諧謔日記その57:2024年8月11日のきろく

惑星アブノーマルのワンマンライブがおわったよ〜!
初見のひとのためにチョー簡単に説明しておくと、惑星アブノーマルはアレックス・たねこのソロユニットのことだ。普段はアレックス・たねこ(めんどくさいので以下たねこと略記します)がひとりで舞台に立ってガチガチのバンドサウンドやバキバキの打ち込みサウンドが調和した賑やかでカラフルでキュートな曲を歌ったりお客様とおしゃべりしたりしているのだが、おととしの年末から交流が生まれて彼女の歌とぼくのピアノ(と編曲)というミニマルでクラシカルな編成で演奏する機会がたまに訪れるようになった。(このあたりのことや去年の年末に開催されたワンマンライブに向けてがんばったあれこれの話は諧謔日記その45をみてね!)

今回はセトリに沿って解説なり反省なりをするスタイルで語っていきますね ~~~ ^^) _旦~~

1.女の子は誰でも(カバー)
ぼくもたねこも隠しきれないくらい椎名林檎の影響をめちゃくちゃに受けています。我々が音楽的に仲良くできたのは椎名林檎のおかげです。というわけで、スタジオなどでとりあえず音を出すという場面でなんとなく椎名林檎や東京事変の曲を弾いてセッションがはじまる、ということがよくあります。(インスタライブに無理矢理付き合わされたときとかも林檎の曲をやったね。)
今回のライブでちゃんと何か1曲カバーしても面白いんじゃないかな~とおもってぼくが提案したのが東京事変のこの曲でした。編成的にやりやすそうだったし、内容もたねこによく似合うとおもったのでね。すぐに「やろう!」と返事が返ってきたので、ぼくもすぐに譜面を書いて練習しました。
まさかセットリストのド頭に持って来られるとはおもってなかったけど、声出しとしても指慣らしとしても丁度良かったかも。ぼくたちにとっては本当にスタンダードと言えるくらい馴染みの曲だったし、なんならジブンらの曲を演奏するよりも気楽だったかもね。

2.人生はロマンティック
前回のワンマンライブではこいつが1曲目でしたね。回数を重ねて曲の理解が深まったのか、だんだんとより自由に演奏できるようになってきたのを感じました。原曲のズンドコズンドコした陽気でポジティブなアレンジも好きですが、この夕暮れの帰り道みたいなやさしい雰囲気のジブンのアレンジも気に入ってます。

3.ムテキの恋人
今回初披露のアレンジでした。
原曲はもう10年ちかく前に発表されたんですね。なんというか、すごく切実で苦しくて、なのにすごく元気なアレンジがこわくて、すげぇな~というのが初めて聴いたときの感想でした。
前回のワンマンライブで演奏した『祈り』と同じように、伴奏は和音を出す程度にして、リハーモナイズドも最小限にして、とにかくメロディと歌詞に注目してもらえるようなアレンジにしました。正直「アレンジを書いた」と言えるほどのアレンジにはなってないとおもいますが、曲を正しく鳴らす方法としては適当適切で、正解のひとつだったのではないでしょうか。
テンポもバウンスの深さも歌うたねこの気分次第!ピアノで補強するリズムもたねこの気分に寄せる形になるので、ちょっとセッションっぽいかんじになりましたね。またやる機会があったら、もうちょい歌に絡んでいくピアノを即興で付けてみてもいいのかもなぁとかおもいました。

4.美術II
こちらも初演の書き下ろしアレンジでした。スタジオで打ち合わせする予定の数日前にたねこから「この曲やりたいんだけど」と連絡が来たので仕事目線でめっちゃ迷惑~とおもいつつも、実はぼくはこの曲がかなり好きだったので内心「よっしゃきた~~~!!!!やらいでか!」と張り切ったものでした。
原曲がかなり印象的なんですよね。トゥンバオっぽいピアノが楽しそうだったり、変拍子のパートが差し込まれたりして、おもちゃ箱ひっくり返したみたいなアレンジでさぁ。タイトルも魅力的で想像力を刺激させられました。
アレンジは原曲のトゥンバオ風のピアノをヒントにして、キューバっぽさを濃く出していく方向で作っていくことにしました。コードもよりラテンっぽさが出るようにけっこう付け直しました。テンポも原曲からはぐっと落としてダンソン(チャチャチャの原型になったリズムです)っぽくしてみました。中間の変拍子パートはテイクファイブみたいなスウィングにしておしゃれにしてみたよ。
これは初合わせでたねこが「ちょっとあんたこれすごいわよ!泣きそうよ!」とか言って喜んでくれて手応えがすごかったです。我ながらよくやったぜとおもう。いいアレンジになったのでまたやりたい。

5.無双
前回はたねこがシンセを弾いてくれたんですが、今回はなんらかの事情があって(ほんとによく知らん)弾かないということでした。したがってシンセを使う曲は今回はやらないつもりだったのですが、スタジオに入ったときに「べつにシンセ弾いてたとこ歌っちゃえばよくね?」っつってやってみたら面白かった(手カズーとか言って間抜けな音を出しやがる)ので採用となった曲です。
前回ととくにアレンジは変えていませんが、これも慣れてきたのか余裕で楽しく伴奏できるようになってきたので、ちょっと手数を増やしてストライドみたいに弾いちゃうとか、ちょっと攻めたボイシングで弾いちゃうとか、それくらいのことはしています。それでも全然たねこの歌は埋もれたりしないので、もっともっとぶつかっていくくらいのほうが面白くなるのかもしれないなぁ~。

