声優から見える各声優事務所のイメージを書き出してみた。
「声優」の私が、各声優事務所の勝手なイメージを書いてみます。
事務所の選出は思いついた順なだけで他意はありません。あくまで個人の見解かつ、自由気ままに投稿できるnoteだから書いちゃうぞ的な内容だということは前置きさせてもらいたいです。
声優に詳しかったり、なんとなくでもプロダクション名にピンとくる人じゃないとサッパリかもですが、楽しんでもらえたら幸いです。あと筆者はアニメが好きな人なので、挙げる声優さんはその界隈になりがちです。
青二プロダクション【老舗にして不動のトップ】
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言わずと知れた老舗にして不動の最強声優プロダクション。
とにかく「最強」というイメージがある……。。
アニメ、吹替、ナレーションなど、持っている仕事のジャンルが広いうえに、それぞれのタイトルがデカい。そして固い。
”固い”とはどういうことかというと、朝の帯ナレとかニュースとか、そもそも声優なんて不安定なんだけれど、それでも一定の安心感がある仕事ってものはあるのでしょう。
そういう仕事を青二はきっちり取っているし、対応できる実力の高い声優たちが多数所属している。
代表的なと言うといろいろ角が立ちそうなので”今この瞬間に思いつく所属者”を挙げるなら、小野坂昌也さん、神谷浩史さん、置鮎龍太郎さん。それから沢城みゆきさん、悠木碧さん、水田わさびさん、佐倉綾音さん。
さて、声優マニアならお気づきかもしれない。ここで挙げた7名のうち、男性3名は青二プロダクション付属養成所の青二塾出身の生え抜き。対して、女性4名は全員移籍組。
国民的人気キャラクターの”お土産”を携えてでも所属したい事務所。それが青二プロダクション。そういう見方で、青二プロへの移籍のニュースはゾクゾクしてしまう。
実際、ドラえもん役の水田わさびさんがTBSの朝番組『ラヴィット!』のナレーションを担当されるなど、本人ではどうすることもできないパブリックイメージがある声優をも別ジャンルの仕事へ誘う手腕。もちろん前提として水田さんが素晴らしい声優さんなのですが、『ラヴィット!』の報を聞いて「さすがの青二か……!」と思わずにいられなかったのは私だけだろうか。
#伊藤かな恵 #沢城みゆき #悠木碧 #島﨑信長
— 青二プロダクション【公式】 (@aoni_official) November 6, 2022
【アニメ10周年記念イベント「ソードアート・オンライン-フルダイブ-」】
〈11月6日(日)開催@東京ガーデンシアター〉https://t.co/AbMhnCTjxZ
SAO始まりの日…そしてアニメ10周年おめでとうございます!#sao_anime #sao10th #リンク・スタート https://t.co/3ZKUjLPEWl pic.twitter.com/c88x0LIBbS
ちなみに余談すぎるけど、先日の『ソードアート・オンライン』のイベント後の青二プロダクションのTwitter。ユージオ役の島崎信長さん、直前の体調不良でやむなく登壇できなくなってしまいましたが、「ここに青二塾東京校生え抜きの島崎さんがいないことが本当に悔やまれる……ッ」と、誰一人とも分かち合えないであろう理由で私は人知れず泣きました。
81プロデュース【業界の双璧を成す巨塔】
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青二のほかにもうひとつだけ声優プロダクションを言わなければならないなら、私は81プロデュースを挙げる。
こちらも歴史のある声優プロダクション。青二プロの項で付属養成所の青二塾について書いたけど、81プロデュース付属養成所・81ACTOR'S STUDIOもまた、数ある声優養成所の中で有名。声優を目指す人なら養成所を調べる中で必ず目にすると思う。
アニメ、吹替、ナレーションとオールジャンルで活躍する有名声優が多数所属。そのほかの特徴としては、81プロデュースは固有の作品や会社との結びつきを強く持つ性質がある(ように感じる)。
もはや古い感覚かもしれないのでサラッと読んでもらいたいですが……、一時期はNHKの子ども向け番組のキャストが81声優だらけだったり、『ポケモン』にめちゃくちゃ強い時期もあったような気が。「○○に出たいなら81」みたいな言い方を界隈で耳にすることも、あったような、なかったような。
でも近年はそうでもない気もするので、ここは本当にサラッと読み飛ばしてください。
思いつく所属者は、高山みなみさん、江口拓也さん、斉藤壮馬さん、武内駿輔さん、高橋李依さん、上田麗奈さん。
