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映画『シャイニング』を観た。

世間はゴールデンウィーク。東京から2番目の姉が2歳の甥っ子を連れて帰ってきてたこともあり、家族でバーベキューしたり、わんぱくな甥っ子の相手をしたりと、今年のゴールデンウィークは家族と過ごすのがメインだったかな〜。

子供ってやっぱり可愛いよね。私もいつかほしい、ってあらためて思った。

そしてもうひとつ。

世の中の育児中のママパパ、あなた達ホントすごい、偉い!

子供の相手って少しも気が抜けなくて、想像以上に神経使うってこともあらためて実感したよね、うん。

前置きが長くなってしまったけど、Amazon videoでスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』を視聴したので感想を。
インパクト抜群のパッケージは何度となく見たことあるんだけど、実はちゃんと観るの初めてで。
あらすじを読んだとき、「あ、これ小さいころ父とテレビで(たしかBS?)で見たやつだ〜♪」と思った。原作はスティーブン・キングだったよね!
懐かしい気持ちもあって、いざ視聴!

生活費を稼ぐため、雪で閉ざされてしまう山奥の高級ホテルの管理人として、冬の期間中住み込みで働くことになった作家志望のジャック・トランス。そしてその家族である妻のウェンディと息子のダニー。

冒頭、ホテルのオーナーがジャックとの面接のなかで、外界から隔離された孤独な空間に閉じ込められることを心配してくれるシーンがある。さらに「かつての管理人であるグレーディーは、孤独感から精神に異常をきたし、妻と二人の娘を斧で殺害し猟銃で自殺した。」ということも親切に教えてくれる。ジャックは孤独は平気だし物書きするためにむしろ静かな環境を望んでいると答え、オーナーは安心し彼を採用することを決める.....。いやいや、この時点ですぐに正気を失いそうなかんじ出てるじゃーん!始まって数分だけど、序盤から名優ジャック・ニコルソンの持つ、やばい奴オーラがチラチラ出ちゃう。私が面接官なら絶対採用しない!父と見た記憶でうっすら覚えてるんだよね〜、この後彼がホテルの持つ邪悪な力でどんどん狂人と化していくことを。

狂気に堕ちていく父親

そこから話は飛んで1ヶ月後。ホテルでは3人だけの暮らしが続いている。ダニーはホテルの中を三輪車でぐるぐる遊び回り、ジャックは熱心に仕事を、と言っても全然進んでなくて。タイプライターは真っ白。壁にボールをひたすらに打ち付けていた。ウェンディはジャックに気遣いながらも、時より気分転換に話しかけたりしていた。

執筆が進まない焦りとホテルの管理人としての仕事の責任で少しずつイライラが蓄積していくジャック。ウェンディにも仕事が進まないのはお前が邪魔をするからだ!と怒鳴りつけてしまう。それくらいジャックの精神は脆いのだった。
人のせいにすんなーっ!ってなるところだけど、ウェンディもウェンディで夫の顔色ばかり伺う幸の薄い女性なんだよね。DV家庭感が否めない。まあ徐々に狂っていく夫に気後れする気持ちは分からなくもないけど。

うーん、昔見た記憶では、幽霊に啖呵切る威勢のいいイメージだったような〜?気のせいかなぁ...

ジャックはウェンディとダニーを斧で殺す夢を見る。悪夢に怯える声にウェンディも駆けつけるが、そこへ首に傷を負ったダニーも呆然とした状態で現れる。数年前、ジャックは酒に酔った勢いでダニーに怪我を負わせたことがあったので、ウェンディはジャックのせいだと決めつけ、ダニーを連れて部屋から出て行ってしまう。ひとり落ち込むジャックの元へ過去に惨劇を起こした管理人のグレーディーが現れ、家族を殺すようにそそのかす。ジャックは、とうとう完全に正気を失う。

ジャック・ニコルソンがただただ怖い

ここからは名優、ジャック・ニコルソンの怪演がアクセル全開でひたすら不気味。

ダニーの発言から、自分たち以外の何かがホテルに存在すると知ったウェンディは護身用にバットを抱え、ジャックの仕事部屋へ行く。そこで目にしたのはタイプライターで何度も繰り返し羅列されたAll work and no play makes Jack a dull boy.の文字。

