起業小話〜yasaiccoちゃん〜
失敗・黒歴史ってなんだろう。
そんな話をこれからしてみたいと思います。
2019年。身につけたブランディング戦略家スキルを携え起業。
ずっと想いのあった「畑に埋もれる魅力を掘り起こす」ため動き出した。
しかしその時、心にもやもやを抱えていた。実力に自信はあるけれど、自分でブランドオーナーはしていない。そんな自分が本当にブランド主さんのお気持ちに寄り添いきれるのだろうかと。
だから独立と同時に自分の偏愛性を生かした事業もすることにした。
それがyasaicco。「きゅん野菜専門店」として始めた。形のかわいい希少野菜や規格外野菜さんにオリジナルの顔ステッカーをはって紹介した。
そんなyasaiccoちゃんは、もともとの縁もあってシェアオフィスの入居者サービスとして導入いただいた。
自ら東京のど真ん中にyasaiccoちゃんを連れていき、農業ののの字もないようなオフィスビルの中で手渡しした。
妊娠が発覚し、つわりがある頃もyasaiccoちゃんの手渡しは欠かさず行った。
そして2020年2月に最初の出産。
産後どうやって続けようかなーと思っていたところに、新型コロナウィルスの流行も始まる。
導入先から次々と「今は続けられない」との連絡。
こうして、わたしの育児突入を期にyasaiccoちゃんはペンディングした。
続けられなかったこと、シンプルに恥じた。
「失敗」という言葉が脳裏に浮かんで、受け止めきれなかった。SNSで大々的にやるぞー!と発信していたからこそ。静かに、yasaiccoちゃんのことには触れないようにした。
わたしの中の「黒歴史」に位置づけられた。
そのあと、乳児子育て中でもコロナ禍でも続けられる活動に力を入れた。メディアの運営、オンラインコミュニティ(ナエドコ)も始めた。
すると、どうだろう。
コアで活動を一緒に作ってくれたメンバーは、yasaiccoちゃんがきっかけの人ばかりだった。
yasaiccoちゃんはちゃんと縁を繋いでくれていた。
‥
2023年。先月、愛食フェスという形で、都内の畑に70人の人が集まった。
暮らしも仕事も心地よくバランスして、より良く生きたい。
価値観の共有する仲間に囲まれる場で、yasaiccoちゃんを出店した。
yasaiccoちゃんは「かわいい」「かわいい」と子どもから大人まで、たくさんたくさん愛でてもらった。
当時はいなくて、今3歳になった娘ちゃんもお手伝いをしてくれた。
一度「黒歴史」とおいてしまったyasaiccoちゃんをまた引き出すのには3年もかかってしまった。
ご協力いただいていた農家さんにも不甲斐ない時間を過ごしてしまった。
けれど、今yasaiccoちゃんを改めて愛おしいと思うし、誇らしいとも思う。
yasaiccoちゃんに挑戦したからこそ次につながる共感の輪が開いたからだ。
そして共感を纏った今、やっとyasaiccoちゃんのことをわたしが認められた。
実はその少し前から、仲良くなった多品目農家さんの庭先直売でもyasaiccoちゃんをお試しいただいていた。
もう一度yasaiccoちゃんを続けられる形を模索し始めたのだ。
前はわたしが物理的に持っていって語ることでしか続けられないと思っていた。だからこそ止まってしまった。
必ずしも自分に依存しない違う形でなら続けられるかもしれない。
不釣り合いな東京のど真ん中よりも、この子を喜んで愛してくれる場所はあるかもしれない。
心地よい形が見つかったらいいなあと思いながら、今度はシステムとして、yasaiccoちゃんを活かしてあげられる方法を見つけたい。
もし気になる方は、ぜひ一緒に考えてほしい。
さて、冒頭の問いに戻る。
yasaiccoちゃんは失敗で黒歴史だったのか。確かに一時期のわたしにとってはそうだった。3年もかかった。
でも仮に時間がかかったとしても、それが失敗でも黒歴史でもなくなる日は来るかもしれないということ。
それは、自分の心次第なのだ。
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