大御所から若手まで、実力と華のある方が豊富。あとは江口さん、斉藤さんを発掘した81オーディションのイメージも強い。存じ上げていませんでしたが、コロナが大流行した年も欠かさずに毎年開催していたとは頭が下がります。。
老舗でありながら(老舗だからこそ?)新人発掘に非常に意欲的で、同時に新人を育てる新しいプロジェクトにも貪欲な力強い声優プロダクション。
アイムエンタープライズ【若手スタープレイヤー輩出工場】
青二、81の次にどのプロダクションを持ってくるか本っっっ当に迷った。そんななか独断と偏見で、3つ目に挙げることにしたのがアイムエンタープライズ。
声優が好きな人なら、この言葉に聞き覚えがあるだろうか。
「日本ナレーション演技研究所」略して「日ナレ」。TVアニメの合間にもよくCMが流れてくる、大手声優養成所の一角。この日ナレを卒業した先にある声優プロダクションのひとつにアイムがある。
思いつく所属者は、下野紘さん、松岡禎丞さん、釘宮理恵さん、早見沙織さん、内田真礼さん。
毎期なかなかの本数のアニメを見ているが、誇張なく毎期必ずいる。
必ずいるというか、毎期いることを”認識させられている”ことがすごい。自分が見ていない作品でも、人気作だったり特徴的なキャラクターだったりで評判が聞こえてくるとき、そこにはアイムの声優が当てがわれていることが多い。
日ナレ系のプロダクションの中では、新進気鋭の個性豊かな声と演技のスタープレイヤーを囲い込んでいるイケイケなプロダクション。
得意ジャンルは言わずもがな、アニメに強い事務所と言えるでしょう。
マウスプロモーション【持ちスタジオの強み】
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マウスプロモーションが江崎プロダクションだった頃を私は知らないのでここでは割愛します。
近年はどこの声優事務所もスタジオを持っているが、とりわけマウスは音響制作にいち早く乗り出した印象。早さは強さと一概には言わないにせよ、スタジオマウスの仕事量は他の事務所付きスタジオを凌駕している。
最近では「音響制作会社が声優プロダクションを作る」という矢印の方向もあるのでちょっとややこしいけれど、マウスはあくまで「声優プロダクションが音響制作を始めた」という矢印、だと思っている(間違っていたらごめんなさい)。
声優プロダクションが持つスタジオの中で、「スタジオマウス」をエンドロールで見かける率は圧倒的に高い。
もちろん、スタジオマウス制作の作品をマウス所属声優で独占しているわけでは全然ない。『鬼滅の刃』もマウス制作だけど、そんなことないでしょ?
そうは言っても少なからずの優位性はあるはずなので、スタジオを持っていると、所属声優にとっては仕事の分母が増えるチャンスがあると言えるし、マウスは実績を持ってそれが確信できるのが強みだ。
思いつく所属者は、大塚明夫さん、大川透さん、大谷育江さん、加隈亜衣さん、河西健吾さん。
ただし、実は沢城みゆきさんも石田彰さんも小野大輔さんも思いついたけど、今はもういない。そんな感じで、けっこうスターが離れていきがちな事務所というイメージもある。
古くは吹替に強いプロダクションという印象でしたが、今はアニメにも強いのかなと思っています。
俳協【気がつけば俳協声優がいる】
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東京俳優生活協同組合、略して俳協。
正直、組合という組織がどういうものかはサッパリ分かっていないので、、ここではあくまでプロダクションという視点のみでいきます。
と言いつつ、、どんな仕事に強いとか、あんまりプロダクションとしてのイメージはなかったりする。。。ひとつだけ自信を持って言えるのは、付属養成所の金額が比較的安い。期間も短いのでその分の安さはあるのでしょうが。
イメージがない割に、仕事がない印象もない。しっかり大活躍する声優を抱えているし、ふと通りかかったイベントで流れていたVTRで「ナレーション誰かなー」と調べると俳協声優だったりする。
養成所にも悪いイメージは全然ない。通っていた人のほか、何人か講師をやっていた方も知っているが、いい印象ばかりだった。
思いつく所属者は、諏訪部順一さん、山村響さん、大原さやかさん、和氣あず未さん、それからチョーさん。
スタジオを持っているかはよく分からないけど、俳協には小屋(=ステージホール)がある。そのため、舞台に強い(強いというか大事にしている)事務所という印象もあったりする。
アニメで活躍する人も、ナレーションで活躍する人も、舞台で活躍する人もちゃんといるプロダクション。俳優自身の意向によってやりたいことができるプロダクションと言えば聞こえは良いけど、良くも悪くもすごくフラットなイメージがあり、放任的な事務所なんじゃないかなぁと外からは見ている。
賢プロダクション【声優が作った声優事務所のさきがけ】
