スタンダード落ちカードを振り返る〜「イニストラード:真紅の契り」編〜
なーせです。
昨日はスタンダードローテーション変更直前でイニストラード:真夜中の狩りの現環境を形作ったカードたちを紹介しました。
前回の記事はこちらから。
今回は2回目、イニストラード:真紅の契り。
血トークンを使用したギミック、新キーワード切除や訓練によるカード効果が特徴でしたが、全体的に小粒揃いなカードが多かったように思います。
今回の記事も前回同様、
①現環境における「イニストラード:真紅の契り」の与えた影響
②なーせ的「イニストラード真紅の契り」の環境定義カード
③「イニストラード:真紅の契り」がなくなった後のスタンダード環境考察
の順番でお話しします。
それでは参ります。
①現環境における「イニストラード:真紅の契り」の与えた影響
まずおさらい。
イニストラード:真紅の契りは。2021年11月19日に発売したMTGのエキスパンションです。
「己がなるものを恐れよ/Fear What You Become」「不浄なる契りを結べ/Join in Unholy Matrimony」がキャッチコピー。
前回のイニストラード:真夜中の狩りと比べてより吸血鬼がフィーチャーされているエキスパンションで、条件を満たすと裏返して使用する両面カードが多数採用されています。
また、今回は新たなギミックとして血トークンの存在、訓練と切除というキーワード能力が登場。血トークンの登場により手軽な手札入れ替えからの墓地再利用やデッキ圧縮、アーティファクトシナジーのデッキへの応用など様々な盤面で試されてきました。
キーワード能力の切除については限定的なカード効果を無視できるようにする応用力からかなり試されてきた能力です。訓練は部族が人間のクリーチャーに多数付与されており、物語の人が吸血鬼に贖う様を表現した効果で白単人間デッキの誕生に一役買っています。
環境についての大まかな所感は以上ですが、次に実際にイニストラード:真紅の契りに登場した今のスタンダードで採用実績のあるカードを見ていきましょう。
②なーせ的「イニストラード:真紅の契り」の環境定義カード
今回直近(4月下旬〜5月中旬)で行われたプロツアー「サンダー・ザンクションの無法者」のTOP8及びスタンダードチャレンジ(MO(マジック・オンライン)内で開催)のTOP4のリストからイニストラード:真紅の契りのカードで何が使われていたかを統計してみました。
※MTG専門店、晴れる屋の大会データ情報を参照させていただいています。
ヴォルダーレンの美食家
BO1使用率のトップを常に争っているボロス招集のお供としておなじみのカードです。場に出たときに1点ダメージと血トークン1つ生成するクリーチャー。
ボロス招集では血トークンを上機嫌の解体の対象に使って戦場にクリーチャーを並べたり、内なる空の管理人の起動コストに使用したり、後半はいらないカードのルーティングに使用するなど活用の幅がいくつもあります。
ボロス招集デッキであれば4枚採用のカードになっています。
コモンでありながら気軽に使えるのがとても大きいですね。
祖先の怒り
こちらもヴォルダーレンの美食家に続き赤単アグロで採用実績が多くあります。効果としてはクリーチャー1体に墓地にある祖先の怒り+1のパワー修正とトランプル付与&1ドロー。
息切れ防止にドロー効果が付与されており、団結のドミナリアで登場したされている僧院の速槍など果敢持ちクリーチャーと相性抜群です。
アグロ系のデッキには多く採用されている傾向があり、こちらもコモンなのがありがたいですね。
婚礼の発表
エスパーミッドレンジなどのコントロールデッキで多く採用されているエンチャント。
終了ステップ時にカウンターを乗せ、そのターンに攻撃したクリーチャーが2体以上いれば1ドロー、1体以下であれば1/1の人間クリーチャートークン生成。婚礼の発表に3つカウンターが乗ったときに婚礼の祭典という裏面カードに効果が変わり、婚礼の祭典が場に出ている限り、自身がコントロールしているクリーチャーは+1/+1修正。
婚礼の発表でトークンで場をしのぎつつ、後半はクリーチャー強化と腐りにくい性能で放浪皇とセットでよく使われています。エンチャントという性質上、場残りしやすいのが評価ポイントです。
船砕きの怪物
青系コントロールのフィニッシャー枠。
瞬速持ちで打ち消し不可のクリーチャー。呪文を唱えるたび、相手の唱えた呪文1つを対象に手札に戻すか、土地でないパーマネント1つを手札に戻す効果。
マナが大量にある状態、かつ手札が潤沢な状態で船砕きの怪物が場にいると完全にロックできてしまいます。瞬速持ちなので場に出すタイミングも選べるのもかなり強い。
