憧れの場所、憧れる自分:アリー my Loveと私
私の好きなものは結構変わってしまい、一過性のものも多いです。
好奇心旺盛なのか、"自分"がないのかわかりませんが。
一つのアーティストやアイドルをずっと好きでいられる人は、自分のキャラや心のよりどころが確立しているようで羨ましく思います。もちろん人は変わり続ける生き物なので、実際には波があったり、いつか興味を失うこともあるのかもしれません。
私は学生の頃まで、好きな人や当時の彼氏の好きなものに染まる傾向もありました。その一つが邦ロック。最初は元彼の好きなアーティストから聴き始め、そのうち自分で好みのアーティストを探して聴くようになりました。その彼とは2ヶ月ほどで別れましたが、邦ロック熱はその後2年くらい続いたので、私の知らないジャンルの音楽を教えてくれた意味でも出会えてよかったと思っています。
音楽の趣味が結構変わってしまう中で、珍しくいつ何時聞いても好きな曲が、ビリージョエルのJust the way you are。会社の人に話すと「え、、何歳??」と言われてしまう、少々古い曲ですが、トヨタのCMにも使われていたので、私の世代でも聴けばわかる人は多いはずです。(若い人はブルーノマーズの方を思い浮かべることが多いかもしれませんね。)
この曲は歌詞も良いのですが、私はむしろあのロマンチックなメロディに溺れる感覚が好きなのです。落ち着いたテンポで、音色も歌声も柔らかく、だんだんと暖かい光が差すような感覚。加えてどことなく漂うニューヨークの香り。語彙力がなくてうまく表現できないのですが、、まあ、よかったら聞いてみてください。
トヨタCMは2008年の灯台編が好きです(埋め込めなかったのでこちらリンクからご覧ください:https://www.youtube.com/watch?v=9OVsvZIOSYA)。
彗星観察篇も良いです。いやぁ、金髪の少年かわいい、、。
・・・話が逸れてしまいましたが、同じく、長い間変わらない、自分の憧れの存在もいます。
それは、これまた少し古いのですが、「アリー my Love」という海外ドラマの主人公です。アメリカ・ボストンを舞台にした、法律もののラブコメディです。(法律ものとして括って良いかどうか、、真剣に観てはいけません。コメディとして観てくださいね。笑)
中学生の頃海外ドラマにかなりハマっていて、大学生になってからは他の趣味に熱中してあまり観なくなってしまったのですが、就活で自己分析をしていた時、「あ、私はアリーみたいな人になりたいんだ」と気づきました。
高校生の頃にはアメリカで弁護士になりたいと言っていたこともありましたが、経済的事情もありストレートで会社員になる他なく、戯事のような夢は忘却の彼方にあった時でした。
彼女のどこに憧れるのかというと、仕事だけでなくプライベートも充実させているところ、とはいえ仕事にも志を持ってぶつかりながら自分なりのスタイルを確立させているところだと思います。失敗や空回りもしますし、下ネタも吐き出しますが、そこも含めて愛着を呼ぶキャラクターだと思っています。
それから、ビリージョエルの話と同じく、アメリカの文化に興味があって単純にボストンでの彼女の生活に憧れていた部分もありました。
キャリアウーマンというと、プライベートを投げ捨てて仕事に全力を注ぎ成功を収めていく人というイメージが拭えませんが、近年は仕事とプライベートを両立している人こそが多くの働く女性が目指すロールモデルとなっています。(このあたりは、映画「マイ・インターン」でも大事なテーマとして描かれていますね。)
アリーはまさに、自分らしくふわっと生きながら、仕事とプライベートをしっかりと両立している女性だと思うのです。
社会人1年目の冬、ちょうど色々なことに疲れてどこかに逃げたくなり、ふと「アリーがいたボストンの空気を吸ってみたい」と思い立って、ボストン一人旅を計画しました。
その時は25年ぶりだかの大豪雪によりボストンに辿り着けず、泣く泣く中継地の別都市の観光に切り替えたのですが、2年後に友人との旅行でようやくボストンを訪れることができました。
アリーがよく訪れたCheersという居酒屋、シーンの切り替わりで登場したマサチューセッツ州会議事堂、妄想シーンで登場した野球場・フェンウェイパーク。
アリーが住んでいたバックベイエリアは高級住宅街でした。どこもかしこもレンガ造りでかわいい街並みで、ああ住みたい、、と思いましたが、ここに住んでいたアリーは相当稼いでいたんだろうな、、と壁を感じました。笑
ドラマで最も登場するアリーが働いていた法律事務所は、行ってみると何の変哲もないビルで、一瞬気づかずに通り過ぎてしまったほど。半円形の窓が特徴的で、いつもボストンの景色が映っていたのですが、実際はボストン・コモンという公園の脇の通りに立っていて正面も両脇もビルで囲まれており、街を見渡すことはできない場所にありました。
その時ふと、私が憧れていたのはボストンという場所そのものでもあったけれど、アリーという女性のなんてことない日常だったのだと感じました。
アリーという人物は働く女子を象徴した存在であって、ボストンで働く女性だけでなく、東京で働くOLでもあり、私でもあるのではないか、と。
なので、高校生の時の私に対して「弁護士にはなっていないし、アメリカで働いてもいないけど、アリーみたいな女性にはちょっと近づけたよ」と言いたいです。
そういえば、毎日通勤している丸の内も、今では何とも思わぬ見慣れた風景となっているものの、就活で初めて来た時には「自分もこんな綺麗なオフィス街で働きたい!」なんて思っていたことを思い出しました。
昔憧れていた自分って、意外と知らないうちに通り越していて、当たり前になっているものなのかもしれませんね。