相棒式・トロッコ問題の解答(相棒Season21-1 感想)
はじめに
こちらが考慮した結果の人選となります
今年もこの季節がやってきました。
相棒Season21-1「ペルソナ・ノン・グラータ〜殺人招待状」の感想です。
Season開始恒例の前後編。題材となったのは「サルウィン」と「トロッコ問題」。
いやはや。
前Season最終回の感想記事にて、私はこんな事を書きました。
うん。
ここで亀山君を持ち出して来るのは最高のキャスティング。
……なのですが。14年という年月、互いの考え方の変化等もあってか、作中の2人はややぎこちない様子。
サルウィンからの国賓として来日した亀山薫と、彼に招待された杉下右京。再会し、亀山君の14年間の話に花を咲かせるのも束の間、亀山君に届いた脅迫メール。
同じく国賓であり、腐敗していたサルウィン政府を打ち破った反政府運動のリーダー・アイシャを殺害しなければ、サルウィンから日本に向かっている航空機を爆破する。しかも、その航空機には亀山君の妻・亀山美和子も搭乗している……というもの。
アイシャ1人の命か、航空機に搭乗している150人余の命か。
タイムリミットは5時間という中で、2人はトロッコ問題を迫られることに。
そもそも航空機に爆弾を仕掛ける事は非常に困難であると考え、静観する方が良いと主張する右京さん。
一方で亀山君は万が一の可能性を否定できず、その上で
「美和子1人が犠牲になるなら、アイシャを手にかけない選択をした自分を誇る。でも、150人の命が掛かっているとなれば、それを見過ごす事は出来ない」と語る。
ここの亀山君の考え方、一瞬「うん?」と引っ掛かりました。
亀山君、こういうトロッコ問題で「1人側を見捨てる可能性」に天秤を傾ける側だったっけ……? となったわけです。
まあでも。腐敗しきった国を救うために、14年間正義を教える活動をしていたんです。最終的に革命に至るまでの活動に携わっていたんですよ。そりゃどこかで考え方に変化はあるよ。
何より「美和子1人だけならアイシャを手にかけない」という考えを見て、根っこは元の亀山君から変わっていないと感じられましたから。
しかし、その「正義」を説いて来た教え子・アイシャは、自ら命を絶ってしまう。
1人側に立った人間が自らトロッコの進路を自分の方に傾けるという形で、このトロッコ問題は血に塗れた結末を迎えてしまいました。
アイシャが送信予約をしていた遺書となるメールには「必ず犯人を見つけて、罪を償わせる機会を」といった旨の文章が。
この言い方は恐らく、杉下右京の「正義」を受け継いだ亀山君が彼女に教えた「正義」なのでしょう。
その一方で、自殺の理由としてアイシャは、仏教でいう「利他」の考えを引用していました。
これ絶対亀山君から直で教わったやつだよ……。状況が状況だし、その考え自体は尊い物だけどさ……私が亀山君の立場だったら「間違ってるよ」と言いたい気分にもなります。亀山君だって、きっとそういうつもりで教えたわけじゃなかっただろうに……。
結果として、人質となった美和子含む搭乗客たちは無事に航空機を降りられたものの。
友人を喪った事がキッカケでサルウィンへの渡航を決意した亀山君が、
サルウィンから日本に戻った来た時に、教え子の命が散る現場に遭遇する。
ここで1つ気になったのは、アイシャに護衛つけてやらんかったの? という点。
今回は状況を見るに確実にアイシャの自殺(これで偽装殺人だったらビビるわ)なのですが、そうだとしたら彼女の元に誰かをつけていれば自殺を防げた可能性はあった筈なのです。
ただしネックになるのが、このとき現場となった来賓楼にいた人間。
脅迫の兼ね合いでヘタに警察の人員を動かせない中、事件のことを知っているのは杉下&亀山、亀山以外にも同じ脅迫を受けていた数人の重役、そして右京さんが内情を話した片山雛子&鑓鞍兵衛。
数人の重役たちは脅迫で思いつめた結果アイシャを殺害しようとする人物まで現れ、鑓鞍は右京さんの依頼で内庁に調べ物に行かせたため現場に不在。残っているのはあの片山雛子のみ。
……ハッキリ言って詰みです。詰みですが、警察官としてはやっぱり誰かは傍に置いておかないとダメだった。
どうやら次回、その事で右京さんにお叱りが飛ぶ事が確定済のようですし。捜査復帰を巡って、何やら一悶着もあるようですが……これで終わるような右京さんじゃないでしょうし、解決に向けて動く事は確かでしょう。
願わくば、開花した筈の亀山君の「正義」の分身たるアイシャを散らせた人間に、正義の鉄槌を。加西周明や鶴田翁助の時のように、決着までくっそ時間かかるなんて事だけは勘弁してください。
最後に
青木が居なくなってもサイバー課にはもう1人パシリが居た。
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