ノトゲキ番外 特別上演「能登版・銀河鉄道の夜」稽古(たちくらようこ)
8月のある夜、ノトゲキ番外編のお稽古にお邪魔しました。
ノトゲキとは!2019年にスタートした演劇を学ぶ大学生の能登滞在制作プロジェクト。コロナでリアル開催できない時期もありましたが、学生さんが2〜3週間能登に滞在し、能登を満喫しながら稽古して能登演劇堂という素敵な劇場で上演する!というのがいつもの活動です。
今年は地震のせいでできないけど、東京で作った作品をもってって上演するぞ!というその稽古です。
ノトゲキ実行委員会の代表で、俳優の滝腰教寛さんが集めたメンバーです。
乗る場からは、構成・演出として屋根裏ハイツの中村大地さん、制作として譜面絵画の河﨑正太郎さん、卒業メンバーの田上碧さんも音楽で参加しています。
勢登さんの役の一つ「ブルカニロ博士」は現在の「銀河鉄道の夜」には登場しない人物。改訂を重ねるうちにいなくなってしまったブルカニロ博士が登場するのが、今回の上演台本のポイントみたいです。
絵心を発揮する滝腰さん。三つ編みの女の子・・・?
稽古前に何事か相談をしている滝腰さん、ブルカニロ博士や灯台守を演じる勢登健雄さん、制作の河﨑正太郎さん。なんと!クラウドファンディングをするのです!
紙媒体の広報もやろう!作戦の、お客さんに配るパンフレットに載せる案に、滝腰さんは乗り気でなさそうです。今回は無料公演であることにこだわりたい、地元の方からお金を貰いたくない、と言う瀧腰さんに、勢登さんが「ありがとうの気持ちを受け取るのも仕事」。良くあるための方法も様々。
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今日は実はもう1件、別の取材もありまして、滝腰さん、勢登さん、中村さんのインタビューが行われました。その間、静かに台本を読む俳優の皆さん。
台本をクリップで留める派、バラバラのまま派、スマホ派。黙読したり、口を動かしてみたり、イメトレしたり。
サイレントで手遊びをはじめた
カンパネルラ役の大久保佑南さんも加わって、
インタビューを見守りつつ、
インタビューに答える中村さんの声に合わせて演奏しているみたい。
稽古 シーン6
インタビューを終え、いよいよ稽古!シーン6から始めます。
ジョバンニとカンパネルラ、灯台守が乗った車両に、女の子と幼い弟、家庭教師の青年が乗ってくる場面。青年は、銀河鉄道に乗ることになった経緯、つまり自分たちが命を落とした経緯を灯台守に語ります。
女の子役の滝腰さんの手には、稽古前に描いていた女の子を貼ったペットボトル。人形を持つというアイディアがあり、取り急ぎ、代用ボトルです。
男の子役の田上さんは人形なしの予定ですが、なんだか持ちたそう。「持った方がやりやすいかも」と取り急ぎの水筒を持ちました。
「本番ではこっちはどっち?窓?あっちが・・・中庭?」方向を確認。
停車場はあっち、サウザンクロスはあっち、天上のしるしは鏡の方。銀河鉄道の空間も乗る場に重なります。
音楽担当の田上さんが楽器から離れたということで、ベルに触れることが許された(このシーンでは)車掌役の波佐谷聡さん。
流してやってみる
中村さん、田上さんに「寝た?」。
田上さん、青年が話している間にいつの間にか寝ちゃう演技をしていました。それを見ていた中村さんが、寝たタイミングで、人形を椅子に置いて、俳優は退場する、という演出をつけます。仮だった男の子人形、本採用!
台本を指差しながら「この辺は寝てる、この辺はうとうとし始めてました」。
2回目
青年が天の川を指差すシーン、中村さん「急かなぁ〜?」
先ほど、天の川の方向は真上と決めたのですが、あまり上手く行っていないよう。「最初から見えてるわけだからなぁ」
ストーリー上は銀河鉄道に乗ったときから星空を飛んでいるのですが、星空を飛んでる!ていう演技をしていないので、青年が天の川を指差すのが唐突に見えてしまうようです。
乗り込んだ直後に姉弟が窓の外をのぞく動きをして、星空飛んでる!すごい!感を出しつつ、天の川が見える方向を二人が見やすい斜め前方向に調整。
10分休憩
昨年のノトゲキでは、黒住さんが構成・演出、工藤さんと大久保さんが出演して「銀河鉄道の夜」を上演したそう。ノトゲキのYouTubeで見られます!
「自分の中で、まだ灯台守に話したい動機がなくて・・・」と悩んでいた青年役の坂本奈都実さん。
いつの間にかみんなが静かに坂本さんに注目している状況に、坂本さん「みんな、しゃべってて!」(笑)
稽古再開
シーン6をもう一度
坂本さんの演技が、とっても情感豊かになっていました。筆者つられて若干うるっとするくらい。
でも、中村さんは「今の方が全然良か
ったんですけど」と前置きしつつ「景色を見せる方に行けるといいな」。
坂本さんから「(お客さんに見せる)風景は、青年が見てる風景か、話している風景なのか、どっちの方?」という質問が出て、中村さんは「カメラは青年のカメラ」と答えます。青年が見た景色をお客さんにも見せるのが、青年役のミッション。
「エモーションを見せる感じに行ってるので、語りの方を聞いてもらうように」中村さんのディレクションに、坂本さんも「泣きになるのは違うなって」。方向性の合意はできた模様。どうやって実現するかははこれからのがんばりどころ、俳優の見せどころです!
蠍のシーン
シーン6からちょっと飛んで、蠍のシーン。
蠍のシーンでは、女の子が、お父さんに聞いた蠍の物語をジョバンニとカンパネルラに語ります。この銀河鉄道の夜では、一人一芸コーナー(笑)があるそうで、どうやらここは女の子役の瀧腰さんのコーナー!
1回目のトライのフィードバックで「稽古のどっかではっちゃけたいな」と言っていた瀧腰さん。2回目のトライで早速はっちゃけてました!
でもなんか本人的には良くなかったらしく「なんかちがうなんかちがう」とセリフの隙間につぶやいています。言葉を聞かせる方向で動くのがいいのでは、と中村さんのアドバイス。
3回目のトライ!でも引き続きはっちゃけてる滝腰さん、いま、「雨ニモマケズ風ニモマケズ」て言いました??
フィードバックにて。
滝腰さん「セリフは増やしません」中村さん「知ってます(笑)」
わちゃわちゃしている俳優たちの横で、田上さんが「勢いでギター弾いてたんですけど、ここもなんか入れたらいいんですよね?」と口琴を弾き始めました。わぁぁぁ!と歓声の一同。蠍のシーンと口琴の相性、とっても良い!
蠍の話のあとに音楽ついて、中村さんの「まつり感だしたくて」ていうリクエストに「太鼓かな」と反応する田上さん。
「遠くに祭りの喧騒が、くらい」と中村さんが言葉を重ねると「じゃ、これくらいでもいいのか」とギターのボディを叩きます。一瞬でお祭りの夜。
銀河鉄道の夜といえばの名曲「星めぐりの歌」をみんなで歌ってキーを合わせ、今日の稽古はおしまい!皆さんありがとうございました。どうか能登で素敵な上演を!
ノトゲキの本番は9月7日(土)、8日(日)の2日間。地元高校の演劇部の公演や、ライブ、いろんなお店が出店するマルシェもあるそうです。楽しそう!詳細はノトゲキのXやサイトをご参照ください♫
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