中村佳穂はシャーマンかもしれない
少し前になるけど、中村佳穂のライブに初めて行ってきた。
うたのげんざいち2021 Zepp難波。
娘が数年前のフェスでたまたま中村佳穂を観て、衝撃を受けて、"ひと耳惚れ"
それから娘は何度か彼女のライブに足を運んでいる。
うたのげんざいち2021Zeppダイバーシティはもちろん行き、帰宅した後、中村佳穂は本当にすごい、あの人は人間じゃないと思う!と興奮していた。
声優が中村佳穂だから!と、娘にごり押しされ、龍とそばかすの姫の映画は、友達と観に行った。歌唱力は素晴らしいかもだけど、感動はできなかった。前知識なく、真っさらな状態で観に行ったけれど、彼女の声や書き下ろした曲とアニメの主人公が私の中では一致しなかった。ストーリーや展開には、いくつもの突っ込みどころがあり、物語に入り込めなかった。(あくまで個人の見解です。すみません。)
その感想を正直に娘に話すと、映画やサブスクやYouTubeじゃきっとわからない、生で聴いたら本当にすごいんだよと言われた。
娘は大学時代から、いろんなアーティストのライブに足を運んでいる。ライブとフェスが生き甲斐と言っても過言ではないかもしれない。コロナ禍でライブやフェスが無くなった去年、仕事のストレス発散の場が皆無となり、病んでしまったくらいだ。相当な数のアーティストを観ている娘が、中村佳穂のような人は見たことない、生で見たら、ママも絶対わかる!と言う。何度もそんな話を聞いていたら、なんだか中村佳穂を生で観てみたくなった。
チケットが余っているのは、広島と北海道と大阪。思い切って行ってみようか?
旅費をどうしようかなと思ってマイルを確認したら、2人で大阪往復する分は貯まっていた。これは行けってことだな、うん。当日まで一週間だけど、大阪行き、即決。
2枚連番では買えなくて、離れた席で一枚ずつチケットを取った。それでソールドとなった。最後の2枚だったみたい。
そんなこんなで、たいして曲も知らないおばさんが、中村佳穂のライブ会場、Zepp難波に辿り着いた。
会場に入ると質素なセットだ。質素なセットというか、セットは無いって感じ。
もし、生でも感動出来なかったら、感性が違うって事だね〜なんて話して、娘と別れた。
ライブが終わると、娘が私を探して小走りに寄ってきた。
どうだった?
私の第一声、「すごい」
すごい。すごかった。
こんなアーティストが日本にいたとは…。人間じゃないと思うと言っていた意味が、わかりすぎるくらいわかった。
私もいろんなアーティストのライブに行ってるし、ライブの感動や興奮を知っている。でも、この感じは初めてだった。言葉にするのがとても難しいけれど、ものすごく大きな愛を感じて、多幸感に包まれた。バンドメンバーの演奏もべらぼうにうまくて、中村佳穂という不思議な存在を引き立てていた。
曲もほぼ知らない、思い入れも何もない、いわば知らない女の子のライブを、ここまで楽しめるとは思っていなかった。感動したというのは、ちょっと違う。なんだか自然に優しい気持ちになる、"今"がとても満ち足りて幸せに感じる、そして"これから"にも希望を感じる。そんな不思議な幸福感に満ちたライブだった。
"歌を作って歌っている"
多くのアーティストと同じように、その仕事をしているはずなのに、何かが違う。身体から溢れ出たものを自然に声にしてるだけのような、損得も計算もなく、優しさだけを乗せて全身で奏でているような。。
本人は無意識かもしれないけど、この人はシャーマンなんじゃないかなと思い始めた。神とか精霊とか、超自然的存在と交信して、とてつもない力を授かっている人、全ての人を癒す力のある、特別な人なんじゃないかと思えてきた。
思ったこと、感じたことを興奮気味に娘に話しながら、夕飯を食べる予定だったたこ焼き屋さんまで、電車に乗らず、30分くらい歩いた。娘は、だから言ったでしょうと言わんばかりの顔で嬉しそうだった。
朝に家を出て飛行機で大阪に行き、ライブまでの時間は大阪観光してからのライブだったのに、身体が軽くて、心地良くて、歩きたかった。全く疲れていなかった。むしろライブ開始前よりも元気になっていた。ライブで興奮してアドレナリンが出ているのとは違う、優しい心地良さ。娘も同様だった。中村佳穂のライブを観ると自然に笑顔になって、帰り道はスキップしたくなるんだよ、と言っていた。ほんと、その通りだった。(スキップはしてないけど)
日本を救うのは、政治家やお金配りしてる人じゃなく、中村佳穂かもしれない!!と半分冗談、半分本気で娘に言った。
また必ず彼女のライブに行きたい。