7マナと重いカードですが、制圧力の高い一枚です。
税血の収穫者
このカードは上位入賞デッキには採用実績がない(ラクドスミッドレンジ自体が入賞していない)ですが、ラクドスミッドレンジの(ほぼ)必須パーツカード。
戦場に出るときに血トークンを1つ生成し、タップして生け贄に捧げることで対象のクリーチャーに自信がコントロールしている場に血トークンの2倍のマイナス修整を与えます。血トークンが2つ場に出ていれば-4/-4修整。
マイナス修整なので破壊不能では回避できないことからクリーチャー除去に重宝され、血トークンを利用したアーティファクト軸のデッキにも数多く採用されています。
なお、このカード自体税血の徴収者と表記されていますが、日本語翻訳ミスです。公式でも訂正記事が出ています。税血の徴収者というカードは前回のセット、イニストラード:真夜中の狩りで登場したカードであり、真紅の契りの日本語訳は誤訳になります。
詳細は以下のページをご覧ください。
そんなわけで今回振り返ってみて思ったのが意外とレアカード以上でないカードが採用実績が多いことに驚きました。
最初にご紹介したヴォルダーレンの美食家をはじめ、今回紹介していないカードで言えば祭典壊しなど、赤系のカードの多くがコモン・アンコモンで採用実績が見られるカードが存在しています。
そんなわけでこれらのカードが存在するイニストラード:真紅の契りがローテーションから外れた後どうなっていくかを予想してみます。
③「イニストラード:真紅の契り」がなくなった後のスタンダード環境考察
結論を言うとイニストラード:真夜中の狩りの時と比べると代用可能なパーツが多く、環境に与える影響は小さめというのがなーせの意見です。
ヴォルダーレンの美食家は現BO1トップメタのボロス招集ではひよっこ捜査員などがまだ残るので今後出るカード内容次第で如何様にも運用はできそうですし、祖先の怒りは赤単の必須パーツではありません。代用案はいくつか存在します。
婚礼の発表や船砕きの怪物に関してもコントロール系デッキのつなぎやフィニッシャーになるカードといえなくはないものの、のちに出たセットで代用できるカードが数多く存在します。
婚礼の発表であれば普通に打ち消し呪文や全体除去を採用することで場持ちするでしょうし、船砕きの怪物については優秀なプレインズウォーカーやイクサラン:失われし洞窟で登場したミシュラランド(クリーチャーに変身できる土地)を使うことで勝負を決めることが可能です。
とはいえ手軽に血トークンというアーティファクト生成できるヴォルダーレンの美食家や税血の収穫者を活用した、アーティファクトシナジーのラクドスデッキは壊滅的かと思います。
トップメタには影響が少ないものの、白単アグロで多く採用された有望な信徒やスレイベンの守護者、サリアなど使えなくなるので多少の弱体化はあるでしょう。
終わりに
今回はスタンダードローテーション変更前にイニストラード:真紅の契りのカードを振り返ってみました。
イニストラード:真夜中の狩りと比べるとややカードパワーが弱い気が個人的にしているため、影響は少ないのかな?というのが個人的な感想です。
そして次回はついに強力カードが多数存在する神河:輝ける世界の話題になります。
舞台も日本に近い世界観を踏襲しつつ、サイバーパンクの要素を含めた新しい神河次元のカードはどんな感じだったのか?また振り返っていきます。
今回の記事で「このカードが強力だったよ!」ということだったり、見逃しがあればぜひご指摘ください。
それではまた。
【あとがき】
今回は調べれば調べるほど、前回のイニストラード:真夜中の狩りの大スライム、スローグルクのようなデッキ内のメインカードと呼べるカードがなかったと思われて、記事を作るのに苦戦しましたw
ただカードが控えめではあるものの、粒ぞろいのカードが多く、スレイベンの守護者、サリアが再録したことで多くのサリアファンは歓喜したのではないでしょうか?サリアはキャラクターとして人気がありますからね。強いは正義。
また今回のイニストラード:真紅の契りはストーリー的にはハラハラする展開で読みごたえがありますので是非公式の小説を読んでみることをお勧めします。小説を読むのが苦手な方はストーリー解説をされている動画がいくつかあります。
今回は公式の小説のページのリンク(第1話)をのせておきます。
サリアとオドリックのストーリーは結構胸熱なんですが、オドリックのカードの効果が残念過ぎるのは私の個人的意見w
いや、もしかしたら多くの人がそう思っているかもw
血に呪われた者、オドリックを救済するデッキの登場はあるんでしょうか?
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