諧謔日記その59:偉そうにしとる奴、全員偽物
環境音楽作家の白石なるです。
演劇などの現場に作編曲で関わることがあります。劇中歌を作ったり、BGMを作ったり。あたりまえですが舞台は多くの人が関わってみんなで作るものなので、先頭に立つ人間がいます。こいつが「もう全部おまえひとりでやればいいじゃん」と言いたくなるような現場が、けっこうしばしばややまれによくあります。「俺様が作るものに関わらせてやってる」みたいな態度のひと、ほんとに珍しくないんですよ。それでも作るものが面白ければ、そしてトップのそういう人間性をわかった上でそれでも関わりたいとおもって人が集まってできた現場ならそれで何も問題も文句もないのですが、なかなかそうもいかないことはあるもんで。
ぼくが昔ある演劇の舞台のトップに呼ばれて関わった現場で、依頼を受けて作った曲を提出したら「一発OKはありえないからね」と言われたことがありました。わかりますかこれ、威嚇以外のなんでもないですよ。言われて得するひとひとりもいません。実際ぼくはその現場で「ぐぬぬ、悔しい!ぜってぇ1発OKされる曲作ってやる~!」とは一切なりませんでした。リテイクになるのが確定しているなら設計図ぐらいの出来のもんをチャチャッと作って出して、指示に沿った直しをするほうがずっと効率いいじゃん。で、こうなるとなんかもうジブンじゃなきゃできない仕事だとはとてもおもえない。抑々呼んできたひとに対して行うべきコミュニケーションじゃないじゃん。ぼくが作る音楽が必要だから呼んだんじゃなくて、手近なとこに作曲家がいたから呼んだだけなんですよ。若い音楽家に曲を作るチャンスを与えてくださったんです!ありがてぇ~~~!てかアホ
長く準備してきた三拍子の100回目の単独公演が無事おわりました。ほんとうに、三拍子おふたりに制作スタッフ舞台スタッフにバンドメンバーなどなど、みんなからみんなへの愛とリスペクトがあふれる素敵な現場で、心から楽しく、関われたことを誇りにおもえるような舞台でした。一生忘れない、良さの基準になる一日になったとおもいます。
今回ぼくはバンドメンバーとしてだけじゃなくて編曲家として制作にも大きく関わりました。舞台の音楽面でけっこう色を出す活躍ができたとおもうので、実際にどんなことをしたのかを紹介する記事を執筆中です。
ぼくは編曲家の地位をもうちょっと高めたいとおもっています。それはぼく自身が有名になりたいとかいうことよりも、編曲家を志すひとが増えてほしいという願いが強いつもりです。ひとのために音楽を作ること、ひとといっしょに音楽を作ること、いろんな専門家のなかに音楽家として混ざっていっしょにものづくりすることはは楽しいぞということを伝えていきたい。ぜひお読みいただけたらとおもいます。
以上、予告でした。今回はここまで。
報われなかった昔のジブンがいるから、いまここにいるんでしょうね。