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今度こそ「失われた30年」から脱却できるのか?

3月15日、連合が公表した2024年春季労使交渉の1次集計によると、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ率は平均5.28%になり、最終集計で5%を超えた場合、1991年以来33年ぶりとなるそうです。

また、3月19日には、2016年2月より導入されたマイナス金利政策も解除し、金利をマイナス0.1%から0~0.1%金利に誘導し、17年ぶりの利上げになります。

昨年より、大企業を中心に賃上げが実施され、今年も継続になるわけです。賃上げと物価上昇の循環が進めば、長期間の景気低迷から脱却できるのではないかという期待が高まります。

ただ、ポイントは、これは大企業の正社員中心の話で、中小企業や非正規社員に必ずしも賃上げが実施されてはいないということです。

2006年のデータで中小企業は数で99.7%で、従業員数で69%にもなります。非正規労働者の割合も約4割ですので少ない規模ではありません。大企業は、今のところ値上げは原料などのコストアップによるものであり、賃上げのための値上げではないので、賃上げのためには、コストダウンをしなければならなりません。よって、中小企業の取引会社へコストダウン圧力を高めますし、非正規社員の賃上げには消極的になります。

そうなると中小企業は、賃上げのための納品価格を上げることができない状況になります。非正規社員の給料も上がりにくいし、「103万円の壁」があるので、働く時間を減らすなどをせざるおえなくなり、給料があがると困るという問題も発生します。

しかし、労働人口はどんどん減っているので、価格転嫁ができず賃上げができない中小企業は、人が集まらず、倒産していくことになるしかないのではないかと思います。または、大企業に吸収されていくようになります。そうすれば生産性はあがりますからね。

非正規社員の問題は、国の関与がもっと必要な所だと思います。まずは、最低賃金を上げていく事(政府は30年代半ばに全国加重平均で1500円を目指しています)と103万円の壁にたいする恒久的な施策(最近、3年間の短期的な施策が発表されましたが)ですかね。

私は企業の解雇規制緩和をするべきだと思います。現在は、実質、一度雇用すると解雇ができない法律になっています。なので、企業は正社員を少なめに雇用し、本来必要な人数になるためには、雇用調整ができる非正規社員を雇用します。また、企業の業績変動によって、それを減らしたり増やしたりします。

解雇規制が緩和されれば、企業は必要な分だけ正社員を採用でき、わざわざ非正規社員を採用する必要がありません。正社員のニーズが増えるということです。

そうなると、正社員といえども、パフォーマンスの悪い社員(自己啓発しない社員等)は、解雇される心配がでてくることになり、能力のある非正規社員は正社員になれる可能性が高まります。同一労働同一賃金の問題も発生しません。

非正規社員が正社員と同等の仕事をしているのに給料が違う問題は、企業が非正規社員の給料を不当に低くしているわけではなく、非正規社員でもできる仕事しかできない解雇できない正社員がいるということなのです。

上記を総合すると、失われた30年から脱却した状況とは、物価と賃金がともに上昇していくインフレ基調の景気循環になると言う事だと思います。

まずは大企業が賃上げなどを実施するなど「格差の問題」がより広がり、世論がこの点を強調するようになるでしょう。

全体が潤うようになるためには、中小企業が再編されるような構造転換や解雇規制緩和などの一見厳しい施策がとられることなのかなと思います。

これも世論では、反対の論調になるでしょうね。

しかし、「物価と賃金がともに上昇していくインフレ」だけで経済がよくなるわけではなく、生産性の高い人材が、イノベーションを起こしてより付加価値の高い物やサービスを作り上げることが重要だと思います。

そのためには痛みを伴う改革が必要だと思います。

しかし、解雇規制緩和施策などは、既得権益を持つ、日本の労働者の6割の「正社員」の人たちは、反対するでしょう。

なので、こういう既得権益をもつ人たちの反対を押し切って、この痛みを伴う改革を政府が実行できるかが大きなポイントだと思いますし、

我々にその覚悟があるかですかね。






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