【映画感想110】ゾルタン★星人/ダニー・レイナー(2000)
★あらすじ
酔い潰れて起きたら部屋はめちゃくちゃで車もない!!!
失われた記憶を辿るため町に出るが、なぜか宇宙人やニューハーフに追いかけられるハメになり…
★感想
いい意味でアホしか出てこない映画。
疲れてる時って、主人公に感情移入して心がしんどくなるから本や映画がみれない…なんてことがありますが、この映画に関しては全くその心配がない。アホしかいないから。
「イエス・マン」のように、主人公がポジティブになることで全てが好転していくサクセスストーリーでも、中盤でなにかに失敗したり落ち込むシーンがあるものですが、
この映画は彼女に振られた直後のシーンでも
「あれ…?なにかを…感じる…」
「これが…愛…?」
「よし!!プレゼント渡してよりもどすぞ!!」
となるのでもう落ち込むとか傷つくとかが全くない。主人公ふたりともこんな感じなので止める人も突っ込む人もいない。笑
元祖ハングオーバーというべき「酒飲んで起きたら全てがめちゃくちゃだった」話なのですが、
ハングオーバーとの違いは主人公が何も考えていない点で、そこそこヤバい状況でも「なんとかなるでしょ〜」とアイス食べちゃったり突然のエロの予感にワクワクしちゃったりとなぜかいつもたのしそう。
他の人物達も妙に能天気で、お金を奪われて激怒してたニューハーフは返すや否や「あったーーー❤️ありがと❤️」と大喜びでキスして去っていく。ありがとうもなにも主人公たちが奪ったわけなんだけど、なくなったお金が無事戻ってきた喜びのほうが大きいのか一発どついたりもなくあっさりしている。
こういうメンタルで生きたら人生楽なのかもしれない。
ところで原題は「DUDE, WHERE'S MY CAR?」(酔いつぶれた後の決まり文句的なセリフらしい)で邦題と全然違うのですが、この映画に関しては邦題の「ゾルタン★星人」の馬鹿馬鹿しさが合ってていいと思います。ジャケ写もゾルタン星人も本編と全然掠ってないんだけど、観た後でイメージちがったな…とはならない不思議。笑
あと時間について、80分程度という短さが絶妙に「サクッとストレスフリーで観れるお馬鹿映画」という最大の長所とマッチしててる気がしました。たぶんこれ以上長いと逆につまらなくなる絶妙なラインだと思う。
例えば駄菓子に蒲焼き太郎ってあるじゃないですか。あれってあのサイズ感だからこそサクッとたべる駄菓子としてちょうどいい良い訳で、巨大化したら「いやこのサイズなら本物の蒲焼きの方を食べたいし…」ってなる気がしませんか。
一回なら食べてはみたいけど胸焼けしそうというか。なんかそんな感じ。
前向きになりたくもなく、励まされたくもなく、かと言って寄り添って慰められるのすらしんどいくらい落ち込んでるときに手に取るのにちょうどいい一作なのかもしれません。
さあみんなで!!ゾル★タン!!!
(ゾルタンのポーズ)
※余談
調べたら監督がギタリストでした。
ブルックリンのガレージ・バンド“ザ・フライング・ガガモレス”で活動していたようです。
lead guitarist in the seminal Brooklyn garage band, The Flying Guacamoles.
(https://m.imdb.com/name/nm0500444/)
じゃあ映画に使われてる音楽で監督がギター弾いてたりして…!とサントラ見たけど名前はなく。
https://www.discogs.com/ja/release/9540320-Various-Dude-Wheres-My-Car-Motion-Picture-Soundtrack
さらにThe Flying Guacamoles Danny Leineで検索したけどヒットしませんでした。
動画とかネットに上げない派のバンドだったのでしょうか。残念。
ライブのMCでくだらないことたくさん言ってたんかな〜とちょっと思いを馳せたのでした。