くじらぐも
小学校の教科書に載っていたお話で一番好きだったのが、くじらぐもだ。
忘れられないお話だ。
短いお話なのに、あの世界に引きこまれた。
1、2、3!て、ジャンプして、雲の上に乗ってみたい。
くじらぐもに乗って、見たことのない、いろんなところに行ってみたい。
くもを見ながら何度も空想した。
わが子が小学生になったとき、”くじらぐも”が載っていて、とても懐かしくて嬉しかった。
一体、今までに何人の子どもが、くじらぐもに乗るという空想の世界を楽しんだんだろう。
今も教科書に載っているのかな。
ハイジのオープニングも大好きだった。
くもに乗って寝そべるハイジ。
あの頃は、”くも”のあるところまで行けたら、乗れると思っていたかもしれない。
空を飛ぶ飛行機にも憧れた。
弟と遊んでいるときに、飛行機が飛んでいるのが見えると、
三人で、「おーい!」って大声出して、飛行機に向かって手を振っていた。
飛行機に乗っている人から、自分たちが見えていると思っていた。
飛行機って、どんなお金持ちが乗っているんだろう。
あの飛行機に乗っている人は、どこに行くんだろう。
大人になったら、いつか私も飛行機に乗ってみたいと思っていた。
51歳になっても、相も変わらず、空を眺めるのが大好きだ。
仕事帰りや買い物帰りに空があんまりきれいだと、4階の自分の部屋を通りすぎて、10階まで空を見に行ってしまう。
くじらぐもに乗る空想は、もうしなくなってしまったけど。