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【自由研究には向かない殺人】から始まる3部作がすごい!新時代の探偵ミステリ

2021年のミステリランキングにランクインしまくったホリー・ジャクソンの「自由研究には向かない殺人」は、読書好きなら1度は表紙を見たことがあるのではないでしょうか。

最近完結巻となる「卒業生には向かない真実」が出たことで再び話題になっていたので、この機会に私も一気読みしてみることにしました。

これがめちゃくちゃおもしろくて!

1作目の「自由研究には向かない殺人」でがっつり心を掴まれ、2作目の「優等生は探偵に向かない」でこう来るか!と思わされ、3作目の「卒業生には向かない真実」で度肝を抜かれました。

まずタイトルが素敵ですよね。1巻から3巻に向けて、時間の経過を表しているような表紙も美しい。

物語は、高校生のピップが、学校の課題のテーマに地元の町で起こった殺人事件を取り上げるところから始まります。

ピップが目を付けたのは、自分と同じ町に住む女子高生がボーイフレンドに殺された事件で、犯人の自殺で事件は終結しました。しかし、ピップはこの真相に疑問を持っていて、独自に捜査をしようとします。

ちなみに舞台となるリトルキルトンはとても狭い町で、友人を2人介せば住人の全員に辿り着くのではないかというくらいみんなが顔見知りです。そのため、被害者も犯人も新たに浮上してくる容疑者も、だいたい知り合いの知り合い。これが物語をおもしろくしています。

何より驚いたのが、ピップが最新のデバイスをフル活用して捜査を進めていくところ。令和の女子高生なんだから当たり前といえば当たり前なんですが、いわゆる探偵七つ道具のようなものが、ポッドキャストだったり、Gmailだったり、マッチングアプリだったり、フィットビット(身体情報を記録する時計型のデバイス)だったりします。それってそういう使い方できるんだ!という新鮮さがあっておもしろかったです。

ちなみに3部作というと、テーマが同じでどれから読んでもいいよというタイプのものもありますが、この作品は絶対に1作目から読むべきです。なぜなら話は繋がっているから。

基本的には1作目で描かれた出来事を受けて2作目、3作目が進行していきます。前作、前前作で張られた伏線が最終巻で回収される気持ちよさと言ったら!なので、記憶が新しいうちに一気読みするのが楽しいと思います。

そして探偵ものは、事件さえ解決してしまえばオールオッケー!平和になったよね!となりがちですが、「自由研究には向かない殺人」はそうではありません。

なんせ事件が起こるのは小さな小さな町で、犯人の家族も、探偵も、被害者の家族も、みんな同じところに住んでいるのに、これからもそこで生きていかなくてはいけない。それがきちんと描かれているところがリアルで重いです。

登場人物に感情移入してしまってずーんと落ち込んでしまうこともありますが、それでも真相に辿り着くまでは止められないという気持ちで読み進めました。読んでいる間の気持ちは、まるでピップが乗り移ったみたい。

シリーズを追うごとに必死さが増していくピップに引きずられるように、ページをめくる手が止まらなくなるミステリです。ぜひ1作目の「自由研究には向かない殺人」から読んでみてください。

(⇩⇩ここから追記⇩⇩)

3部作で完結かと思いきや!まさかの続編が出てました。時系列としては1作目の「自由研究には向かない殺人」よりも少し前という設定で、ピップが本編にも登場する友人達と犯人当てゲームに挑戦しています。

本編とはまた違った雰囲気で、殺人も起きなければ犯人もいないという平和な世界線でした。とはいえ、時間軸を考えるとすでにリトルキルトンで犯罪は起こっているわけで、それが読み取れるような描写があちこちに散りばめられているところに震えます。

そして本編では関係性が変わってしまっている友人達とほのぼのゲームを楽しんでいるピップの様子になんだか切ないような苦しいような気分にもなりました。しかもここにはサルはいないしね...。

そんな前日譚「受験生は謎解きに向かない」はこちらです⇩

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