私は、私 ひと色展
ひとり 帰り道を歩きながら、降りてくる夜にそのまま同化しそうになる。そのまま、夜の闇に飲まれて、何もかも溶けて見えなくなればいい。そんな、心地に。
街灯がなければきっと、私のこの格好では、側から見れば本当に同化したように映るに違いないけれど。
私の心が、私の思考が、それを許さない。
いや、許さない、なんていう強い言葉でなくてもいい。消えないんだ。なくなりは、しないんだ。
闇に溶けて、夜にたゆたい、輪郭のぼやけた線に自分を見失いそうになってなお、私はーー私であることに、ゆるぎはない。たとえ線がぼやけても、心の奥底、その中心に、想いは光っている。
こんなにも気持ちが沈むなら、こんなにも気持ちが落ちるなら、いっそなことこのまま闇に染まってしまえばいいのに。瞳を閉じて、そんなイメージを持っていても、どうやらそれに変わりはないようだ。
私は 私である ことに
夜の闇にこうして紛れているからこそ、もしかしたらよけいにそうした想いが光るのかもしれない。映えるのかもしれない。私が、私が、私の想いが。
ふぅ 息を吐きながら 空を見上げる
夜が降りてきて、私を包んでくれているような、そんな気持ちになる。
そうして、その闇の中で光る私の心の奥底にあるものが、より強い輝きとなって、私、という存在を照らし、くっきりとさせているようにも思う。
思わず、ため息をつく、頬がゆるんでしまう。
さぁ、帰ろう、家に、帰ろう。
また、明日、がんばろう。
私が、私であるために。
イシノアサミ さんの企画に参加させていただきました。
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