6.ぬすっと
こちらも前回たねこシンセだったためセトリから除外されていた曲でしたが、たねこの思い付きで連弾でやってみたら面白くできたので採用となったナンバーです。やっぱり音色がピアノで統一されるほうがサウンドはまとまるもんなんだよなぁということがわかってしまいました。たねこは「なるくんが弾いてるとこ見えたほうがあたしも弾きやすい」とか言ってました。なるほどそういう面もあるのか。
この曲は原曲のバンドサウンドの勢いがデュオでもちゃんと出せてていいアレンジだとおもいます。テンポや拍子が変わるのもふたりなら簡単に呼吸を合わせられるし、ライブらしい表現がしやすくて気持ちが乗せやすいですね。間奏のピアノソロもわかりやすく見せ場にできてるとおもいます。アコースティックデュオ編成惑星アブノーマルの定番曲になっていくような気がしてます。そんなにふたりで演奏する機会がこの先もあるかはわからないですけど。

7.臆病者ラプソディー
この曲も理解が深まるにつれ自由にできるようになってきてますね~。前回ワンマン決まったタイミングで一生懸命コード書いたけど、もはや楽譜見ずに気分で伴奏したほうが面白いとおもえているくらい。
けど今回はタイムスケジュールを気にしちゃってちょっと展開を急いじゃったのは反省だったかなぁ~。前回はアウトロで2分くらいひとりでピアノ弾いてたとおもうんだけど、今回は30秒とかそこらだったような体感。結果論だけど、おもってたよりはライブの時間が長くならなかったので、こういうとこでもっとジブンを出すべきだったなぁなんておもいました。まぁ時間気にしながら演奏するのは社会人として正しい行いなのですが。

8.BE P!NK
ここからは同期ゾーン。ぼくがアレンジを書いてピアノの伴奏をする特別編成の惑星アブノーマルではなく、バキバキにポップないつもの惑星アブノーマルにぼくが混ざる形です。ここでの役割は前回ワンマンから何も変わってないので、どういうことをやってるかみたいな話は前回のセルフライブレポをご参照ください。まぁ、やるべきことはいっしょでもやっぱりボイシングなんかはやるたびに実験してます。好きな曲でそういう遊びができるのはありがてぇ!楽しい!

9.怠惰
ほんまええ曲や。ピアノ何回弾いても「昔夢中になってたかんじ」が思い出せて幸せな気分になるよ。

10.二つの約束(仮)
前回ワンマンで初披露となったごく最近のナンバー。同期曲っていうくくりの曲だけど明らかにアレンジが異質で打ち込みっぽさが強いので独特のスピード感があって面白いですよね。快適な高速道路のような。そこに人間味あるピアノが混ざる面白さもある。

11.愛してやまない
前回ワンマンが決まって最初にアレンジを書いたという意味でぼくにとっても思い出深い曲です。いま見直してもやっぱりすごく気合い入ってたのがわかる。コードでドラマを作るいいアレンジが書けてるとおもいます。

en.ひとりになれない(たねこソロ)
前回ワンマンではゲストにSHACALANDAのコンポーザー兼ギタリストのSECOを迎えて3人で演奏したナンバー。今回はたねこソロでお送りしました。ぼくは客席後方でお客様と混じって鑑賞しておりましたが、やっぱり舞台に立つたねこって大きく見えるよな〜とおもった。見るたびにおもってますけど。そんなやつが手を出せば届くくらいの距離のところで歌っているの、すごいとおもう。

以上です。ご清聴ありがとうございました。
今回もまたお客様方(お馴染みの方も、初めていらっしゃったという方も!)から直接ご好評のお言葉をたくさんいただけて良かったです。やはりね、普段個人的にやっている作編曲の仕事ってなかなか感想が届いてこないものですからね。きちんと届くものが作れてるという実感がこんなに得られることは珍しいです。受け取ってくれて、伝えてくれて本当にありがとうございます。そしていっしょに演奏させてくれるたねこも、本当にありがとう。またね〜!

せっかくワンマンライブなんて大きな舞台が終わったのに休む暇なく次の仕事の準備をこつこつ進めています。次は再来週に渋谷のJZ Bratっつう老舗ジャズクラブでシンガーのKerryさんのバックでピアノを弾くぞ!さらにその後もリーダーバンドで遠征があったり、大きな舞台での劇伴の自作自演があったり、恩師のアドリブ教室の発表会で伴奏を弾いたり、友人の試験の伴奏があったり(?)、高校の先輩の双子の弟のバンド(?)での賛助出演があったり、古巣ビッグバンドでの賛助出演があったり、大きな舞台での歌伴の自作自演があったり、恩師のカルテットでピアノを弾いたり、とかいう具合で今年度いっぱい予定がありすごい。(ちなみに今回のライブの前にもシセサトリオのワンマンライブがあったりオワリズム弁慶のライブに向けた大規模な仕込みがあったりナルトリオのワンマンライブがあったりした。)弾くだけなら気楽なんだが、編曲や監督業が絡んでくると考え事が絶えないのでたいへんでございます。それだけやりがいがあるし、何よりぼくは退屈すると鬱傾向になるので、総合的にありがてぇ!売れっ子になったきもちで駆け抜けるぞ!


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