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散った花を手にとる

某月某日

目が覚めたらゴミ出しの時間を過ぎていた。いつもより1時間半くらい寝過ごしたようだ。あれ、昨晩は早く寝たのに。そうか、一昨日ずいぶん夜更かししたんだった。

朝から鮭の西京焼きを食べて、外出に備えた。塩鮭と変わらない値段で買えることに驚き手にとった鮭の西京漬け。想像以上においしくて手間も要らないので、しばらくはコレばかりになりそう。

最近の考え事のひとつが「あれは本当にハナミズキなのか」問題。街路樹にまるっこい白い花がたくさんついてるのを見つけ、気に入ったので花の名前を知りたいのだけど、まだ分かっていない。

桜が散ってから2週間くらいで咲いたとか、花びらが中心に向かってまるまっていてハートみたいな形だとか、そういう情報を元に調べてみる。すぐにハナミズキが有力候補として上がってきた。

他の街路樹と比較したり、色んな情報源をあたって、9割方ハナミズキだと断定。花の咲き方が違うが、おそらく咲いている過程で一時的にああなっていたのだと見当をつける。

ところが、例の街路樹の前を今朝通ったら、まだ花が開ききってない。それどころかまるまったまま、花を落としている。木についた花も同じくまるまってる。散った花を拾い上げた。

近くにあった、どう見てもハナミズキの花はきちんと花びらを広げている。でも木や葉の感じはよく似ているし。ハナミズキの仲間の、違った木なのか?「あれはハナミズキなのか」問題の解決には、もうしばらくの時間が必要だ。

某月某日

電車で本を読んでいたら、途中からカップルらしき若い男女と乗り合わせた。

男性「就活どう?」
女性「んっと、とりあえず一次は通って…」

男性がずいぶん通る声で質問し、女性がやや間をあけて答える。大っぴらにそんな質問していいのかとソワソワしてしまう。女性と目が合って気まずかった。

電車を降りて家に帰る途中、小2くらいの女の子ふたりの会話が後ろから聞こえてきた。

A「学校楽しい?」
B「うーん楽しくはないよね、行きたくないし」
A「あはっ、そういうところB型っぽいよね」
B「B型ってなに?」
A「なんかね、面白いんだよ、Bって。偏見だけど」

天真爛漫な声で「楽しくない」と言い放つBちゃんに驚きつつ、でも他の楽しみがあるんだろう、そうでなければあんなに明るい声で話す辻褄が合わないと、一人会議をした。

ついでに「偏見」なんてことばを知っているAちゃんには、年の離れたお姉ちゃんがいるんだろうなと勝手な推測をした。

某月某日

明日から雨降りの日が続くらしい。急いで洗濯をしてから家を出た。外はまさしく新緑の季節といった雰囲気。

用事をこなしていた昼下がり、窓の外が急に暗くなった。一日晴れの予報だったのに。急変にオロオロしていたけど、30分経っても雨は降らず、徐々に明るさを取り戻したのでほっとした。

時間が溶けてなくなって、夕方になってしまったような感覚だった。もう一日が終わってしまうと錯覚した。一日が終わってほしくないこと、やりたいことがたくさんあることに気づき、その日は好きな本を読んで過ごした。


20230425 Written by NARUKURU

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