【映画感想34】ヴィクトリア女王 最後の秘密/スティーヴン・フリアーズ(2017)
原題はVictoria & Abdul。
ヴィクトリア朝が舞台の映画を連続でみてきたので、やはり次は女王でしょう!というわけでみてみました。
ヴィクトリア朝の年号がよくわからなくなってきたのでまずおさらい。
★予習
【ヴィクトリア朝】
・ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間
・18世紀〜19世紀、産業革命による経済の発展が成熟に達したイギリス帝国の絶頂期
【ヴィクトリア女王】
・18歳で即位、在位は63年7か月
・20歳で従兄のアルバートと恋愛結婚
・白いウェディングドレスを着たことから、以降は結婚式のドレスは白がメジャーになる
・夫アルバートは重臣や国民から「外国人」と疎まれ、孤独で居場所がなかった
・それまでイギリス王族は放蕩三昧と悪評だったが、夫婦で政治にとりくみ仲睦まじい姿は国民に人気になる
・42歳でアルバートが急死、喪服だけを着用
・81歳で「私はまだ死にたくない。まだまだ差配しなければならないことがある」と言い残して亡くなった
★感想
「フランス人と違ってイギリスは植民地の現地人は能力に応じて出世させたりしたが、イギリスに連れてくることはけしてしなかった(=自分たちのテリトリーには入れようとしなかった)」
というのをきいたことがあるので、ヴィクトリア女王に仕えたインド人の従者がいたことに愕きました。そういえば130年ちょっと前まではインドはイギリス領だったのか…。
従者カリムと女王の心の交流がテーマじゃないかと思うのでですが、映画を通して観客に投げられる「問い」がない、というより薄い感じがしました。
お互いの存在がどう影響を与えあったのかの描写が少なくて「なんかいい話っぽい」くらいのふわっとした感じ。
女王のさびしさはどんなさびしさなのか?
それまでにどんな経緯があったか?
カリムはどうして女王に忠誠を誓っていくようになったのか?
とか、そのあたりをもっと見たかったです。
女王の心の穴って、単に映画内で表現されたような「慣習に縛られた側近たちだらけで息苦しい」だけじゃなくて在位50年間の蓄積だと思うんだけど、いっそフィクションでも監督はどう考察してるかが知りたかったかも。
でも、オフィシャルな記録が残ってないらしいので、勝手な考察はいれたくないというスタンスならこうなるかな?とも思う。むずかしい。
(それにしては女王がちょっと耄碌しすぎな気がするけど)
死出の旅を表すのに使っていた『とこしえのうたげ』という言葉の響きがきれいよかったです。
★参考
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ヴィクトリア朝
https://ozio.jp/community/heroine/65.html
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ヴィクトリア女王_最期の秘密