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クレイヴンザハンターを語りたい人

クレイヴンザハンターを見たので感想など。

はじめに


福祉系のことを書いているnoteなのに突然映画のことを語りだす。
この映画について、少し吐き出したい事もあったので。

先日、「どうすればよかったか?」を見ようと映画館に行った。

が、客席がパンパンでチケットが取れず、どうすればよいのか迷いながら12月13日に公開されたばかりのクレイヴンザハンターを見ることした。


私自身、マーベル系のスーパーヒーロー映画は、『やってたらひとまず観る』程度のファンである。

さて、感想であるが、
私はかなりこの作品を好意的にとらえた。
地に足の着いた、好きなタイプのヒーロー映画だった。

が、この映画、クソ酷評されているらしい。
さすがに嘘だと思い、YouTubeのマーベル映画を取り扱うチャンネルを観に行ったが、軒並み低評価だった。

しかして、その感想は、『映画』として作品を楽しむ気概に欠く感想ばかりだった。
『キャラクターの掘り下げが少ない』
『敵が小さい』
『CGがよくない』
など、これは映画に対する感想ではない。
基本的に彼らは映画を観ているわけではなく、情報を観ているのだ。


ラーメンハゲの言うとおりだ。
彼らが求めているのは、「面白い」という記号だ。
『目新しさ』『わかりやすさ』『強いヒーローたちの熱いバトル』

それがこの映画には少なかった、もしくは「面白いと言ってはいけない記号」の方が多かったのだろう。

さて、
 私は特にこの映画のエンディングが気に入った。主人公たちを対比させ、ポスターのかっこいい主人公を多面的に映し出す。美しいエンディングだった。
 一通りネットを観たが、この気合の入ったエンディングについて語っている記事がなかったので、それを語りたい。語らせてくれ。
 ただ、それ以外を語るのはめんどいので、基本的には観た人用の記事なる。
 ネタバレオンリーだ。
 誰か読んでやってくれ。

 悪行を許さない主人公は、マフィアのボスを倒し、別のマフィアのボスである父親を殺し、すべてを片付けて弟と会う。
 ひ弱で、弱気な弟。ずっと守ってきた弟といつも通り酒を酌み交わすのだが、話しているうちに、彼は憎き父親のマフィア家業を、その悪行を引き継いでいることがわかる。

 ずっと作品では弟に対する通底する違和感があった。
 主人公は自分を厳しい父親のもとに置いて実家から出ている。その憎しみある描写があるのだが、それでもそんな主人公と良好な関係を続ける。
 「弱虫」である自分を嫌っている父親。その父親とも良好な関係を築き、バーまで任されている。
 弟は父親と敵対するマフィアに連れ去られるのだが、そこでもうまくやっている。
 ずっと、この弟はどことなく不穏だ。いつ主人公を裏切るのだろう。いつ悪事に手を染めるのだろう。と予測していながら見ていたが、その不穏は最後に爆発する。

 この弟は他人の顔になれる能力を改造手術的なもので手に入れた事が最後のシーンで明らかになる。

 ところでこの作品では、腕力的な力を手に入れることが、主人公たちの目標になっている。力を手に入れたら、その力で相手を倒し、それにより自分の力を誇示する。
 主人公は事故で超人的パワーを身に着ける。
 敵のライノというキャラは改造手術を受け怪力を手に入れる。
 ひるがえって弟は違う。腕力的なパワーではなく、人をだます方向性の力を選んだ。
 もともと他人に取り入って生き残ってきた弟である。前述のように、父親や兄に取り入って自分の地位を確立してきた。彼は自分自身のそうした、いうなればカメレオン的な性質に見合った超能力を選択的に手に入れたのだ。

 映画の場面の話に戻るが、主人公がその辺のマフィアをつぶしてしまったので、マフィアのボスになった弟にライバルはいない。比類なき悪党になった弟。
 止めようとするが、「どうせ兄に自分を殺すことは出来ない」とたかをくくっている弟。実際に殺せない主人公。
 「父親が主人公に残したものがある。実家に帰ってみろ」と言い弟は都会的な雑踏のなかに消えていく。

 主人公は言われるがまま実家に帰る。
 そこは父親がその力を誇示するためにおいておいたライオンの剥製(主人公のオリジン)や調度品がなくなり、さみしい家になっている。
 そこに箱があり、なかから毛皮の服と手紙が入っている。どこか力なく、ふらふらとその毛皮を着て、迷うように鏡の前の椅子に腰掛ける主人公。
 悩みながらも父親が自分のためにあつえた服を着る。自分は嫌っていた父親と同じ生き方を選ぶことになるのか。ポジティブだった主人公は一言も発せず、その眼差しは鏡の中の自分を見ているのか、見ていないのか曖昧である。
 そうして、ポスターと同じポーズが鏡に映り物語が終わる。


 ポスターでは力強さの象徴に感じられたたシーンだが、映画では迷って悩んでいるようにも見える。
 田舎的で伝統的な何も無い実家で迷いながら椅子に座る主人公。
 都会の中に自信満々に消えて言った弟とは対比的に描写される。

 ここから物語が始まることが期待されるエンディングだった。

ここまで書いて何だが、『みんな見よう!超おすすめ』という映画ではない。TSUTAYAで「新作5本借りたら1000円だけど、あと一本見つからない」ときに借りる映画だろう。準新作になるまで待ってもいい。

・・・・・いまTSUTAYAっていく人いるの?


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