大人と、うんこと、ちんちんと
たまに、職場で意味もなく「うんこ」「うんち」と言ってしまう。
これに特に意味はない。感情の昂ぶりみたいな感じで疲れた時やら、しんどい時やら忙しすぎてどうにもならない時なんかにとりあえず言いたいので言う。
というか「うんこ」とか「ちんちん」って面白いじゃないですか?大人になってもうんこ、ちんちんで笑える人は幸せだと思ってる。心が小学生だから。
今日も心が小学生のまま三十路になってしまったわたしは、事務所で忙しすぎて意味もなく「うんこちんちん!」となんの前触れもなくそこそこ大きめの声で発してしまった。ほぼ無意識だった。
周りの人の「は?」という冷たい目線がこちらに向いていることに気づき、わたしはとっさに「なんて事を!!」と言っていた。
その瞬間、わたしは自分の内に秘めた訳の分からない人格と会話する訳の分からない人間という二重にやばい奴になってしまった。
周りには普通に「うんこちんちん」という発言は無視されて何も無かったような時間が流れていた。完全にやばい独り言になってしまった。
その瞬間、わたしは学生の時の事を思い出した。
わたしはデザインとかイラスト関係の学校に通っていたが、そこそこ頭のおかしい環境だったので、「うんこ」「ちんちん」「おなら」などの小学校低学年が大喜びなワードで会話が成り立っていたし、段ボールをかぶってロボットダンスを廊下で踊り狂っている人もいたし、何なら巨乳の友達のおっぱいはみんなの共有財産みたいになっている狂った環境から社会に出てしまった。
そんな狂ったわたしのクラスの担任の先生がある時、あきれながら「うんことかちんちんとか言うのやめな。」と諭してきた。
しかし我々のクラスは群抜きでその年1番のイカレが集合したみたいなクラスだったので「何で?!大人になってもうんこで笑える感覚がなくなったら終わりだ!」とか言っていたが、先生は
「今、呼吸するようにうんこ、ちんちん言ってると、癖になって社会に出た時に自分が思ってもないタイミングでうんことか言ってしまうようになるからやめときなさい」と言っていた。
「マジじゃん…」と思った。マジすぎてウケるわ…。
普段から「うんこ」と「うんち」はしょっちゅう言ってたし、そのせいで同僚の奥さんに【ウンコの人】といあだ名をつけられていたが、性器だけはダメだ。という謎のストッパーがあった。
でも今日は完全に「うんこちんちん」と言う、排泄物と性器の合わせ技一本で周りもギョッとしていた。
あ、やっぱり大人って職場で性器を露骨に言っちゃダメなんだな。と改めて思った。三十歳なのに。
先生は正しかったのだ。すいませんでした。
と思ったけど、あの頃わたしと一緒にうんこちんちんで先生に諭されていた同級生(当時付き合っていた彼氏に「うんこっていうのやめて」と言われて結局破局していた)は一児の母になっている。
世の中は理不尽でよく分からないから、わたしはこれからも感情に任せて排泄物と性器を声に出していこう。
なぜなら気持ちいいから。