(仕事ばかりで遊ばない、ジャックは今に気が狂う。)

これが紙一面に、何枚も何枚も何枚も、それどころかタイプライターの横の書類数百枚すべてに印字してあるのだ。もうこれが気色悪い!ウェンディはジャックが完全に気が狂ってしまっていることに驚愕し恐怖する。そこに背後からジャックが声をかけ登場。このホラー的演出、予想していたけど怖い!そして不気味な笑顔でにじり寄りながら怒鳴り付けるジャック。怯えながら涙目になりながらも懸命に後ずさりして逃げるウェンディ。このシーン、居心地の悪さがジリジリと伝わってきてウェンディの感じている恐怖がまるで自分のもののように感じるほどだった。ひたすらに怖い。その後、一度は倉庫に閉じ込められるジャックだけど、グレーディーによって脱出し、再びダニーとウェンディを襲いはじめる。今度は斧で!

足を引きずりながら斧を振りかざしダニーとウェンディを探しまわる姿がひたすらに怖い。しかも斧の刃が鋭すぎない?そんなん持って追いかけ回されたら私がダニーだったらオシッコちびってるよ。
『時計じかけのオレンジ』を見たときも思ったけど、"狂気"というものを表現するのがキューブリック監督はお得意で。見ていてあまりの怖さに残りの再生時間を確認したよ。あれ??もう残り20分くらい?たしか、木製のハンマーでウェンディを痛めつけるシーンや、ボイラーが動き始めたりすると思うんだけど.....とか心配してたらダニーのテレパシーによって助けに駆けつけたコックのハロランがあっけなくジャックに殺されてしまう。ハロランさーーーん(泣)
場面は庭の巨大迷路へ。迷路の中を逃げるダニー。あれれ?なんかおかしい。ボイラーは?ダニーのテレパシーによってジャックは正気に戻るんじゃないの??最後は妻と息子を助けるため、ボイラーを自ら爆発させホテルを壊滅させるはずでは??もう一度残りの再生時間を確認。5分切ってるよ....?
機転を利かしたダニーは迷路から抜け出し、ウェンディと合流。ハロランが乗ってきた雪上車で無事ホテルを脱出する。

場面は朝へ。ジャックは庭で凍死していた....って、マヌケかよ。

映画版とテレビドラマ版があった

途中から薄々気付いていたけど、私が昔テレビで見たのはシャイニングでも同じシャイニングではなかったのだ。私が昔、父と見たのはテレビドラマ版。だよね、設定やストーリーが全然違っていたもん。たしか、テレビ版ではホテル自体が意識を持ってて、ホテルの邪悪な力によってジャックは変貌していく。けど映画版は、閉ざされた空間による孤独感と仕事の責任による不安、もともとの心の弱さで精神に異常を来したような印象。ホテルの幽霊が後押ししなくとも遅かれ早かれトチ狂ってそうだったし。
もう一つ設定が全然違うと感じたのは、ダニーの持つシャイニング(かがやき)。未来を予見したり、テレパシーを使える不思議な力で、簡単に言うと超能力のようなもの。テレビ版のラストでは、ダニーからのテレパシーによりジャックは正気を取り戻し、ボイラーの栓を閉め、ダニーにお別れを言って自分もホテルとともに吹っ飛ぶ。父と子の絆が描かれるテレパシーを通したお別れのシーン、子供ながら涙が止まらなかったのを覚えてる。だから、なんというか映画版はタイトルにもなっている『シャイニング』についての扱いが気薄で、ただのホラー映画というか、そこが残念というか.....

あとで調べたら、スティーブン・キングは設定を大きく変更したスタンリー・キューブリック監督を相当こき下ろしてたんだね。ジャック・ニコルソンの演技は最高だけど、ストーリーとしてはテレビ版が好きな私も、ちょっと気持ち分かるかも。映画版もテレビ版もそれぞれ楽しめるから、今度はテレビ版を見直してみるのも楽しいかも。ちなみに2枚組で3時間越えらしい。
#映画 #レビュー #エッセイ #趣味