となりうるカードはロキサスには採用されるため環境に食い込んでいた可能性は十分にあったのではないだろうか。バウンスがあれば。


ここまでがロキサスの登場から振り返る活躍の歴史である。

ここからはこれからのロキサスについて考察を行っていく。

これからのロキサス

〇環境入りしそうなデッキ予想
・ラティカエルフ
・マナリアウィッチ
・進化ウィッチ
・乗り物ドラゴン
・ラストワードネクロ
・狂乱ヴァンパイア
・守護ビショップ
・機械ネメシス
・人形ネメシス

〇ロキサスの立ち位置
天敵であるネクロマンサーは下方修正を受け数を減らすことが予想されるため、バウンスが追加され大きく強化されたロキサスの立ち位置は多少は上がるであろう。

その他のデッキに関しては除去が強いデッキはそこそこ存在している者の、回復と両立できるようなデッキは存在しておらずロキサス展開に対して完全な回答はできないと予想される。
全盛期のような動きを見せるようなことが出来れば環境に食い込む可能性は十分ある。

一方でリソース回復手段が大幅に少なくなり、ロキサス展開と同時にドローが進むカードは森林の狼のローテ落ちによって限りなく0に近い状況だ。
そのため攻撃のターンとリソース回復のターンとで切り離す必要があり攻めの継続やテンポといった面で劣る可能性が高い。

ドローソースの種類と撃ち時をきっちり見分ける必要がありそうだ。

不安が残る一方でバウンスで除去ができるようになった点は評価できる。ロキサス展開を行いながら露払いができるようになるため盤面が強いまま相手のターンにわたる可能性が高く強い盤面はある程度通りやすくなったのではないだろうか。

〇ロキサスの構築

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現在の想定ではこのような感じだ。

飛翔や幻惑のラクーンといったドローソースをきっちり採用し、攻めでもリソース回復でもない時間というのを少なくしながら戦えればいいと思う。

スクナはゲームに1度投げれればよい方かなと考えているため現在では2枚になっているがリーサルに欠かせないカードであるため3枚になるのではないかと思う。

まだ構想の段階であるため実際に回しながら構築を少しず使えていく形になるだろう。

〇現状の結論
正直環境入りは難しいのではないかという感想だ。

ラスワネクロの衰退によって天敵が減ることはロキサスにとってはかなり朗報ではあるものの、ロキサスエルフ事態の強化につながるカードはアルバータ以降追加されておらず周りのデッキのインフレに追いついていないからだ。

バウンスによって戦えるようにはなっていそうなものの、そのバウンスカードはロキサスの弱点を克服できるもしくは長所を伸ばすようなカードではない。

以上のことからDOC期調整後環境においてロキサスエルフが環境で強く立ち回る可能性は低いだろうと結論付けた


おわりに

ロキサスエルフ私に自信を与えてくれた思い入れのあるデッキということもあり、環境から居なくなってから競技シーンでこそ使わなかったもののどこか頭の隅でどうにかできないかと考えている自分が常に存在していた。

しかし現実は厳しく、環境ではなくデッキ自体が相対的に弱くなっていると気づき環境入りする可能性は低いと結論付けた。

競技シーンで活躍することを目標としている私にとってそこまで強くなさそうなデッキに手を付けることは望ましくない行動ではある。
なのに「弱いから」と簡単に捨てることが出来ない。

表題は強化された原始の悪神ではなく私自身への問だったのだ。


お前にロキは救えるか


分からぬ。だが共に生きることはできる。

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