諧謔日記その54:ドラゴンボールZange
オモコロチャンネルでドラゴンボールクイズやってた。
「なるくん好きなYouTuberとかいるんだ」とか言われることありますけどぜんぜんいます。オモコロチャンネルなんてチャンネル開設当初から見てます。コロナ禍以降めちゃくちゃ永田智の影響受けてます。
が今回はべつにオモコロチャンネルの話がしたいわけではなくて、ドラゴンボールの話です。色々思い出すことがあったのでテキトウに書いていこうかと。
みなさんドラゴンボールってどうですか?好き嫌いはさておき、いつ通りましたか?通ってなくてもいいですよ。
ぼくはたぶんリアタイでアニメとか見てた世代よりはちょ~っとだけ下かと思われます。(ぼくは平成元年度の生まれです。小2でポケモンのアニメが始まったのはよく覚えてます。)たぶんぼくが小学校に入る前くらいにミスターサタンがいちばんカッコイイ回が放送されてたくらいだったと思います。ドラゴンボールZの前後でセーラームーンとかスラムダンクとかがやってたんじゃないかなぁ、どうだろう違うかも。姉や幼馴染たちはよく放送を見てたと思うんですけど、ぼくはとびきりのゲームっ子でカービィとかヨッシーとかが好きだったので、人型のキャラが活躍するアニメに興味がなかったんだと思います。(だからポケモンは好きだった。)
そんなわけで、ドラゴンボールはリアルタイムでは全く通ってなかったのですが、中学2年生になるころに「ドラゴンボール完全版」の出版が始まったのを機に学校でめちゃくちゃ流行るんですよ。ぼくは中学生の頃はまだ「みんなと違うオレかっけ~」みたいなかんじのない素直で毒気のない少年だったので、そのブームに乗る形で完全版を読むようになったんです。全巻揃えるのに姉もお金を恵んでくれたんじゃなかったかな。それはもう夢中で読みました。姉もちゃんとめっちゃハマって映画版は全部いっしょに見たとおもう。
中学3年生のとき同じクラスだったバレー部の「ナッパ」と帰宅部の「神様」(どっちもあだ名です)がとびきりマニアックなドラゴンボールファンで、漫画の登場人物の名前も必殺技の名前も、登場人物のセリフもポーズもなんでもかんでも、よ~く知ってるようなやつだった。(そういえばふたりとも勉強も運動もめっちゃできる優等生だったなぁ。)そんなやつらの「導き」のもとドラゴンボールを読めたぼくはしあわせものだったのかもしれない。「戦闘力5のゴミ」のくだりが2回出てくることとか、魔人ブウに懐いた犬の名前なんかを、ぼくはふつうに知っている。
ぼくにとってのドラゴンボールは、そのころの思い出が詰まった作品になった。今回オモコロチャンネルの動画を見て、あのころ仲が良かった同級生たちの顔や声をかんたんに思い出すことができた。
それだけで終わればよかったんだが、ドラゴンボールに纏わる話はもうちっとだけ続くんじゃ。
高校生になってドラゴンボール完全版の全巻を部室に持ち込んだ。同期や先輩はもちろん、先輩の友達までも読みに来る人気ぶりだった。高校3年生になったタイミングで真面目な同期から「部室に部活と関係ない漫画置かないでください邪魔だし」みたいなことを言われたので、とりあえずジブンの所属するクラスの教室のロッカーに全巻を移した。当然、クラスのみんなに読まれることになる。しかしクラスのみんなはそれがどこから来たものなのか、誰のものなのかを知らなかった。なぜなら。
高校生になったぼくは、部員を除いたそれ以外の生徒たちと関わることを意図的に避けるような歪んだ奴になっていた。ハブられたりいじめられたりしていたのではなく、自ら進んでひとりきりでいようとした。孤独ではなく孤高だったのだ。「オレはお前らとはちげぇ」のである。クラスのみんなも、ぼくが「そういう奴」だということをよくわかってくれていた。だからまさか、教室にドラゴンボール全巻を持ち込むような奴だとは誰も思っていないのである。そしてぼくは、誰のものかも知らずにそれを読むクラスのみんなのことを面白がって見ていたのだ。
卒業するころになって担任が「教室に置いてある荷物もそろそろ持って帰れよ!ドラゴンボールも一気に持って帰るの大変だろ!」と言ったところで教室がざわついた。「あれ結局誰のなの?」「えっサイトウじゃないの?」「サイトウでしょ」と。サイトウは一瞬戸惑っていたように見えた。が、ぼくのドラゴンボール完全版はサイトウが持って帰った。ぼくはそれを黙って見ていた。
ぼくはサイトウを恨んではいない。クラスのみんなの前で「おれのだよ」と言うチャンスもあったし、サイトウに個人的に「それホントはおれのなんだ」と言うチャンスもあったのに、ただ傍観してほくそ笑んでいた、つまるところひとをばかにしていたジブンが悪いと当時から思えていたから。でも冷静に考えて「おれじゃない」って言わなかったサイトウも悪くない?どうですか?どうでもいいかも。
ともあれ、あんなに夢中になって集めて読んだドラゴンボール完全版は、いとも簡単に、なんの手応えもないままに、ふっと消えてしまったのだった。あれはいまどこにあるのだろう。サイトウがたいせつに持っているとは考えづらい。サイトウはあのときどう思っていたのだろう。ラッキーと思ったのだろうか、迷惑だったのだろうか。
屹度ぼくはそんなふうに青さに甘えて色んなものを知らずに手放してしまっていたのだろうなと思う。ほんとうに薄くて脆い、かなしい高校生だったのだと思う。
そんなことを思い出しました。
いやー、いつ振り返っても過去のジブンって恥ずかしいしださい!10代20代のころと比べりゃいまは天国だなぁって振り返るたび思います。ジブンを取り巻く環境も、ジブン自身も、何もかもがきちんと良くなっているよ。
今回はここまで。