メトロノーム (4、5)



4

見栄えのする激情の行列、
かと思いきや物静かな分別らしきもの、
そんなものばかりがこの川を流れていくのだが、
誰もそれを止める者がいない。

北からきた愚者と、
南からきた天才が、
鉢合わせたはいいのだが、
互いがそれと気付いただろうか。

同じ明日ばかりが残されている。商店。




5

ひとりで約束を守っていると、
ときどき愚かでいられなくなる、
そんなある日の傾いた日差しの中、
俺は未来とは逆方向に向かって、
とりあえず悪態を吐いていた。

地の底の語彙なんて限りがあって、
だいたいどれもシンプルすぎる暴言で、
すぐ使い物にならなくなる。
ってなワケで詩にして、

出来るだけ理解されないようにした。無能。



(了. 詩1ー5)

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