[勝手推敲]令和3年8月9日 滴一滴
原文
今年は文筆家内田百けんの没後50年。「文芸の道」と題した記念展が出身地岡山市にある吉備路文学館で開かれている。49作もの著作が並ぶ姿は壮観だが、同時開催の展示にも注目したい。内田百けん文学賞の30周年記念展である▼「僕は、岡山が大切で大切でしょうがない」と百けんは言った。賞は故郷をこよなく愛した百けんにちなみ岡山県と県郷土文化財団が岡山ゆかりの随筆・短編小説を対象に1990年に創設した▼2年に1度の公募で、審査員は故阿川弘之さんや小川洋子さんら。昨年の15回までの最優秀賞、優秀賞はブラジル在住者の作品も含め61作になる。1作ごとの内容と作品に登場した地域や事物を地図や写真で紹介した展示が、この文学賞の特徴をよく表している▼岡山市を流れる祇園用水、笠岡諸島の真鍋島、戦時中に作られた備前焼の手りゅう弾…。登場する風物は多彩。戦時中に岡山県内に疎開していた永井荷風、谷崎潤一郎の文豪2人が再会した事実から想を得た創作もあった▼県外の応募者が取材し表現した岡山の姿も興味深い。第2回から審査員を務める小川さんは「岡山にはなんと魅力的な物語の舞台が数々あることか」と言う▼作品からは土地にまつわる懐かしい記憶や、今では忘れられつつあるふるさとの歴史もよみがえる。さて、次回はどんな岡山に出合えるか。(2021年8月9日付 山陽新聞 滴一滴)
推敲後
文筆家・内田百けんの没後から今年で50年。「文芸の道」と題した記念展が出身地の岡山市にある吉備路文学館で開かれている。49作もの著作が並ぶ姿は壮観だが、同時開催の<内田百けん文学賞の30周年記念展>にも注目したい▼「僕は、岡山が大切で大切でしょうがない」と百けんは言った。故郷をこよなく愛した百けんにちなみ、岡山県と県郷土文化財団が岡山ゆかりの随筆・短編小説を対象として1990年に同賞を創設した▼2年に1度の公募で故阿川弘之さんや小川洋子さんらが審査員に。昨年までの15回で最優秀賞や優秀賞はブラジル在住者の作品も含め61作を数える。1作ごとに内容と作中に登場した地域や事物を地図や写真で紹介した展示を見ると、この文学賞の特徴をよく表していると納得する▼岡山市を流れる祇園用水や笠岡諸島の真鍋島、戦時中に作られた備前焼の手りゅう弾など登場する風物は多彩だ。戦時中に岡山県内に疎開していた永井荷風と谷崎潤一郎の文豪2人が再会した事実から想を得た創作もあった▼県外の応募者が取材し表現した岡山の姿も興味深い。「岡山にはなんと魅力的な物語の舞台が数々あることか」と第2回から審査員を務める小川さんは言う▼土地にまつわる懐かしい記憶や、今では忘れられつつある郷里の歴史も作品からよみがえる。さて、どんな岡山に次回は出合えるか。
後記
2年に1度の公募で、審査員は故阿川弘之さんや小川洋子さんら。
故人と現役の2人が並列しているので悩むところですが原文のママが適切なのかな。
戦時中に岡山県内に疎開していた永井荷風、谷崎潤一郎の文豪2人が...
「戦時中に岡山県内に」と「に」が続くのが気になり「戦時中、岡山県内に」とするか悩みましたがこのままに。
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今年は文筆家内田百けんの没後5…:山陽新聞デジタル|さんデジ
https://www.sanyonews.jp/article/1161649/
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