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スタンド•バイ•ミー

20歳ぐらいの頃にテレビ放送で観たスタンドバイミー。若かった私は、印象に残る場面はいくつかあるけれど、この映画の面白さがさっぱりわからなかった。これを面白いって思う人は、流行り物好きなミーハーだと思っていた。

去年、テレビを付けたら、たまたまスタンドバイミーが放送されていた。ほかに面白い番組もなく、映画の途中からだったけど、なんとなく見始めた。

つまらない映画だけど、懐かしいから観てみようかな。今は亡きリヴァーを見ておこう、そんな気持ちだった。

ところがね、食い入るように観てしまった。30年以上前に観た時とは、全く違う映画に思えた。見終わったあとの余韻がしばらく消えなかった。


もう一回ちゃんと観たい!と思い、先日、午前十時の映画祭へ行ってきた。

初見から30年以上が経ち、充分すぎるほど大人になった私には、これ以上の映画はないくらい、沁みた。

こんなに胸に沁みる映画だったとは、、。

私は女性だから、クリスたちのような冒険はした事がないし、悪さをして走って逃げたこともないし、森でキャンプをしたこともない。でも、なぜか自分の子ども時代とシンクロしてるように思えて、共感と懐かしさで、胸が締めつけられた。誰だって、昔は"子ども"だったからかな。

印象的なシーンや名言はたくさんあったけど、それはきっとたくさんの人が書いてると思うから置いといて、、リヴァーフェニックスがとにかくカッコ良すぎる!(まだ子どもだけど) 賢くて、仲間思いで優しくて強いのに、脆さと色気もある。クリスという役柄が魅力的なのはもちろんだけど、リヴァーの表情にはジェームスディーンのような憂いがあの年齢で、すでにある。足でゴーディのお尻をチョンと蹴る仕草がオシャレで大好きだ。タバコの持ち方や真剣な話をするときの表情は、見惚れるほど大人びていて、カッコいい。

生きててほしかったよ、リヴァー。年を重ねたリヴァーの演技が見たかった。


スタンドバイミーを観ていると、やっぱり、今の世の中は、本当の意味での豊かさや幸せから、どんどん遠ざかってるな…と思ってしまった。子ども時代も青春時代も二度とないからね。ちゃんと会って、ちゃんと話して、笑い合ったり、じゃれあったり、泣いたり喧嘩したりした方がいい。旅や冒険もたくさんした方がいい。

そして、大人になったゴーディーの言う通り、友達は仲良くなっては離れていく。今、とても気が合う仲の良い友達と、一年後も仲が良いとは限らない。だから、私は昔から、"親友"と言う言葉が使えない。誰にも心を開いてないわけじゃない。尊敬出来る気の合う友達と過ごす時間は大好きだ。だけど、喧嘩したわけでもなく、どっちかが悪いわけでもなく、何がずれ始めるとお互いに察して、そっと離れてく。そしてまた違う人との出逢いがある。それは大人になった今も繰り返してる。

スタンドバイミーは、子ども時代をだいぶ過ぎた大人にしか味わえない映画なのかもしれない。

この映画が公開された頃に少年少女だったならば、今こそ観てほしい。

Googleマップなんか無くても、どこにでも行けるんだよね、本当は。大人も子どもも。






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