ままならんぞ陶芸
最後に焼成したのが9月で、まだ一ヵ月しか経っていないのにもう次を作りたくなっています。大抵、良いものみたり経験があったりすると、「そうだ京都いこう」の感じでつくろうという気持ちになります。
そういう気持ちは生ものなので本当は早く形にしてやらないと消えていってしまうんですか、メモに残すことでなんとか消えないで済んでいます。それでも熱は消えてしまうので、作る前に描いて描いて、温めなおしをしなければなりません。ほんとう、食べ物みたいですね。
そんな気持ちを横に、今週はずっとイベントの準備をしています。作りたいけど、作れない。今までに作ったものが溜まってしまって、新たに作っている場合ではないのですよね。(他の作家さんってこういうバランスどうしているんでしょう)過去作を送り出すために、値札つけや台紙の穴を開けたりしています。
窯で焼く陶芸を始めてまだ6年ぐらいなのですが(オーブン陶芸は陶芸ではないという実感)、完成のほとんどをコントロールできません。こうすればこうなるのメモ書きは沢山あっても、いつもそうはならなかったりする。一度に焼く詰め具合とか、釉薬の掛かり具合とか、何段目に入れるとか色々な要因が絡み合っていて、毎回思い通りにならないことの方が多いです。
そうすると良品を沢山出すために作りたい量よりも多く作って、失敗をカバーしなければなりません。これが在庫パンパン事件の原因なのですよ。
失敗するとですね、窯を満たす(300~400個)をつくって初めてもう一度焼成ができるので、やり直しまでいちいち1~2か月かかり、その間に釉掛けの作業感覚も薄れてきて、なかなか効率よく作業が積み重ねられない。ここが私にとって陶芸の辛いところ。
ブローチでなく大きい器でも焼いて埋めれば、割とすぐ二度目ができるのでしょうけど、そうすると空間が大きくなって熱がまわりやすいので、そういった温度の微調整がまた仕上がりに影響するんじゃないかと思うと、やれないんです。陶芸の失敗はダメージが大きいからあんまり冒険したくないのですよ。
それでも、この苦労を経てのうまくいった作品というのは、感動がひとしおです。しばらく手元に置いて、出品しない時もあるぐらい。
ままならないけど…陶芸は面白い。
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