【掌編】『夢に生きている』
暗闇の中でライトアップされた、青いドレスを着たその人は、真剣な顔つきで僕の目を見ながら言った。
『 夢見てちゃ、駄目、夢になりなさい
願うだけじゃ、駄目、夢になりなさい 』
そして、彼女は口の端を少し上げて笑顔を作った。
僕は彼女に問いかけた。
「..何ですか?それ」
彼女は笑顔のまま、ゆっくりと口を開く。
『..映画の台詞』
「へえ..なんて映画ですか?」
彼女の口から、質問に対する答えは出てこない。
そして、彼女は言葉を続ける。
『 私たちは夢の中に生きている 』
再び、僕は彼女に問いかけた。
「...それも、映画の台詞ですか?」
彼女は笑顔のまま頷いた。
夢の中に生きている..
日々の生活の中、ふとした瞬間、そう感じる時がある..
彼女はまた、僕に言った。
『 すべては夢と夢との境界線の出来事 』
夢と夢との境界線の出来事..
夢から醒めても夢の中..
いずれにしても夢の中..
「じゃあ、今は夢の中なんですか?」
僕の言葉を聞いた彼女の顔から表情が消えた。
『どう思う?』
どうなのか...
すべては夢と夢との境界線の出来事..
いずれにしても夢の中...
いいなと思ったら応援しよう!
サポートされたいなぁ..