本当にそれでいいのか土師太(相棒Season21-4 感想)
はじめに
相棒Season21-4「最後の晩餐」の感想になります。
今回のテーマは「親子」と「カレーライス」、そして「チャップリン」。
ふとしたキッカケで見かけた奇妙な人物と右京さんが2人きりになるタイプのお話でした。このタイプのお話かなり好きです。Season4-19「ついてない女」とかSeason12-18「待ちぼうけ」とか。
ある日、タクシーでいつもの料亭へ向かおうとする特命係の2人。拾ったタクシーの中にはマフラー忘れ物……しかも、そこそこの血が付着している。
急遽予定変更、タクシーの運ちゃんの手も借りて、忘れ物の主……最後に乗った客を探すことに。
どうやら忘れ物の主は、途中でロープを買っていったそう。もしかしたら「コロシを終えて、最後に自ら命を絶つ」可能性もある。そんな事を考えながら、男を発見。どうやらバーに入っていくようなので、バーには右京さんが、聞き込み等は亀山君がといった具合に分かれての捜査へ。
男・堂島は、バーでよく食べていたというカレーライスを食べたがっていた。しかし、いま材料を切らしていると店主・ミツルに断られる。
最後の晩餐にするつもりだろうかと考えた右京さんは、堂島と一緒に材料を買いに行くことに。
一方、亀山君は聞き込みで次々と手掛かりを明らかに。
・堂島は遊び人だったが、1人だけ仲が良い女性がいた
・その女性、どうやら堂島本人ですら知らなかった堂島の子供らしい
・彼女と付き合っていた人間がいたが、堂島は別れさせようとしていた
・最終的に、堂島娘の彼氏は前科者、一課が追っていた事件の犯人・菊池であること、そしてマフラーの血はその娘の物であるという事が判明
右京さんの指示こそあれど、単独行動で次々と手掛かりを見つけていく様は彼の成長をひしひしと感じさせます。
また、手掛かりを得るため特命係がそれそれ土師君に声を掛けていましたが
この人、青木がいた時は青木煽りでイキイキしていましたが、青木が居なくなった途端ポスト青木のポジションにすっぽりハマって笑うしかない。
でもまあ、青木じゃないだけマシだと思います。亀山君との相性はすこぶる悪いと思うし、口悪いからそれに対する窘めだけで尺食っちゃうし。
さて。娘の遺体が発見されたことで、とうとう真相を隠せなくなった堂島。
初代亀山時代の懐かしいBGMを幾つか流しながら、身の上を語ります。
自分は本当の親に捨てられ、資産家の家庭に迎えられた養子だった。親代わりとなった資産家たちの言いつけ通りに過ごして来たが、少し己の我を出した瞬間何もかも上手く行かなくなる。
出会った女に惚れて、その事で家を勘当になってでも事業を起こし。けれどもそれが失敗。結果、資産家の親たちに土下座をして資金を借り。その事で親の言いなりになり、彼女を捨てて家の事業を継ぐがそれも失敗。
結果堂島は、「自分は何もしない方が良い」と考えるようになりました。
そんなある日、自身に娘がいることが判明。どうやら、かつて惚れた女との間に子供が出来ていたらしい。しかもその子供には、前科者の彼氏がいる。
堂島は考えました。せめて娘だけは守ろうと。
けれども……手切れ金としては破格の5000万を渡したものの、娘は彼氏に殺害されてしまいました。しかも、今わの際に「あんたのせいで」と娘に言われる始末。自分が余計なことをしたせいで、今度は娘まで喪ってしまった。堂島はバーのカレーライスを最後の晩餐にして、自殺しようとしていたのでした。
バーの店名のモチーフでもある「チャップリン」になぞらえて、己の身の上を語る堂島。チャップリンの代表作「街の灯」のラストシーンはハッピーエンドかバッドエンドか……解釈は分かれるところ。
そして、己の人生は悲劇だと感じた堂島は、自ら幕を引こうとしていた。
……ここまでであれば、確かに救いようのないバッドエンドだったことでしょう。しかし、特命係がたどり着いた真相は、思いもよらぬものでした。
なんと殺された娘・由紀は、堂島の娘ではなかったのです。かつて惚れた女から「ある人物」に出された手紙。それを盗品の1つとして盗んでいった強盗殺人犯・菊池。その手紙を読んだ菊池と交際相手だった由紀はこれを利用して堂島に接触し、大金をせしめようとしていた。由紀は娘でもなんでもない、ただの金目当ての性悪女。「あんたのせい」と罵られたのも、菊池とその取り分で揉めた結果死ぬことによる八つ当たりでしかなかったのです。
では、その「ある人物」は誰だったのか? その答えは、意外なところに転がっていました。
空き巣に入られた家は、カレーライスが出来上がるのを待っている、このバーの店主の家。そう、この店主こそが、堂島の実の子供だったのです。
幕を引こうとすれば、いつでもバッドエンドのまま終わる事が出来た堂島の人生。ですが、特命係の活躍によって幕を引き切れなかった彼は、思いもよらぬハッピーエンドを手にしたのです。
この後、一課が堂島に、事件の聴取に来る事でしょう。由紀の遺体を目撃していながら通報しなかった事くらいは、ちょっとしたお叱りを受けるかも知れません。でも彼は、誰も殺していなかった。殺そうとした己も、特命係の手によって未遂に終わったのです。
事件が解決し、今日はカレーライスが食べたい……そんな2人の元に、美和子から料理が出来たと連絡が。
そうはならんやろ。
美和子の料理、サルウィン渡航を経たことで更に進化していました。悪い方向に。
というわけで、残酷な結末を迎えた1~3話と打って変わって、久しぶりのハッピーエンドとなる4話でした。
話の内容としてもどんでん返しが多く、特に最後の「実の子供の正体」は虚を突かれたかのようで非常に満足。前回の3話を現時点での今シーズン・もっとも相棒「らしい」話とするなら、今回はシンプルに現時点で今シーズンもっとも好きな話に堂々とランクインしました。
ビターな最後も美味しいとはいえ、やっぱり視聴者はハッピーエンドを求めてしまうものなのよ。3話続けて辛い話を見せ続けられた後は特に。
最後に
唐突にアイリスアウト(画面の中心方向へ円形に暗転するこの技法)使って来るじゃん……。
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