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賢プロは、なんと言ってもやっぱり偉大なるプレーヤー・内海賢二さんが立ち上げた声優プロダクションというイメージがデカい。
そこを言うならなぜケンユウオフィスも挙げないのかと怒られそうですが、賢プロの付属養成所であるスクールデュオ経験者が私の周りに数名いて比較的イメージを強く持っているからというだけの理由。
声優プロダクションを見るときに同時に養成所も見てしまうのは、声優を目指したことがあるからこその視点かもですね。
プレーヤーが立ち上げた事務所はたくさんある。ここ数年でも増えている。けれどもその中で、賢プロは地肩の強いプレーヤーをしっかり育てることにも成功しているように感じる。
思いつく所属者は、甲斐田裕子さん、小西克幸さん、阿部敦さん、斎賀みつきさん。
なんだろう、賢プロの声優さんって、キリッとカッコいい人が多いというか……、そこに「賢プロっぽいなー!」って思うんです。
スクールデュオは、厳しい養成所というイメージがある。そもそもの募集人数が少なめだったり、「1年以上の演技経験者、または同等のキャリア・カ量があると判断される方」という入所条件を読むだけでも背筋がシャキッとなっちゃう。そんな、頭っから「厳しくいくよ」というスタンスの場所でのし上がってきた人たちなんだなぁと、ビビリな私はそんな色眼鏡で所属声優さんたちを見てしまうところがあります。
そして、やっぱりそれこそが内海賢二さんイズムなのか、人間力と野心がないと生き残っていけないような、擬人化したらきっと目力が強そうな事務所というイメージ。
仕事の面では吹替に強い事務所の印象です。が、例に漏れずアニメで活躍する声優さんも多数在籍していますね。
大沢事務所【実力者を多数抱える謎の結社】
大沢事務所は、既にキャリアのあるプレーヤーがマネジメントを求めて集まってくるイメージがある。
大沢事務所には養成所がない。
一応、研究生募集があるのだが、なんだか他の事務所の養成所とは様相が違う。研究生が何をやっているのかは謎に包まれている。外から見える様子では、積極的に下を育てていく意向はあまり感じられない。
と言っても、別にそれは悪いことではない。新人育成のリソースを割かずとも、マネジメントで強ければプロダクションとしてはOKなのだ。
子役だった花澤香菜さんは、いまや声優業界を率いるスーパースター。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』で、当時としては割と大人な年齢でデビューした茅野愛衣さんも、キャリアを積んで大沢事務所に移籍し順調に毎期聴こえてくる声として君臨している。
実力のある声優が来ればぐんぐん伸ばす、マネジメントプロフェッショナルな声優プロダクション。転じて、実力も実績もない者にはご縁のないプロダクションというイメージも。
シグマ・セブン【ナレーションときどきアニメ極振り】
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シグマ・セブンは、そもそもはナレーション事務所だと思っている。たぶん事務所側も、どれかと聞かれるならナレーション志向なのではなかろうか。
ただ、今はもう離れてしまったが、中村悠一さんしかり水樹奈々さんしかり、実績は置いておいてあくまでイメージ的な意味でだが、ナレーションからかけ離れたステータスに極振りしている声優がたまにいる。そんな事務所。
いい声がジャンルを問わず求められるのは至極当然なことなので、スタート地点がどこであれ、実力があれば仕事のジャンルは勝手に広がっていくということ。声優としてはそうありたいものよ。。。
一時期、見ているTV番組が軒並み平野義和さんのナレーションだったことがあった。アニメやそれに付随する顔出し企画でも活躍する安元洋貴さんもまた、番組ナレーションも多数担当されている。前述した中村さん水樹さんも、アニメや歌のイメージが強いがしっかりナレーション実績も厚い。
これだけアニメがメジャーコンテンツになっても、いまだにナレーションのほうがアニメと比べて待遇が良いと個人的には思う。ギャラの点でも、年齢的なハンデがアニメより少ないという点でも、声の仕事を長く続けたいなら取っておきたいジャンルだ。
だからこそ、アニメにも一定の強さがあり、かつ年を重ねても可能性が望めるナレーションの仕事をたくさん持っているシグマは、うまく合致すれば長く声の仕事を続けられる打率が比較的高い事務所なのかもしれない。
ただ、アニメ声優に憧れて20年先なんか見えてない若かりし時期には、ちょっぴり渋く見える事務所という面もある。年を取るとより良さが見えてくる、いぶし銀な事務所ですかね。
