卑小なる生を選ぶ
楽をしたい。
人によく思われたい。
自分の思う通りに物事が進んで欲しい。
わたしは、どこにでもいるような俗物なのだが、わたしの中に潜む良心がわたしの怠惰と傲慢を許してはくれない。
なぜ、自分の心と体すら思い通りにならないのだろうか。
仕事を辞めて、些細なことばかりだけど色んなことに取り組んだ。
親に聞けるだけいろんな質問をした。
歩けるだけ延々と歩き続けたりもした。
子どもを2人連れて何時間も川遊びに興じて、2週間過ごしたりもした。
図書館で政治批判色の強い本を借りてきて貪るように読んだりもした。
明確にわかったことは、わたしは社会人に復帰するのは難しいだろうということだった。
いや、就労はできるが、わたしが望むような前職への復帰は叶わないだろうということだ。
わたしは人前に出る仕事が嫌になって、引きこもりたくてIT業界に飛び込んだのだ。
しかし恐ろしい競争社会だった。
少なくともわたしの目にはそう映った。
使い物にならないわたしが残った。
誰か拾ってはくれないだろうか。
スマートフォンのアプリ開発の経験は7〜8年あるのだが、いかんせんコピペコーディングの領域から出ることができなかった。
頭が悪い、センスがない、独学が足りないなのか、現場で学ぶチャンスを見つけられなかったわたしの謙虚さと素直さの欠陥なのか。
やり直せるなら、やり直したい。
でも、もう遅い。
卑小な生を選ぶほかない。