🍾母の友人の姪っ子さんも、使い掛けの醤油差しはいらないと思う件について
過去の話をしよう。
数年前(2013〜17の間だ多分)、その頃頻繁に母に掛かってくる電話があった。
母が昔勤めていた職場の友人の女性で、母より年上だったので80代後半だったと思う。
仮に名を川棚さん(仮)とする。
川棚さんは、ご自身は独身だったが、定年までお仕事をされておられたので、生活には困っていなかった。
時折、姪御さんが様子を見にくると、母の話で聞いて知っていた。
なお、私は、自分が子供のころ、母のところに遊びに来た川棚さん(仮)に挨拶をしたくらいで、当然それ以外は母からの伝聞でしか知らない。
そんなある日、夕方実家に行ったら、母が何度も相槌を打ちながら電話をしていた。
ところでどうして高齢者って電話しながら歩き回るのかね?子機になってから余計ひどいよね?
父は、何事もないように、爪楊枝で歯をほじくっている。
そう、電話中であるが、親は食事中であった。
さっさと切ればいいのにと思いながら見ているが、なかなか切れない。
やっと切れた母に
「えらい長かったね、だれなん?」
と聞くと
「ほら、川棚(仮)さんよ、あんたも知っとろう?」
(いやほとんど知らん)
母は続けた。
「川棚(仮)さんも、最近ボケてきてねえ。
姪が来て、使いかけの醤油差しを盗んで行ったって言って腹かきようとよ(立腹しているの意味)。」
私は絶句した。
確かにボケている。
それは典型的なもの盗られ妄想ではないか。
母の言は続いた。
「それで川棚さん(仮)は警察に相談したって言うんやけど、相手にされんかったんらしいんよ。
仕舞いには県警本部に掛けて、何度も掛けるもんやけん、『はいはい、川棚ちゃんですか〜。』って言われたって言うわけよ。」
笑いながら言うが、笑い事ではない。
県警本部が本当に「川棚ちゃんですか〜」と言ったかは不明だが(たぶん言っていないと思う)、
私はむしろ、もの盗られ妄想の老人から掛かってくる、「使いかけの醤油差しを盗まれた」と言う電話を毎日とる警察の方に本気で同情した。
とりあえず真剣に、
使いかけの醤油差しは、姪御さんもいらんと思うわ。
次は、そんな川棚さん(仮)が登場する話を書きたいと思うよ!
(続く)