アクロスエンタテインメント【門扉の広い経験者駆け込み寺】
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アクロスエンタテインメントはここまでに書いた声優プロダクションよりずっと若い事務所だ。それでも、上に連ねた事務所群と引けを取らない高い戦力がある印象なので書いておきたかった。
新しくできた声優プロダクションは、心の底から即戦力を求めている。しかし、本当に即戦力になるような人材はそもそもどこかのプロダクションに所属しているので、なかなか簡単には集まらない。
ところが、アクロスにはまさに即戦力と言える、大手事務所で下積みを経験した人材が集まってくる。あくまでイメージではあるが、経験者の受け入れに寛容なのだ。
もちろん、寛容と言っても即戦力じゃない人はお話にならないし、他の事務所だって移籍は受け入れている。けれども、とりわけアクロスは移籍受け入れが積極的に見えるし、またそれによってバランス良く、着実に所属声優のラインナップを増やしてきた印象。
そしてその最たる例こそ、花江夏樹さんではないだろうか。
他に思いつく所属者に、山寺宏一さん、伊瀬茉莉也さん、金田朋子さん、犬山イヌコさん。
アニメ、吹替といった声優らしい仕事以外にも、バラエティ番組などの顔出し仕事にもルートとノウハウがある。声優が持ってきた仕事=お土産を、しっかりと受け取り他の所属者に振り分ける。これを正しく繰り返せたからだろうか、アクロスは気づけばめちゃくちゃ大きな事務所になっていた。
アクセルワン【声優事務所乱立期のNo.1強キャラ】
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アクセルワンはアクロスよりさらに新しい声優プロダクションで、設立時の記憶も新しい。いやあ、当時は震えた。なんというか、強すぎてビビった。
当時はちょうど自分も上京し活動を始めてちょっと経ったくらいだったから、声優の動きには過剰に敏感だった。そんな矢先、スターだらけのプロダクションが新たにできたっていうんだから、なんか正直もう怖かったです。
森川智之さんを社長に、初期の所属者はアベンジャーズ感とでも言いましょうか、本当にみんなが主役級。かつ、そういう声優が2、3人とかじゃなく軍団を成して初期メンバーにいるから、他の事務所とはまったく違う異彩を放っていた。
声優事務所乱立期と書いてはみたが、それは単に私が声優の動きに過敏になったがゆえに乱立しているように見えただけかもしれない。しかしながら、以降もたくさんの声優が独立しプロダクション設立のニュースを見ているが、アクセルワン設立を超える鮮烈さを感じたことは今のところない。
どんなおっかねえ最強プロダクションになるんだとガタガタ震えていたが、意外にもじっくり会社を育てていくスタンスなんだなと10年見てきて思う。決してそれが10年前からの思惑通りとも思っていないけれど、とにかくスターだらけのパワータイプ事務所とはならず、当初から新人育成にも熱心だった。最近は森川さんみずからバラエティ番組にガンガン顔出しをしたりして、事務所を超えて声優という職業そのものの未来を見据え、これからも長きに渡って業界をリードする声優プロダクションのひとつになるんだろうと思う。
あとがき
プロダクションウォッチングが好きだ。
世で活躍する声優の多くが、プロダクションに所属している。声優を調べるときは、もれなくどこのプロダクションに所属しているのかに目を光らせてしまう。
言うなれば私は、声優プロダクションオタクなのだ。そんな私も一応、声優なんですが。
どのプロダクションにも一定の傾向はあるので、声優と所属プロダクションのイメージと合致すると納得感がある。
逆にイメージと違うときは、それはそれで妄想が膨らむ。会社を上げて新しいイメージを売り出そうとしているとか、アクシデント的にオーディションに受かったとか、事務所側の期待を超えるとんでもない起爆剤という可能性もある。
ただ、意地の悪いことを言うと、一度スターダムに上がっても次の年には実績スッカラカンになることもあるのがこの業界。
声優は潜在的失業者。
大学と並行して青二塾大阪校に通っていた私の耳に不思議とこびりついたこのフレーズは、年を取るごとに腑に落ちて落ちてたまらない。
ちょっと書いててマニアックすぎる気がしてきて、本当はもうちょい誰でも読めるような内容にしたかったです、すいません。あと「なんでこの声優プロダクションがないのよ!」というお叱りは私自身もめちゃくちゃ思ってます。「あの事務所もこの事務所も」と思いつくんですが体力が尽きましたので、もしご要望いただければまた書きたいと思います。それでは。
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