相棒ワールドの動画配信者こんなんばっか(相棒Season21-9 感想)
はじめに
最近右京さん(相棒世界の)世間のおもちゃになってないか?
相棒Season21-9「丑三つのキョウコ」の感想になります。
今回のテーマは「インフルエンサー」と「都市伝説」。そして前シーズン5話「光射す」のような雰囲気を幾つか感じる回でした。
会ったら最後、心臓をえぐり取られて殺される白いコートの女性・丑三つのキョウコ……そんな都市伝説がインターネットに蔓延る中。
心臓を刺された遺体、現場付近を撮影した投稿動画に映るコートの女性。まるで都市伝説が本当に現れたかのような殺人事件が発生……という流れで始まる捜査。
丑三つのキョウコに出会った時は、ハート型のキーホルダーを投げつけると逃げられる……完全に現代版口裂け女だこれ。
ただ現代らしい点として、目撃情報が口伝に留まらず動画が拡散されているという大きな特徴が。動画がCG合成などでなければ、映像に映っているのは一体……という疑問が発生。しかもSNS上では、先の投稿動画に映る丑三つのキョウコを「偽物」と言い張るアカウントまで。
その一方、被害者・河上が代表を務めていたフリースクール(引きこもりのための支援学校)にも、キナ臭い話が。
引きこもりとなった我が子を助けたいという一心でフリースクールに縋った親の気持ちを踏みにじり、子供をボロ雑巾のように扱ったあげく親からは法外な月謝をぶん取るというあくどい商売をしていた事が判明。相当な恨みを買ってそうな人であり、犯人は都市伝説に扮した単なる異常者というわけでもなさそうな雰囲気に。そして「偽物」と言い張る例のアカウント関連を追っていた中、新たな犠牲者と新たな動画も……。
結論から言うと。
丑三つのキョウコは最初こそ確かに謎の存在であったものの、それがSNSに伝播し「都市伝説」となったのは、作為的なものでした。
例のアカウントの主・松田と第2の犠牲者となった社会学者の大村、彼らはグルだったのです。承認欲求のために「バズる」動画を出したい松田と「噂という物の伝播速度」にまつわる研究をしていた大村、彼らは白いコートの女を自作自演ででっち上げ、丑三つのキョウコという都市伝説を作り上げたのです。
そして、もうデータ収集が終わったため動画制作も終わらせようとした大村と揉めた事で、松田は短絡的に大村を殺害。あげく、「バズる」ために動画を回し、白いコートの女に扮してもう一度大村を刺した……決定的瞬間の映像を捏造したのです。
あまりにもカス(直球)な犯人にキレる亀山君と、呆れて怒ることすらしない右京さん。
この人、右京さんを隠し撮りして音MAD動画を作るというモラル/Zeroな行動を取っていたり、第2の事件に関する事情聴取でもひたすら伊丹刑事を煽ったり脅したりと外道の塊だったので、自らの罪で裁かれるのは自業自得としか言えません。
ちなみに、あくまで第1の事件の目撃者に過ぎなかったウォーキング大好きマンというアカウントの主も、目撃証言に関する聴取の際に取調室を撮影しようとして怒られています。
マジで相棒ワールドの動画配信者こんなんばっか。
前Season正月SPに出て来たまるで存在理由が分からなかったボンバー高田といい、マジでロクなやつがいません。
とはいえ、松田が最初に白いコートの女を目撃したのは事実であり、第1の事件現場付近でも目撃されている。第1の事件は何だったのか。
その真相は第2の事件と打って変わって、教え子のためという動機によるものでした。
かつて、悪徳フリースクールを運営する河上の被害者となった少女・青山加奈。
体操選手権で大きな失敗をし、コーチでもあった教師から責められたことで引きこもりになった彼女を心配した母親は、河上のスクールへ依頼。
しかしボロ雑巾のように捨てられた加奈の引きこもりは悪化し、法外な月謝で生じた借金のせいで母は過労死。身寄りを失った彼女の面倒を、元コーチ・足立が見ることに。
そして。悪徳フリースクールの実態を知った足立は河上の元へ赴き、そこで揉みあいになってしまい河上が死亡。足立を心配して外出し、事件を陰から目撃していた加奈が現場から立ち去ったその姿こそが、丑三つのキョウコの動画となった……。これが第1の事件の真相。
そもそも。丑三つのキョウコという都市伝説が生まれた最初の動画に映っていた白いコートの女性も、正体は加奈本人でした。
引きこもりが悪化してしまったとはいえ、亡くなってしまった母の墓参りだけはどうしても行いたくて、人目につかない深夜に出歩いた……それが、面白おかしく脚色されただけに過ぎなかったのでした。
さて。
話は変わりますが、前Season-5話「光射す」にも、重度の引きこもりが事件に関わってきました。
事件に関わる引きこもりで、事件が解決した時には身寄りとなる人が警察へ連行されて、今後どうなってしまうのか定かではない……。
「光射す」に登場した三宅卓司は本当に生活力がないものの、引きこもりの理由は単なる社会不適合性、犯人であった母親の罪は傷害罪止まり。
今回登場した青山加奈は、誰かのために立ち上がる前向きな力は残っていたものの、引きこもり度合いはトラウマレベルに悪化しており、親代わりだった足立は殺人犯でしばらくは刑務所から出てこない。
どっちが救いあるんやろうなあ。
若いし、前を向く力があると右京さんに説得されていたりする分、やっぱり青山加奈の方が救いようあるんですかね。三宅の方は本当にどうすんだよこれって状態のままお話が終わっちゃったし。
最後に
自分でナイフ出しといて負ける河上弱くない? 結構年齢差あるよ?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?